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シマヘビの特徴とアオダイショウとの見分け方。威嚇行動を取るかわいいヘビの紹介

縞模様の美しい蛇

かわいいシマヘビ

身近なヘビの代表種としてアオダイショウが挙げられますが、平地性のヘビとしてはシマヘビもよく見かける種類です。

樹上性の強いアオダイショウに対しシマヘビは平地で見かけることが多く、見かけても逃げられてしまうケースがとても多い種類です。

しかしその姿は縞の名の通りかなり美しく、眼に関してはヘビの中でも一番と思えるくらいの美しさがあります。

今回の記事ではなかなかじっくり観察できないシマヘビの魅力を濃縮してお届けします。

シマヘビとは?

隠れ場を勘違いして逃げ場のないシマヘビ

シマヘビは水田や畑、草地など非常に幅広い環境で目にすることができるヘビです。大きさは大きいものでは1mを超えることもある巨大なヘビです。

私的には平地の草地で見かける機会の多いヘビで、遭遇タイミングは日光浴の時に限られます。

シマヘビの出現にはトカゲ類と関りが深いととらえていて、餌となるトカゲ類の密度が高い草地環境と林縁環境の境目のような場所でよく目にします。

エサ資源の一つである爬虫類

餌は幅広く、カエル類、トカゲや小型のヘビなどの爬虫類、鳥のひな、ネズミなど小型の哺乳動物など多岐にわたります。

この餌資源の広さこそシマヘビの生息環境の広さにつながっています。これは餌にモグラの赤ちゃんを好むジムグリというヘビの個体の少なさからも明らかだと思います。

ヘビの仲間は全般的に姿を減らしており、レッドデータに記載されることも多いです。

ここ神奈川においてはシマヘビは特に記載されておらずまだまだ見かけるチャンスは多いヘビといえそうです。

威嚇行動をする

尾の先を震わす威嚇行動

シマヘビに見られる特有の行動があります。砂漠に生息するガラガラヘビのように尾を震わせて威嚇する行動をシマヘビは取ります。

よく見かけるアオダイショウでは首をすぼめて攻撃態勢を取るなどは見られますが、尾を震わせる場面には出くわせていません。

シマヘビは追いつめられると必ず尾を振ってきます。

ヘビが良くする首を縮める攻撃行動

一方でヤマカガシの大型個体に見られるような立ち上がって威嚇するような行動は今のところ見られていません。

同じようなヘビたちなのに行動には大きな差がありとても不思議ですよね。

皆様もシマヘビを見かけた際には逃げられない程度に追い込んでみると、こうした威嚇行動を見ることができます。

攻撃範囲が広いので気を付けてくださいね。

何度遭遇しても見かけた瞬間テンションが上ります

とはいえあまり自然に出ない方にとってはヘビとの遭遇というもの自体が一大イベントですよね。

種類が分からなければそもそも触れるなんて選択肢が出てきません。

アオダイショウなどとの見分け方

身近なヘビとしてアオダイショウと比較していきます。

アオダイショウとシマヘビ。黒線が分かりやすい

まずアオダイショウは青の名の通り錆びた銅のような特有の色合いをしています。

対してシマヘビはくすんだ10円玉のような銅色というのが正しいでしょうか?

アオダイショウに失礼かもしれませんがシマヘビは気品のある色合いをしています。

アオダイショウとシマヘビ

そしてその名の通り縞模様を持っています。

茶色い体に並行するように入る黒い線、これだけなのになぜここまで美しく見えてしまうのでしょうか。

目元も割と分かりやすい差がありますね。シマヘビは黒い線が明瞭に入ります。

アオダイショウの目とシマヘビの目

あとは眼の色もかなり分かりやすいですね。シマヘビの眼は茶色をしており、琥珀を思わせるかのような大変綺麗な瞳をしています。

後述しますがシマヘビの眼は必見の美しさです。

生息環境について

コンクリと林縁の境目にいた

樹上性のアオダイショウに対してシマヘビは平たんな環境で見かけることが多いです。

シマヘビも鳥の巣を襲って雛を食べる習性がありますが、木の上で見る割合というのはかなり低いです。

アオダイショウは低木の生える環境で良く見つかりますがシマヘビはほぼコンクリ沿いの日当たりがいい草地ですね。

アオダイショウが普通種としてかなり幅広くテリトリーを持っているので、シマヘビはそれと被らないニッチで生息しているように感じます。

頭部もマムシのように三角形ではない

ヤマカガシやマムシはこのアオダイショウやシマヘビと真逆で水辺環境に現れます。

そのためかなり生息地を絞りやすいのですが、普通種2種のヘビは狙って遭遇するのは結構難しかったりします。

遭遇出来たらラッキーだと思いましょう。

天敵について

外来種ハクビシン

ヘビ類の天敵は爬虫類トピックの共通テーマになってしまいますが、同種のヘビ類、アライグマなどの雑食性哺乳類、猛禽類などが挙げられます。

おそらくテンやイタチなどの肉食傾向のある徘徊性哺乳動物が最も強い天敵ではないかと思われます。

ヘビ類同士は意外と生息環境が近かったりすることもあり捕食されるケースもあります。

ヘビ類と生活圏が似ているカナヘビ

また、前述しましたがシマヘビはトカゲがいるような環境でよく見られます。

変温動物である彼らは体温を上げるために太陽光を浴びる必要があります。

あくまで仮説ですが体の小さなトカゲと大型のヘビでは体温の保持にも差があり、トカゲ類はより頻繁に日光浴をしているように感じます。

そうした差を突くことでうまく狩りをしているのではないかと思ったりします。

食物連鎖の中でも上位に位置する生物であり、より上位の猛禽類の個体数にも影響を与える生物です。

上空で見かけた猛禽類、ハイタカ?

ヘビの存在がその場所の生態系の豊かさを示すと言っても過言ではないでしょう。

現実的にヘビを見かける機会は減りましたよね。特に私の住んでいる神奈川の市街地などでは全く見かけなくなりました。

シマヘビの可愛いポイントを紹介

シマヘビはとても攻撃的なヘビです。

サービス精神旺盛なシマヘビちゃん

しかしだからと言って近づかないのが惜しいくらい可愛いヘビです。

私の一押しポイントは何といってもその瞳です。

アオダイショウやヤマカガシが黒い丸い眼をしているのに対してシマヘビは茶色い宝石のような眼をしています。

この目の雰囲気が大きくヘビとしての印象を変えていると言っても過言ではありません。攻撃的なのにとてもかわいいというギャップがシマヘビの魅力です。

例えば見てください。

登れないシマヘビ

逃げる際に塀を乗り越えようとした場面を捉えたシーンなのですが瞳の色合いから優しそうな印象を受けませんか?

対峙してみるとガンガン強気に睨みつけてくるのに逃げに入った途端この敵意を感じさせない柔らかい眼に変わるのがシマヘビの素敵ポイントです。

あとはヘビらしい鱗を味わうのにもおすすめですね。茶色に黒線の飾らない感じが爬虫類らしい鱗の雰囲気を立ててくれます。

シマヘビは実物を見るとかなり光沢感があります。初めて見た方は何この美しいヘビと思わざるを得ない魅力にあふれるヘビなので、ぜひ探してみてください。

まとめ

シマヘビは減少しつつあるヘビの中でもまだ比較てき姿を見ることができるヘビです。

茶色い瞳や尾を震わせる特有の威嚇行動、そして何よりけんかっ早い攻撃的な性格から中々に面白いヘビです。

普通種だからこそ生態系を形成する重要な捕食者であり、猛禽類や哺乳動物の餌資源にもなります。

シマヘビの美しさは実物に出会った人にしか分かりません。私一押しのヘビなのでぜひ見かけたらじっくり観察してあげてください。
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水辺の普通種ヤマカガシ。大人しいヘビですがマムシ以上の強い毒を持ちます。
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平地の普通種アオダイショウです。シマヘビとは樹上性と性質が異なることで生活圏を分けていると思われます。