夜行性の幻のヘビ
ヘビといえば日中日差しの差し込む環境で目にしますよね。
変温動物である彼らは太陽光で体を温めて活動する。爬虫類ではよく知られる行動です。
しかしヘビの中には夜行性の種類もいるのです。
今回紹介するタカチホヘビは夜行性でありかつやや湿度のある環境を好むということで、人目につくことのなかなかない珍種です。
タカチホヘビとは?
タカチホヘビはタカチホヘビ科に所属する在来種のヘビです。
日本のヘビの多くがナミヘビ科(シマヘビ)やクサリヘビ科(マムシ)なのに対し、タカチホヘビ科は日本では数少ない種類です。
性質は夜行性であり湿度のある環境を好むとされています。夜に人がそういう環境に足を運ぶことは多くありませんので、タカチホヘビに遭遇することは日々の生活ではほとんどありません。
タカチホヘビとシロマダラの2種は夜行性で共通することからまさに遭遇する難易度の高い珍種です。
餌は主にミミズを好んで捕食することが知られています。他のヘビが食事をするときのように丸のみをするようです。
普段は湿り気のある落ち葉や半日影環境に生息しており、夜の活動中に運良く見つかれば観察ができます。
出現期間は他のヘビと同じと考えらえ、気温の上がる5月~10月頃まで目にすることが可能だと考えらえれます。
タカチホヘビの見分けポイント
希少ヘビゆえにその識別ポイントを知っておくことは重要です。
タカチホヘビには鱗に光の反射で虹色に輝く鱗があるという決定的な違いが見られます。
特に夜に目にするならばライトを携帯していると思われますのでその輝きを見つけましょう。
今回は頭部の光沢を紹介します。このようにかなりギラ付きのある虹色の輝きが見られます。
ヘビの仲間は幼蛇の時にははっきりと特徴が出ていないものも多いです。そのため確実な判別ポイントがあればそちらを利用しましょう。
基本的には黒系の傾向が見られますが、白系や茶色系など色だけでは判別は不確実です。
タカチホヘビとの遭遇
今回タカチホヘビを見つけたのは7月の高尾山です。
この時期といえば夜の昆虫採集が楽しい時期ですよね。天候は確か雨直後の夜は晴れというコンディションで高尾山にて人生初遭遇を果たすことができました。
夜ながら普通に行動している黒いヘビということで勘が働いたのですが、実物は科が違うこともあってかなりミミズのような蛇腹が目立つ蛇に感じました。
小さい個体だったのでそのまま捕獲し、じっくり観察その後逃がしています。
幻のヘビとして有名な種類なだけあって夜高尾にはおそらく20数回行っていますが、遭遇できたのはこの1回だけです。
遭遇するには相当な運が必要なのではないかと思います。
しかし生き物というのはついでだとなかなか見つからないもので、本腰入れて探したら思ったよりも見つかる場合があります。
タカチホも知名度はかなりあり、出現記録なども落とされているので気合を入れて探してみれば見つかるのかもしれません。
私の場合は完全に昆虫のついででしたね。
餌資源はミミズということで生息地はかなり幅広いと考えられます。環境も湿度が高い落ち葉と限定してもかなりあるように感じます。
生息密度は高いものの生態によって見つけにくいならば夜に該当する場所を徘徊すればそれなりに遭遇できるものです。
しかし高尾山レベルの夜でもそうそう遭遇できないとなるならば元々の個体数が少ないか、より水の集まりやすい沢沿いに集中していて目につきにくいのかそのあたりが考えられます。
初遭遇の個体が小さい個体で遠慮なく触れ合える個体だったのは恵まれていましたね。
タカチホヘビの観察
せっかくの幻のヘビですからそれはまあ堪能しましょう。
まず質感ですがこれはヘビですね。
小さいながらもつまんでみるとぷにぷにしつつも筋肉質な感じがあります。
樹上性などの性質はありませんが手に絡まると外れないくらいの力があります。
このサイズでは仮に噛まれても肌は貫通できません。
しかしながらタカチホヘビはかなり臆病なヘビであるらしく噛みつくような動作すらしませんでした。
光沢は小さいながらもかなり派手です。大型個体でも50㎝程度の小さなヘビなのですが、大型個体ではどのような感じになるのか見てみたいものです。
手の上でもかなり落ち着いてくれますね。
自然環境下でも取ってみましょう。
湿度の高い環境下にいる生き物とのことでそういう環境にいると様になりますね。他のヘビ同様舌をちろちろする行動が見られました。
手から降りたものの焦って逃げるような様子もなく、とても落ち着いたヘビです。
多くのヘビは人の気配やつままれると必死に逃げるものですが、そうしたことをしないのは個体の差でしょうか?
夏の夜にはこうした侮れない出会いがあるものです。知っている生き物の幅を広げておけばそういう珍種に遭遇した時にその価値が分かり嬉しくなるものです。
自分の知らないジャンルでこうしたタカチホヘビのような珍種との遭遇機会と逃さないためにも生き物の知識を広げていきたいものですね。
しかしおかげさまでタカチホヘビには好印象ばかりが残りました。いつかまた出会いたいものです。
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