野生のキウイともいえるサルナシ
ややマイナーな食材ですが、自然で味わえる美味しい食材としてサルナシという果実があります。

場所によってはコクワとも呼ばれ、流通することもあるサルナシですが、つる性植物であることやその名がややマイナーであることから天然物を味わう機会はそう多くは無い食材です。
そこで今回は美味しい自然の恵み、サルナシを紹介していきます。
サルナシとは
サルナシはマタタビ科のつる植物の1種で、主に山地に自生しています。

つる植物であるため、目線の高さや手の届く範囲で見つかることは少なく、果実の時期が9月から10月頃とやや遅いこともあり、山菜の中ではマイナーな存在であると思われます。
一方でコクワの名で流通することもあり、コクワジャムや生食などでよく食べている地域もあるはずです。
花はおよそ5月頃に咲き、雌雄が別の株になります。
そのため、サルナシを見つけられればいいわけではなく手の届く手頃なところで雌株のサルナシを見つけ、食べに来る獣との競争に勝つ必要があります。

花は白い花をしており、つるが赤いことが多いですね。葉はキウイの葉を見たことがあればそれを小さくしたような姿をしています。
葉にはやや厚みがあり、縁には細かいノコギリのようなギザギザが付いています。つる植物で似たようなものはあまりありません。
果実は緑色をしており、ミニチュアキウイのような見た目をしています。
サルナシはどこに生えるか
サルナシの出現は殆ど山地に集中しています。平野部で見たことは記憶上ありません。

種子の運搬は動物もしくは鳥であると考えられ、フンから種子が発芽し木々を巻くように上部を目指していきます。
山地の植物が大きい都合上、サルナシは樹高30m程度の高所で花を咲かせ実を付けることも多く、採集するのは非常に困難です。
痕跡を探す場合には林縁や低木、斜面などにサルナシの幼木が無いのか探すのが有効ですが、高所を見ることができる林縁付近の端や樹冠を覗けるそうした環境を見ていくとかなり見つけやすいです。

良さげな場所ではサルナシの持つやや大きめでギザギザのある葉と赤いつるを探していきます。
花期ならば白いお花で特に分かりやすいので、探したい方は5月中旬下旬頃に下見に行くのがおすすめです。
花は内側に黒いものがたくさんあるのが雄株、白いのが雌株と覚えておくといいと思います。雌株の場所に秋、果実ができます。
場合によっては双眼鏡などを所持していくのもおすすめですね。採れる取れないではなく、その地域にあるかないかを知るのが重要です。
サルナシの味わいと追熟
ここでは橋の上で5月に雌株を見つけ、秋に果実を採集して味わってみた話をします。

サルナシですが、サルと付くように山のサルが最大のライバルとなります。クマが多い地域ではクマもそうですね。
熟したサルナシは次々食べられてしまうので、ある程度状態がいいものを見つけたら取って追熟させて甘みを出すのがいいと思いますね。
サルナシですが、ミニキウイなどと呼ばれるように、断面図は完全に小さなキウイです。

キウイとサルナシは同じマタタビ科の植物なので似ているのは当然です。
サルナシの追熟ですが、複数取ったので期間を分けて食べてみました。
結果としては外皮が硬く、果実も硬いうちは酸味が強く食べられたものではありません。
実が柔らかくなってくるとそのままでも食べられますが、美味しい所と微妙なところが点在しているという感じです。

ベストは外皮がしわしわになったころ合いで追熟としては10日から2週間ほどかかりました。
写真のものが9月20日頃で食べごろが10月4日頃でした。
一見すると大丈夫かという感じですが、剥いてみると香りからして違います。明らかな芳香を放っており、これが自然のものなのか?と疑いたいくらいスーパーに並んでいそうないい香りです。

味わいは酸味を抜いたグリーンキウイといった感じで、この辺は熟し具合により変化すると思われます。味はかなり美味しいです。果汁も多く、キイチゴとは比較にならないぐらいフルーツしてますね。
味に関しては文句なしなのですが、これだけ美味しいのでサル以外にもライバルが多く、特にカメムシ類による加害により追熟の途中でダメになってしまうものもありました。

結局7個ぐらい取って味わえたのは3つ程。時間をかけないと食べられないのに時間をかけるとそうした要因でダメになってしまうのでコスパは悪いですね。
おススメの食べ方
サルナシは生食が美味しいです。

野食の場合甘みなど足りていないことが多いのでジャムなどにすることが推奨されますが、追熟できたサルナシは生で食べても果物代わりにして大丈夫なくらい美味しいです。
ジャムなど作れるほどとれていないので試せてはいませんが、ジャムも安定でしょうね。
サルナシの欠点
食べ方でもふれましたが、天然物のサルナシは量が取れないのが最大の問題点です。

樹高が高すぎて多くの場合取れないことが多く、見つけても雄株という経験をすることになります。
味わいはかなりいいものなので、興味のある人は通販や道の駅などを利用して味を確かめてみることをお勧めします。
キウイで良いじゃんとは言わないでください。
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