タンポポってこんな感じ?
春の代表的な山野草といえばタンポポですよね。

昔ながらの和歌にも乗る懐かしの存在としてのタンポポ。そうそう黄色くてこんな感じの花で...あれ?背丈こんな感じだっけ?花小さくない?
そんな風に感じることがありませんか?そこで今回は身近で目にするタンポポみたいな花を紹介していきます。
タンポポとその仲間
タンポポはキク科の植物の仲間の中で、色々なタンポポの総称です。

現在身近で目にするのはセイヨウタンポポという荒れ地や乾燥地への適応に優れた外来種のものであり、クローン繁殖する種類です。
花は舌状花(ぜつじょうか)と言って舌を集合させたような面白い形をしており、タンポポのお花というのは複数の花の集合体によって成り立っています。
桜の花びらの後にサクランボができるように、通常花後に果実は一つできます。

タンポポは綿毛が果実と言えるわけですが、まん丸のたくさんの種を付けますよね。これはつまり黄色い舌状花それぞれがお花であることを証明しています。
およそ3~長期間にかけて花をつけ、花は昆虫により受粉する虫媒花(ちゅうばいか)。種は風によって飛ばされる風散布の形態をとります。
通常葉を地面にべたりと広げてその中央から花茎という花をつける茎を伸ばします。
黄色いタンポポみたいな花
ノゲシ
ノゲシはハルノノゲシの名でも知られるタンポポみたいな花をつける植物です。

キク科の植物であり、花はタンポポと比べるとガッチリと基部が固められている印象を受けます。
花の形は舌状花でタンポポと同じ、種子も綿毛を付けてタンポポと同じなのですが、背丈が1m近く立ち上がるという点で、タンポポとは異なります。
非常にしっかりとした植物であり、タンポポは通常葉を地際でべたりと広げるのですが、ノゲシは底から葉を付ける茎がしっかりと立ち上がり、分岐した枝などにも花を複数付けます。

葉は段々状でとても大きく、大人の手の平と同等かそれ以上大きくなり、紫色帯びることも多々あります。
タンポポっぽいけどもなんか背丈が高く、葉もしっかりしている場合には本種が疑われますね。
オニノゲシ
オニノゲシはタンポポと近しい環境に生える外来種のタンポポみたいな花をつける植物です。

こちらもキク科の植物であり、花は黄色で舌状花のみ、綿毛を付けるのもタンポポと同じでがっちりした見た目で1mぐらい立ち上がるという点でノゲシとも似ています。というかノゲシにそっくりです。

明確に違うポイントとしては葉に非常に鋭いトゲがあるというところです。
こうしたいかつい見た目のものに植物名としてオニが付けられることがあります。例えば外来種のアメリカオニアザミは1.5m位になり刺さるほどのトゲを持つ強烈な植物ですが、名にオニがあります。
タンポポっぽくてトゲがあるだけで種類を特定できるため、非常にわかりやすい植物ですね。
ジシバリ
ジシバリはキク科の植物でタンポポに非常に似た花をつけます。

姿かたち、背の高さなどはまさにイメージとしてのタンポポで、実際にタンポポが生えているという声を多々耳にする植物です。
ジシバリも舌状花のみでそれが黄色い植物です。花茎が短いことが多く、多くの場合通常のタンポポより短いことの方が多いのですが、この植物は群生する傾向にあります。

これはジシバリは地下の茎を横に広げてそこから新しい株を出すためです。この様が地面を縛るように見えることからジシバリに名がつけられています。
ジシバリの群生地ではタンポポよりも半分程度の似たお花が大群生していることも多く、なかなか悪くない光景を見ることができます。
しかしこれだけでは似すぎていて分かりませんよね。
ジシバリの明確な違いは葉の形です。

タンポポはロゼットと言い上から見ると放射状に葉を広げていくという特徴があります。ちょうど時計の針が全方位に向いているような姿ですね。
ジシバリの葉はヘラやスプーンのように例えると分かりやすく、櫛に刺さったおでんみたいな形をしたタンポポの葉とはかなり異なります。
類似のオオジシバリもタンポポに似ていますが、葉がへら状なのでタンポポと迷ったときには葉に注目してみてください。
ブタナ
ブタナは5月頃に目にするタンポポみたいな花をつける黄色い植物です。

花はタンポポに瓜二つであり、タンポポモドキの呼び名がある程です。
しかしブタナを見た人は花の位置が高すぎないかと疑問を覚えるはずです。この植物は葉と花の位置が離れすぎているという特徴から見分けるのは簡単です。
葉は地面にべたりと張り付いており、踏まれることに対してかなり強いと言えます。

そこから花茎をひたすら何十cmも伸ばしおよそ40~60㎝程度のところで花を付けます。
この様子からブタナの群生地ではひも付き風船をたくさん飛ばしているかのような、茎と風に煽られる黄色い花という面白い光景が見られます。
なかなか乙な風景で外来種ながら悪くない初夏を感じさせる植物です。
コウゾリナ
コウゾリナはキク科のタンポポに似ているお花をつける植物です。(写真は取れ次第更新)
背丈が高いので一見してタンポポではないと判別できる程度の違和感があります。一方でお花はタンポポを始め今回紹介した花たちにも非常に似ている舌状花を付けています。
コウゾリナが決定的に他種と異なる点は茎や葉に赤みを帯びるトゲを持っているという点です。
これにより、タンポポ以外の類似種とも明確に見分けることができます。コウゾリナは顔を剃るということから由来が来ているとされており、その棘にまみれた特有の姿を例えたものです。
棘はなかなかに硬く、刺さるというよりはゴワゴワ異物感があるという意味でひげっぽいかもしれません。
花後はもちろん綿毛を作り種を飛ばします。
オニタビラコ
今回紹介する黄色い花の中では一回り以上小さい植物です。


日本の様々な草地や荒れ地などで目にする植物で、セイヨウタンポポなどと同時に目にする機会が多いです。

花後にできる綿毛は小さいですが、数も多いので種子散布能力には優れるらしく、他の植物がなかなか根を下ろせない人工物周りでもよく目にします。

葉はタンポポに似ています。ですが、花を複数つける点などで判別は簡単です。
白いタンポポみたいな花
ハルジオン/ヒメジョン
4月頃から夏頃にかけて背丈がそれなりにある白いタンポポみたいなお花も目にするはずです。

その植物はおおよその場合ヒメジョオンとハルジオンになります。
この植物はタンポポと異なり花の中央部に丸みがあることが分かります。
ハルジオンとヒメジョオンは舌状花にプラスして筒状花(とうじょうか)を持つのです。

キク科の多くは舌状花もしくは舌状花と筒状花、筒状花のみのパターンが多いです。
タンポポを中心に見ていくとおよそ舌状花ばかりになってしまうので、別のパターンを見せるという意味でも紹介しました。
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