愛されるアケビという植物
アケビを知っていますか?現代の日本人では知らない方も増えているかもしれませんね。

アケビは身近な環境にも生えているつる植物で、春には新芽が、秋には果実が食べられます。
特に果実が有名であり、近くのスーパーでは果実が販売されていたこともありました。
買うのはちょっとあれだけど一度くらいは口にしてみたいという方に向けてアケビの探し方や食べ方、その味わいについて紹介していきます。
アケビとは
アケビはアケビ科のつる植物の1種です。

非常に身近でも目にする植物であり、通常5枚の葉が放射状に広がるという特徴があります。
類似種には3枚の葉を持つミツバアケビや革質で厚い葉を持つムベなどがあり、後者は庭木やグリーンカーテンとして活用されているなど目にする機会が意外とあります。
アケビはおよそ春先頃から新芽を出し、花期は4月頃になります。花は特殊な形状をしており、いわゆる花びらを持ちません。
ガクだけから形成される単花被花(たんかひか)という珍しい花の形状を持ちます。
単花被花はあまり多くは無い花のタイプであり、身近な例ではウマノスズクサ科の植物のカンアオイなどが代表例です。

似ていますよね。
夏頃に緑色の実を付け、秋に向けてコレが紫色に変化してきます。
実は熟すと自然とパカリと割れて、中身の白い果実が露出します。
アケビの探し方
新芽にしろ果実にしろアケビを味わうためには事前の準備が非常に大切です。

新芽についてはアケビは類似の植物が無いため、その時期に探しても苦労することはありませんが、果実については比較的大型の株でないと十分な実ができませんので、葉の大きさやつるの規模感を見て個体の大きさを確認しておきましょう。
ペットボトル位の太さ以上の木に張り付いているぐらいの威勢のいい株を選ぶのがおすすめです。
出現環境は林縁部がとても多いです。

アケビの果実は鳥散布や動物散布であると考えられ、これらの生き物は林縁部にふんをするために発芽が林縁部に非常に多くなります。
探してみれば雑木林やちょっとした緑がある場所ではまず見つかるぐらいには良く生えています。
葉は目線より下にある場合が多いのですが、実は目線より上にあることが多いため、絡みついている枝などを見つけたらよく覚えておきましょう。
果実の時期は関東平野部を例にすると10月の頭から下旬ぐらいまでとなります。

夏頃に緑色の拳ぐらいの実がついていると思いますので、秋になってから探すのではなく夏に見つけたものを空きに回収に行くという感覚で探すと見つけやすいと思います。
実を付けるような大きな株は見つけるのにちょっと苦労しますが、林縁部のマント群落の中や込み入った枝の中などに侵入しているケースが多いのでよく探してみましょう。
それから周囲にアケビのつるが多い場合でも周辺に親株となる大きなアケビがある場合が多いです。
アケビの果実の味わいと楽しみ方
アケビの果実ですが、自然界ではかなりのご馳走であると言えます。

この実は白い部分を食べるのですが、食べてみれば分かる通り歩留まりはかなり悪いです。
およそ80%ぐらいが種となっています。
白い僅かな実はゼラチンとクリームを混ぜたような特殊な食感をしており、甘味に関しては割れて熟したものであれば自然界隋一の甘さを誇ります。
あんこたっぷりの大福を食べた時に甘いなこれと口が甘々になる場合が多々あるかと思いますが、アケビの果実ではこれと同じことが起こります。
一房で見るとあまり実の量は大きくないのですが、一口で満足してしまうぐらいねっとりとした甘さが口に広がります。
後は種ですね。種は口から吹き飛ばして次世代に貢献してあげましょう。

アケビはデザート的な側面が強い果実ですが、その皮を楽しむという方法もあります。
せっかく入手したならば経験のためにも皮を食べてみましょう。
しかしそのまま食べてはいけません。アケビの皮は苦みが結構強いのです。
ゴーヤ未満ピーマン程度ぐらいの苦みがあります。

ほろ苦い酒のつまみなどが好きならば気に入ると思います。
調理方法は皮は厚みがあるので調理しやすいようにお好みで切ります。
それを炒めます。味付けはお好みでよいです。
食べてみると分かりますが、アケビの皮はふんわりと苦いナスのような食感をしています。

アブラとの相性がいいなと感じられる食材であり、結構好きな方も多いんじゃないかなと思える味わいをしています。
私が作ったのはアケビの肉みそ炒め。寒い時期に河川敷で友人と調理しました。
ちょうどアウトドアにはまっていた時期なので飯盒でみそ汁や米を炊き、味わったみそ炒めは思いのほか皮ってジューシーなんだなと思いました。
苦味が炒めるとマイルドになるため、食べやすかったですね、

意外と味の吸い込みが良かったのも覚えています。
と、なかなかに皮を食べている人は少ないので貴重なエピソードにもできます。ぜひ試してみてください。
アケビと自然の関わり
アケビはどこにでも生えているような植物なのですが、自然の中ではどんな植物なのでしょうか。

つる植物は他の植物を利用して太陽光の競争に勝つ非常に優れた植物と言えます。
特にアケビはその甘い果実を利用して鳥や動物といった移動性に優れる生き物に種子を運搬してもらいます。
果実の多くを占めるアケビの種は発芽率も高いらしく雑木林のあちこちで見られるほどうまく自然を利用しています。
植物の界隈というのは囲碁の様に陣取り合戦をしているのですが、動けるという点においてルール違反のような優位性を持つことが分かりますね。

つる植物同士が絡み合い、マントのように垂れ下がるマント群落はカマキリなどが良く出現する足場となる他、その多い方によっては下層植生を衰退させるほどの力を持ちます。非常に強力な習性です。
陣取り合戦に強いアケビですが、アケビコノハのようにアケビを食べる天敵についてもよく知られています。

名の通りアケビによく発生する大型の蛾なのですが、成虫は枯葉に擬態した面白い姿の蛾です。
山地などの珍しい蛾と思われていますが、個体数が多くないだけでアケビが身近にある分平地でも目にすることができます。

出現は私の観察では夏頃と秋口での確認が多く、夜行性で光によく集まってくるという特性があります。
この時期の熟れたカキなどを食していることもあるようですね。
アケビは人だけでなく動物や昆虫など色々な生き物が利用している植物なんですね。
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