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2024夜高尾に向けた下見。高尾山の樹液状況と発酵予備軍の樹液を探して備えよう!

2024年夜の昆虫採集もそろそろ開幕

2024年も夜高尾に行きます。ミヤマ以外にもいろいろな虫を見に行く予定。

昨年夜の高尾に通った傾向によればそろそろミヤマクワガタが出現してくるはずです。

樹液の状況は年によっても変わり、特に近年はナラ枯れに由来する樹液流出が盛んであるため、木々が枯れるなどの問題も出てきます。

そのため昨年使えたポイントが今年は使えないなどの変化が大きいのです。

今回は24日に高尾山の樹液状況などを見てきた報告と今季の高尾ミヤマの予想をします。




高尾山の樹液事情と今年のクワガタ予想

下見段階で発酵していたのはアカガシ1,クヌギ2

高尾山においてはクヌギやコナラといった王道の雑木林の木々とアラカシやシラカシといったやや暖地の常緑樹を見ていくのが王道です。

これらはいわゆるどんぐりのなる木々であり、等しくナラ枯れを引き起こすキクイムシによって攻撃されるため樹液流出が激しいです。

しかしながら樹液の発酵は木の生えている場所や周囲の温度、地下の水分量など様々な要因が絡んできます。

樹液の場所を教えてくれたアカタテハ。昼間ならではの案内人。

そのため、発酵した樹液を見つけることはもちろんのこと今後発酵しそうな樹液を見つけておくことも重要です。

まず発酵した樹液なのですが6月24日の段階では多くはありませんでした。私の通った道および昨年樹液が出ていた木々を見て回り、はっきりと樹液の発酵が確認できてスズメバチなどの虫が来ていたものは2本だけでした。

しかし今後樹液が発酵しそうな場所はとても多く、今週は特に気温が30度以上になる日も多いことから潜在的な樹液が発酵段階に次々入っていくと考えられます。

昨年も目にしたチャイロスズメバチ。今は珍しい種類ではないのかも?

どこに多いなどの情報は残念ながら公開できませんが、過去に紹介したナラ枯れを利用する樹液の探し方を活用すれば十分虫の来る木を見つけられると思います。

一方で残念な点としては昨年8月下旬時点で有望であった木々たちがまとめて枯れてしまっていた件です。

昨年ミヤマを複数目にしたようなとてもいい木々たちが枯れてしまいました。

去年ミヤマ以外にも多数の樹液性昆虫が来ていた木。悲しい。

まあ、樹液木があればそちらに移ってくるとは思いますが、あくまで人間的な視点からしてお世話になった木々が無いというのは悲しいものです。

高尾山ではナラ枯れの本数が多いからか不明ですが、伐採した木々を土場のようにまとめておいてあるケースが増えています。

これは朽木を利用するクワガタムシにとってはありがたい話で、関東圏でナラ枯れが本格化した2021年頃よりおよそ3年ほどが経過し、今年は高尾でクワガタがたくさん見られるのではないかなという希望を持っています。

土場の木と朽木を利用するムネアカオオアリ

私が観察している限りでもこうした枯れ木性の虫というのは見かける機会が増えていると感じており(私見です)、神奈川を例にすればアカアシオオアオカミキリやクロホシタマムシ、サトウナガタマムシなど一例ですが明らかに増加しています。

今年は昨年のデータがあるのでそれらと比較することを目標に夜高尾に行きたいものです。


発酵しそうな樹液とは

発酵している樹液を探す方は多いと思います。

白く発酵している木はこの1本だけだった。逆に言うと大チャンス?

もちろんそれも重要ですし、特に同じ場所に1度しか足を運ぶ予定がない方にはそれで探すしか有りません。

しかしながら複数回夜高尾に挑む予定の方には次に向けた下準備として発酵しそうな樹液も探すことをおすすめします。

これにはシンプルな理由があり、定期的に観察をした結果見つけた新しい樹液というのは頻繁に足を運んでいない人が見つけていない樹液である可能性が高いです。

潜在的な樹液の例。左2つは分かりやすいが、3つ目のものがナラ枯れでは一番多いので重要。

つまり結果的には潜在的な樹液を見つけておくことで成果に繋がる可能性が高いのです。

ではどんな樹液が後ほど発酵するかというとこれは樹液流出のメカニズムを理解することが確実です。

木々には蛾やカミキリなど外部からの傷が開くことで樹液が流れます。

樹液自体には微妙な糖度が含まれており、これに酵母菌などが付くことで発酵します。この際に温度や水などの外部条件も関わってくると思われます。

強い発酵はしていないが甘い香りがするサラサラとした樹液。先程の例の季節が進んだ姿。

樹液は養分が含まれているため、流出→乾燥を繰り返すと、ジュースをこぼした跡のシミのように残ります。つまり木々に黒いシミが蓄積されて残るんですね。

ナラ枯れによる攻撃を受けた木々を見れば樹種を判断する必要はありません。
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まだ知らない方はこの機会に最先端の探し方を抑えておきましょう。

このブログでおすすめしているナラ枯れ樹液採集では度々これを指摘しています。加えて幹などに黒いシミがないかしっかり確認しておきましょう。このシミがわずか数日の差で発酵してくる可能性があります。

特に強い発酵樹液を出しつつナラ枯れへの耐性が強いカシ類の発酵が始まると樹液酒場は一気に賑わいだします。

数日違うだけで雑木林の昆虫数が違うというのがこの初夏~夏への切り替わりタイミングで起きるため、そのタイミングを狙えるのが良いですね。



夜の高尾で成果を上げるために

当ブログの記事を読んでいただければ夜の高尾では実に多くの昆虫に遭遇できることがわかります。

去年7月上旬の高尾。もう夜高尾の時期は目前!

そして今年は行ってみようかな?と思う方も中にはいるかも知れません。もちろん夜から行くのもよいのですが、昆虫採集は下見がとても大事なんです。

クワガタ類の採集は下見で得られた情報からの考察の答え合わせを夜にするものです。

外灯採集だけをやるつもりならば昼間の下見は必要ありませんが、外灯と樹液の両方を効率的に織り交ぜて採集したいならば下見は必ず行いましょう。

逆に私は外灯に絞る!というのも選択肢としては良いものです。その際は外灯のやり方だけは理解しましょう。

下見をしておけば回るべきポイントを事前に押さえておくことができます。

迷路に初めて挑む人はそのエリアの中で右往左往しますが、迷路の中の見るべきポイントを事前に分かっていれば行き止まりの路地に迷い込むことなくポイントを回れますよね。特に親子の場合には最終ケーブルカーまでの時間になるはずです。時間を最大限活用するためにも下見はおすすめです。

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より虫好きの方に人気の高いヨコヤマヒゲナガカミキリ。夜の高尾に行くならばぜひとも見ておきたいおすすめの虫です。ミヤマよりも珍しい!

夜高尾でおすすめしたいアイテムの紹介

夜の採集ではやはり長竿網が欲しい所です。メインとなるミヤマは飛翔性も高く手が届かないという事態がよく起きます。
夜高尾以外でも虫全てに使えるものとなるため、昆虫に触れる機会が増えそうな方は一考をおすすめします。夜の山ではライトが欠かせません。高いライトには高いなりの理由があり、もし安物でいいやとお考えの方は1度スペックやレビューだけでも読んでみると考えが変わるかもしれません。

上記のアイテムに関する記事について
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これらの記事よりおすすめ道具の詳細を読めます。夏の夜の活動にぜひ。