初夏の5月~6月頃見つかるキイチゴ
キイチゴといえば代表的な野食の食材として多くの方に愛される山菜です。

およそ初夏頃にかけて色々なキイチゴの仲間が実を付けますが、あまり自然に詳しくない方からするとこれは本当に食べても大丈夫なのか心配になりますよね。
そこで今回は平地からやや山地にかけて目にする赤やオレンジ色のキイチゴの種類を紹介し、おすすめの食べ方なども紹介していきます。
キイチゴとは
キイチゴはバラ科のイチゴのような果実を付ける植物の総称です。

大抵の種類で甘みと酸味があり、種はかなりはっきりとしたものが多いです。
キイチゴの出現はおよそ4月の下旬ごろから始まり6月頃程度まで探すことができます。(一部冬に実を付けるものもあります)
キイチゴの仲間はバラ科の植物であることから花の姿が想像しやすいという特徴があります。
これは春に咲くサクラ類がバラ科であるため、我々に馴染み深いお花であるからです。

また、バラにトゲがあるようにキイチゴの仲間の多くには幹や葉にトゲがあります。
そうした色々な要素を見ていくと花や果実の時期以外でも探すことができるようになり、キイチゴ類を味わえるチャンスが増えるはずです。
モミジイチゴ
モミジイチゴはバラ科の植物の1種です。

美味しいキイチゴ類の代表格であり、果実がオレンジから黄色をしているため、間違えることもほとんどない優秀なキイチゴです。
花期は4月から5月頭ぐらいで、果実は4月下旬から6月頭頃まで見つけられます。
果実はさすがにおいしくみずみずしいのはもちろんなのですが、なんといっても酸味が少なく甘みが強いのが特徴です。
モミジイチゴは見かけたら食べずにはいられない位普通においしく、5月頃の自然の散策を楽しくしてくれるとてもいい山の恵みです。

なんといっても色がいいですよね。私美味しいですよと言っています。
モミジイチゴは日当たりを好む植物ではなく、どちらかというと林縁やクヌギコナラなどの広葉樹林の木漏れ日が差す程度の環境に生えていることが多いです。
探す場合には半日影環境を見ていくのがベストで、林内には実はたくさんのモミジイチゴが見つかります。
低木で樹高は2m程度、幹にはとげが生えていることから環境条件も見分けもしやすくかなり見つけやすいうえにおいしいと完璧です。

花は白い桜のような姿をしているのですが、下向きに咲くという特徴があります。受粉を助ける花粉運搬者をハチ類に絞り込む植物側の戦略で、このためかモミジイチゴの結実率はかなり高く感じます。
一方で下向きに果実もできてしまうため、モミジイチゴの場合には上から見ているとあまり見つからないので気を付けましょう。
しゃがんだり葉を見上げるような形をとるとうまく見つけやすいですよ。
クサイチゴ
クサイチゴはバラ科の草本です。

モミジイチゴと並ぶ美味しいキイチゴの仲間で、平野部でもかなり見つかるからか一般層の認知度もかなり高い野食です。
花期はおよそ3月から5月頭頃で、果実は4月下旬ごろから5月下旬ごろまで見つけられます。
モミジイチゴと異なりかなり日差しを好む植物です。
時折植え込みや暗所から発芽して伸びているものも見ますが、味が安定しているモミジイチゴと異なり、クサイチゴの味は太陽光がよく当たるかどうかでご馳走から吐き出すレベルまで様々です。
このギャンブル性が楽しめるイチゴですね。

果実は赤色をしており、大人の親指の先位の大きさがあります。種もはっきりとしています。
当たると非常においしいイチゴなのですが、外れるとかなりまずく一瞬で口の中が台無しになります。そのため生食はあまり私はしません。
クサイチゴは林縁環境によく生えていますが、日当たりのいい林縁に出現しています。

また種子が鳥などにより散布されるため、電線の下の草地などにもよく見られます。そうした環境に春訪れれば上向きに咲く大きな5枚の花弁を持つ白いお花が咲いていたり、赤い実がついている植物が見つかるはずです。

一方で赤いイチゴとしてヘビイチゴがあり、これと間違えないようにする必要があります。2者は葉が全然違うので葉の雰囲気だけ覚えておくか可能なら花まで覚えると一目瞭然です。
草本ですが、トゲもちゃんとあり、1年目で成長し2年目でイチゴを付けます。
ニガイチゴ
ニガイチゴはバラ科の植物で低木となるキイチゴの仲間です。ここから下はキイチゴの仲間の中でも認知度が落ちる種類です。

ニガイチゴは花期が4月上旬から中旬で、果実は5月下旬から6月上旬ごろに見られます。
果実の雰囲気は赤いモミジイチゴのように粒がはっきりとしており、美味しそうな雰囲気をしています。

果実は甘みがあり美味しいです。
通説として名前の由来が種に苦味があると言われているのですが、私が食べたものは苦みがありませんでした。
食べたサンプルが少ないので今年チャンスがあればいくつか試してみようと思います。

花はモミジイチゴやクサイチゴとは異なり、細い線形の白い花びらを5枚つけます。
茎にはチョークを塗った様な白い特有の色味があり、他のキイチゴと同様トゲがあるため慣れると非常に簡単にわかります。
葉も特徴的で、もみじ饅頭のような姿をしています。
生える環境ですが山地の林縁に多いという印象です。モミジイチゴと同じような場所で見られますが数はずっと少なく、見かける機会があればぜひ味わってみて欲しいですね。
ナワシロイチゴ
ナワシロイチゴはバラ科の低木です。

苗代の時期に花や果実が見られることから名づけられており、キイチゴの仲間の中では比較的出現が遅い種類です。
ナワシロイチゴの開花期は5月頃から6月上旬ごろに多く、果実は6月中位に見られます。
花は前3種とは明確に異なっており、花の時点でイチゴのようなピンク色をしています。
果実は粒が極大です。まだ食べれていないので味わいなどについては食べてから更新したいと思います。
出現は意外と平地にもよくあり、半日影程度の林縁によく見られます。これもおそらく鳥による散布の影響かと思われ、林縁の中でもやはり鳥が止まれる木の下などにあることが多いです。
クマイチゴ
クマイチゴはバラ科の植物の1種です。山地の日当たりがいい環境に自生しますが、庭木などでも目にする機会があります。

葉が前者たちと比べると明らかに大きく、葉一枚で手のひら以上の大きさがあります。
実の写真はないのですが、大きな実を付けます。食べれたことが無いので味の評価は不明です。
フユイチゴ
フユイチゴはバラ科の植物の1種です。

晩秋から初冬にかけて果実を付けるのが他種との大きな違いであり、季節外れのイチゴを楽しむことができます。
また、土中の水分をかなり好む種類であり、沢沿いに隣接した斜面などで目にすることが多いです。
果実は粒が大きく美味しそうなのですが、期待するほどおいしいという感じではなかった記憶があります。

加えて葉の下についていることが多いので汚れていることも多く生食はちょっと気が引ける場合もあります。
これはフユイチゴがやはり泥跳ねなど多い環境に多いことも一端としてあります。
ランナーで増えていくので自生地にはたくさんのフユイチゴが生えています。
外れのキイチゴ
ヘビイチゴ
ヘビイチゴはキイチゴの仲間とは異なり、ハズレのいちごです。

しかし個体数的には最も目にするため、記事を読んでいる人の中にはこのいちごしか知らないという可能性も十分にありえます。
私は食べたことはありませんが、味がないことがよく知られていますね。
クサイチゴとの見分けについては記事を出すのでそれを参考にしてください。
番外編
キイチゴににていますがキイチゴではないものについて軽く触れます。
クワ
クワは5月下旬頃に身をつける紫色の小さな葡萄みたいな植物です。

マルベリーの名で知られる美味しい山菜で、個人的には自然でつまめる果実の中では最も美味しいものであると思います。似た植物もないので安心して取れるのもいいですね。
コウゾ
コウゾもクワ科の植物で赤いキイチゴのような果実を付けます。

季節が6月中ぐらいと遅いのが分かりやすい判別点であり、果実は柔らかくぬめりが強いです。
甘みが人工甘味料のようにかなり強いのも特徴ですね。
甘いのにあまり美味しいものではないです。
キイチゴ類の食べ方
キイチゴ類の食べ方ですが、基本的には生食が可能です。

生食をする場合には小さなアリに注意が必要で、果実の粒の隙間や茎との接合部の隙間などに入っていることが多いです。生食するならよく見るだけでなく内部までしっかり見ましょう。
採取については常温では茎から取ると果汁が漏れてしまうため、密閉容器に保存してしまうことをおすすめします。せっかくの美味しい果汁が流れてしまい、ベトベトになります。

加工としてはジャムがやはり安定です。

つぶつぶ感が味わえるとても美味しく色合いもきれいなジャムを作ることができますよ。

自分で取って自分で作り、味わうという贅沢をすることができますね。
シーズンが始まっていますので、興味のある方は急いで雑木林に向かってみてください。
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