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武蔵野丘陵がある多摩地区でのヒラタクワガタチャレンジ

多摩地区のクワガタ事情調査

とある場所でクワガタ観察

神奈川と東京の高尾で夜の虫探しをする機会が多いのですが、他地域にも興味が湧いてきました。

特にヒラタの個体数を狙う場合には都内の方がよっぽど都合がよいらしく、50mm以上のヒラタを狙いたく都内多摩地区へ繰り出しました。

今回はあまり知らないエリアなので下見の要素が大きいです。
今回は採集記です。

多摩地区へ到着

多摩エリアは広いのですが、今回の場所はやや緑が残っているエリアです。

キクイムシ由来の樹液は多数発見

訪問日は7月4日で、あまりの暑さにやや後悔しています。

下見も夕方くらいからしようかなというレベルで大変ですね。

変形したコナラやクヌギなどたまに見つかった

該当地域は武蔵野丘陵の名残がある地域とされており、訪れた感じでは確かに神奈川の平地の雑木林と比べても山だった感じが強いです。
小山田緑地のような空気感を覚えますね。

さてこの地域で調査を初めて早速ノコギリクワガタに遭遇しました。

幸先のいいスタート。クワガタ密度はそこそこ高そうな感じはある。

薮の先にコナラの若木でしょうか。樹種は不明ですが木を登っていました。

距離がありますが大歯型のノコギリで幸先のいいスタートが切れましたね。

しかし今回の狙いはヒラタです。

7月ともなれば警戒心が上がってきている時期だと思いますが、webやSNSベースでの情報収集では都内の一部地域ではヒラタ密度は結構濃いようで樹液に普通に来ていることもあるとのことです。

ヒラタを狙うために樹皮のめくれやうろを探したいところだが、難しい。

なのでヒラタに絞りつつ樹液の感じを見ていきます。

今回訪れた場所なのですが大雨数日後だったためか薮蚊にかなり悩まされました。蚊パラダイスによって集中力がそがれてしまいます。

散策していると樹液は結構出ているのですが都内であるために採集慣れしていない方もよく来ているのでしょう。 めくれや洞はほとんど破壊されており、がっかりです。

クワガタを取る人がクワガタが取れるポイントを破壊するのは滑稽

朝方にも人が来ていたと思われ、人の背丈+子供の網程度が遠く場所にはほとんど虫が見られませんでした。

逆に樹高7m程度位の場所にはカナブンを始めとする樹液性の虫が確認でき、万が一ヒラタなどがいたとしても長竿網など装備を整えていないと取れないと感じましたね。

ライト層が取れない戦略で差別化していかないとなかなか厳しそう

コクワやノコ、カブト程度であれば全然構いませんが、大型のミヤマやヒラタとなると見逃すのは悔しいものです。

今日は長竿網を持っていないので、樹上にいたなんか艶のある物体はクロカナブンだと思っておくことにします。

怪しげなケツを発見!

樹液に関しては結構よさげで、昔ながらの台場クヌギや凸凹の激しいクヌギは時折見られました。

とても良さげな洞。顎でコクワと判断したので掻き出しバトルはせず。

中には剥がされていない洞もあり、楽しみにのぞいてみるとクワガタの姿が!

しかしこのお尻はコクワですね。(撮影時にはもう潜っちゃいました)

内部で樹液は出ていないらしく隠れ家として利用しているようです。

そのままスルー。しかし蚊がきつすぎます。牧場でアブに襲われる牛のような気持ちでストレスになりますねこれは。

やまゆりを愛でつつ蚊にイライラ

洞には期待できなさそうなのでほじくれないタイプの洞を探していきます。例えば木と木がぶつかり合って生じた隙間とかそういうものですね。

これが上手くいきました。二股に割れたコナラらしき木の隙間にでかいケツを発見。

幹と幹の隙間。素晴らしい隠れ家。

これはヒラタじゃないかという期待が高まります。
ピンセットで突きだすと...?

ヒラ...ノコギリの♀?

黒化ノコでも真っ黒なのは珍しいので、今回の唯一持ち帰り個体。

黒化型ノコギリのメスに近い雰囲気を感じます。特に胸部や腹部の光沢が弱くツヤはありません。

裏側は足など赤くはなく、感覚的に見慣れた形態に感じたのでおそらくノコでしょう。

感覚は結構大切だと思っており、高尾で違和感を覚えた♀がやはりネブトだったことがあったので馬鹿にできません。
一応キープしておいて♀のクワガタの違いをしっかり学ぶ個体とさせていただきましょう。

相模川とかでもそうなんですが、やはり当たりの種類がいる地域というのはワクワクします。

いつもの地域ならばハイハイノコノコでおしまいなのですが、ヒラタのロマンがありますからね。
洞でお尻を見た時はワクワクしたものです。

別地域も見ていく

せっかくきたので別地域も観ていきます。

樹液にチャイロスズメバチ。ヒラタが来ないかなぁ。

ここもヒラタの記録がバッチリあるところなので、樹液に張り付いているものを見たいものです。

さて樹液感ですがあまり強くはありません。樹液自体はキクイムシによって流れています。スズメバチなど昼行性の虫が多くありません。

破壊できないやや高所の樹液には虫がいる

クヌギコナラも思ったほど多くはありませんが、数本期待できそうな木があり、ノコギリがついていました。
夜に期待しておきましょう。

最後の地域はかなり期待が持てそうでした。

台場クヌギとはいかないが、管理されたような名残のあるクヌギが見られた。これは熱い。

丘陵地の名残の太めのクヌギコナラが多く樹液もよく出ています。地下水が豊富な地域であると思われ、樹液の発酵もこの時期にしてはかなり強く香っていました。

薄暗いエリアでは既にノコやカブトが活動しており、これはシーズン初期と後期に来る価値があるなと思わせる雑木です。

下見の段階でおおよそよさげなエリアに目印を付けておき、そこを回ることにしました。

日没

日没直前から昆虫の量が増大

日没後下見していた場所を巡回します。
発酵ポイントくらいしか期待できないかと思っていましたが、予想以上に虫の来る樹液は多いようです。

高尾では樹液に来る蛾を頼りに見つけていましたが、都内ではアカアシオオアオカミキリがいいサインとして利用できそうですね。
この緑のカミキリを探してください。

アカアシオオアオカミキリ。ナラ枯れの影響か恐ろしいほど数が増加。

日没後はライバルが出てくることを予想してよさげなポイントの下から出てくるヒラタを狙う作戦です。洞が無いのでこれが一番いいのではないかと思いました。

肝心の夜の樹液情報ですがかなり賑わいを見せていますね、

樹液に来たノコギリのペア。コクワ、ノコ、カブトは取るのも手間なくらいにはいる。

カブトやコクワ、ノコのいつものやつらはかなり姿を見ることができます。樹液性のアカアシオオアオカミキリやキシタバなどのカトカラ類も豊富です。

あとはゴミムシダマシ系でしょうか。これが多いです。

7月頭の段階でカブト優勢。ヒラタ探しには明らかに遅い。

時期的にもカブトムシが優勢となってくる時期で、樹液にはカブトの割合がかなり多かったですね。

とりあえず巡回しても退屈しない程度にはカブクワの出現があり、なかなか楽しい地域です。

良さげなエリアにはライバルも出現しています。

下見していないと探すのも雑になり、せっかくの虫も見逃しがち。

下見していたエリアでは既に巡回している人がいましたが夜に来たからか見落としも結構多いようです。樹液には普通にカブトムシなどがついていました。

日が落ちると木々をじっくり見られる機会がないのでやはり下見は推奨しますね。

とはいえライバルの数もなかなかに多く、樹液の出る木も限られていることから中々に厳しい採集となりそうであったので場の下見をできたと思い後にしました。

ヒラタを目当てにして9月頃と5月頃にまた来てみたいと思います。

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