外灯で探す春の名物
高尾山の春といえばいくつかの虫の名前を上げることができます。

コツバメやスギタニルリシジミ、ヒラヤマコブハナカミキリなどなどのいい虫も見られる高尾ですが、やはり欠かせないのはイボタガやエゾヨツメではないでしょうか。
今期はライトトラップを活用して既にイボタガやエゾヨツメに遭遇していますが、やはり高尾山においてもどんな感じなのか見ておきたいという感じがあります。
昨年は早期飛来の個体を運良く捕まえることができましたが、傾向などもよくわかっていません。
そこで今回は外灯採集という手段でどの程度遭遇できるものなのかを体験してきました。また、副産物として最近ブームでもあるオサムシ類の内、エサキオサムシの配色違いなどを狙ってきました。
今回は虫好きの仲間と終電を気にしない訪問です。
絶好の条件の高尾山中
つい先日、月齢もよく人も絶対いるだろうと思われるタイミングでの訪問となります。
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(今週は本日で高尾を含めて夜の山で4回目。疲労困憊ではある)
今週は夜間の活動が非常に多く、疲労はかなりたまっています。
併せてブログ作業などの液晶による眼精疲労の影響か睡眠もとれておらず、日曜時点の朝の段階でフラフラするぐらいの劣悪コンディションです。
さすがに今週は無理をしすぎましたね。

ただしこんなにイボタガの時期と月齢の条件がいい時もなかなかありませんから各所でのイボタガの情報収集には頑張っていきたいところです。
さて、麓到着時点で20時を回っています。夏ならばケーブルカーがありますが、この時期にはありませんので麓からの登山が待ち構えています。
1号路ってきついんですよね。
麓外灯の様子を見つつ1号路への道を進んでいきます。ところが...
日曜の夜という割には人が全くいません。

こんないい条件の土日ですからえらいこっちゃで混んでいるのかと思いましたが、深夜帯に活動するといわれているイボタガは帰宅も遅くなる場合が多いので金土辺りに集中するのでしょうかね?
なんてことを思いつつ暗闇に足を運んでいきます。
麓から中腹までは気温が熱く苦労するものですが中腹の途中位からは涼しくなり快適度も上がります。
そんな中足元に気をつけながらエサキオサムシを観察していきます。
エサキオサムシはクロオサムシの亜種の一部であり、基本的には赤銅色のような色合いをしています。

高尾においてはこのオサムシがよく徘徊しており、潰されてしまっている場面などにはよく遭遇します。
レアカラーとしてグリーン系や黒系がいることも知られており、オサムシの美しさに最近はまっている私としてはぜひともこのカラーバリエーションは探したいと思っているものです。
ただ、マイナー寄りのジャンルであるからか当地における色合いの情報というのは全然ありません。
オサムシ類は山地や河川敷を挟むことで色合いが変化したり移行帯といって両者の特徴が混じるエリアが見られたりします。
高尾の山系においても色合いが偏りやすい場所というのがあるのでしょうか。
雑談をしながら暑い登山を続けていると、オサムシ系らしいフォルムの虫が地面を徘徊していました。

その姿がチョコレート系の色ではなく、黒系であるように思いました。ライトを反射するとほんのりグリーンの色を帯びたようにも見えるこのオサムシは、アオオサムシかと思いましたがサイズ感を見るにエサキオサムシであるようです。
幸先よくエサキオサムシの黒化型に遭遇できたようです。後程見てみると前胸背に緑色を持ち、エリトラの縁にも緑色が入る非常に美麗な感じでした。
これは今日これからの採集を祝福するかのような好調のスタートですね。
イボタガの出現
中腹エリアからはご存じの通り外灯が出現します。この外灯を見て回ることになります。

とはいえこの外灯エリアでの事情というのは夏ならばともかく春の夜においてはあまり分かっておらず、果たしてどんなものなのでしょうか。
中腹に到着した時点できっと人が結構いるだろうなと考えていましたが、なんと実態としてはライバルは0。
この結果だけを見ると春の蛾ってあまり人気がないんじゃないのか?と思ってしまうかもしれませんが、別件で夜の春高尾に来た際には十数人が徘徊しているのを目にしています。
恐らく今日は非常にいいコンディションであり、普通ならば多くの春蛾愛好家が訪れているはずです。

ここで思いついた仮説が人気行列ラーメン店は時折非常に空いていることがあるというところです。
すなわち今日のような風もなく月齢もよい祝日は人がたくさん来ているに違いない。
いつも人が並んでいるラーメン屋さんだから今日も混んでいるはずだから行くのはやめておこう。
このような心理が働いて最高の条件であるのに人が全くいない状況が生まれていたのではないのかと思います。

これは逆に人がいなくて怖いですね...
まあ今日はソロではなく、隣にいるのは屈強なマッチョです。安心して山を進めますね。
さて、ここ最近の当地におけるイボタガの状況は悪くはない状況といえそうです。SNSなどでも採集の報告が上がっていますから、ぜひとも友人に一匹はその素晴らしい姿を見せてあげたいところです。
外灯を見て回りつつ飛来する個体や飛来していた個体がいないかを見ていきます。
今回は高尾のカミキリ屋さんと遭遇した際に新たにいい情報を得ていまして、私ならここで張るかなというような情報があります。

彼もまた高尾という地に詳しい虫屋であるため、その情報は信じてみる価値があるといえるでしょう。
早速ライトトラップに集まる虫のようにその怪しい場所に向かってみます。
何かしらの豚らしきフゴっというような嫌な声が聞こえる斜面に注意を払いながら様子を見てみることに。
外灯には虫はいない?というように思ったのですが、バサリと飛び回る蛾の姿がワンテンポ遅れて現れました。
もともと来ていた個体が再度飛んだようです。


今期はライトトラップのおかげで春の大型蛾の姿をすでに見ていましたのでハネナガブドウスズメやエゾヨツメでないことは瞬時に分かりました。
採集はせっかくなのでマッチョな相棒に任せ、大型蛾の力強さ、模様の美しさ、毛で滑るボディ、そしてその翅の芸術差を堪能してもらうことにします。
マッチョな友人は今季2度目のイボタガの採集であり、前回は不発に終わってしまいました。
麓にある599ミュージアムにある標本を見ており、一度ぜひ見て見たかったとのことであったのでこの遭遇には随分と喜んでいたようです。

イボタガは虫ビギナーからベテランまで虫好きの多くを魅了する何かがありますよね。
遭遇のレベルもオオトラカミキリなどに比べれば全然何とかなるレベルであり、かといってたくさん出会える感じでもないので適度な緊張感と出会えた嬉しさを味わうことができるいい昆虫だと感じます。
とりあえず目的のエサキとイボタガに出会えたので今日の勝利ラインは超えられました。
ここからは追加などを求めて探していきたいですね。
遭遇はタイミングが命
最初のイボタガに遭遇したあとにはさすがにテンションも上がりますので、気力が湧いてきます。

採集においては波というのがあるように思います。
一匹目のイボタガに遭遇し次の外灯を目指して暗所を歩いていると、友人の足元にイボタガが飛来したようです。
私には全く見えておらず、外灯もないような場所でイボタガが飛来しました。

友人はイボタガを寄せるフェロモンでも放っているのでしょうか?というのは冗談で、この現象にはここ1週間の内で心当たりがありました。
イボタガというのは強力なLEDフラッシュライトにも反応して寄ってくる性質があるようなんですよね。
この1週間で3例のイボタガがLEDフラッシュライトの明かりに反応して暗闇の中から突如として表れています。(今シーズン3/12が手持ちライト)
私はライト好きでもあるため、色々な強力なライトを所持しています。友人にもそのライトの内サーチライト型の強力なものを渡していたのですが、それに反応したようです。
イボタガに限らず蛾類には600lm位からの光に反応する様子が見られます。

我々は道中で1000lm以上を使用していますから、暗所でそれがライトトラップのように機能したのでしょう。
外灯には勝てませんが、何もないところでは強力なライトを活用してみるというのも一つの手段として生きてくると感じています。
ということでいい波が来ており、1匹目から10分後程度に2匹目のイボタガに遭遇できました。
このままの感じで行くと今夜は人もいないし個体数を増やせるんじゃないかと期待が高まります。
深夜帯に居残りしているイボタガ
外灯を徘徊しているとまさかの黒いオサムシが歩いているのに気が付きました。

これはエサキオサムシの黒化型?1匹目に遭遇してレア個体を捕まえてラッキー!?なんて思っていたら2匹目に遭遇してしまいました。
古のネットミーム「まれによくある」という現象なのか当地では実は気にしてないだけでそこそこいるのか不明ですが、オサムシ好き的には色違いを捕まえられるのは嬉しいので問題ありませんね。ラッキーでした。
その後、イボタガの飛来はずっとなく、イボタガが真夜中に活性があるという説にはやはり疑問が残ります。

エゾヨツメの日没直後仮説というのは採集をしていると明らかに感じますが、イボタガの深夜や遅い時間の飛来というのは少なくともここ1週間程度探してみている感じでは全くそんなことはないように思いますね。
イボタガについては仲間たちと考察していてもなかなかに面白い話ができるので、いずれ飛来の時間帯や要素について考察していくかもしれません。
そんなわけで仮説について文句を言いながら前にお会いした虫仲間からオールしたらここで見られましたよ。と教えてもらった場所へ。
イボタガの成果がある場所というと高尾山全域であるようにもはや感じられますが、結果があるところではより慎重になるのが虫屋というもの。
集中力を持って探してみることにします。すると...?

ササの葉の裏面にイボタガがついているではありませんか。なかなかにうまく隠れています。虫ビギナーのマッチョな相棒は気が付かなかったようで、そういう点ではこのイボタガはうまく止まっていたのでしょう。
しかし私は彼よりももう少し経験があります。私の目は欺けなかったようですね!
ということで下山間際の外灯で3匹目を見つけることができました。滞在時間こそ長かったのですが、ライバルがいない時間帯であることや人がいないこともあって上々な成果を今年は上げることができました。



昨年は外灯で待ち伏せるスタイルをとりましたが今年はアクティブに動き回ることで成果を上げることができました。
どちらのスタイルを選択すべきかは高尾という地においてはライバルの数に応じて変えるべきなのではないかなと思います。
深夜飛来というのは別にないように思いますね。イボタガにおいては広く生息しており、飛翔している場所に偶然出会えるかどうかという感じな気がします。
下山中にまさかの遭遇
さて下山していきます。この日は人が全くいませんのでちょっとドキドキします。

というのも人の往来がないと獣との遭遇率が上がります。
3匹目のイボタガの時には頭上で謎の生き物が鳴いており、不気味でした。恐らくムササビの発情タイミングの声であると思われます。過去に聞いたことがありましたが、当初はアライグマの声かと思っていました(笑)

中腹でもタヌキやアライグマに遭遇します。動物の声が聞こえたり謎の音(金属音のようなやや不気味な音)が聞こえたり今日の山は色々とにぎやかです。
下山中にタヌキが急に道に出てきておお!狸が出てきたぞ!なんていっていたら消えてしまいました。

友人は鼻が利くようで動物臭がするね~なんて言っていたんです。ガサガサという音の程度で何となく対象動物のサイズが分かるという感覚がありますよね。
下山中にタヌキ程度のガサガサ音が聞こえたのです。
アライグマが多いエリアだったのでタヌキファミリーかアライグマがいやがる!と友人と笑いながら斜面の音の正体を探ります。



が、姿が見えません。いや、姿が見えないのではなく私の目が小型や中型程度の動物であると認識していたのでその対象が分からなかったのです。
その場所にいたのは大人の腰ぐらいの体高がある巨大イノシシ。対象は灰色で土に溶け込んでおり、目先7mほどの場所にいたにもかかわらず低木が揺れているのを認識するまで分かりませんでした。
ライトを照らし認識した瞬間にこれまで哺乳動物では聞いたことのないような重量感のあるドサササササ!!!!
というようなとんでもないスピードで走り去るイノシシの姿を見て我々は一瞬で背中に寒気が走ったのでした。
改めて夜の山は夜の山として危険であるというのを認識しました。30数回ぐらい上っている夜の高尾ですが、このような遭遇は初めてです。

今日あったオサムシやイボタガとの出会いその他もろもろのいろいろな体験のすべてを吹き飛ばすような出会いに、我々は下山中もイノシシとの遭遇をテーマに議論を重ね、どのように出会わないか、出会った瞬間の緊張感、あの場面の振り返りで怖がりつつもある種他では味わえないアドレナリンの分泌を感じ、忘れられない一夜を味わいました。
皆様も夜のイノシシにはご注意ください。
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イボタガの採集には長竿網が欲しいです。
標本にするならば展翅版などが必要です。
高尾山昆虫シリーズ
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次回はミヤマカラスアゲハ編です。
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今期第一回目のものはヒラヤマコブハナカミキリでした。本記事で触れた高尾のカミキリ屋に見せてもらうことができました。
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昨年の観察シリーズです。昨年は外灯で定点的に観察しました。2025年のものが連続で読めます。
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2024年編はミヤマクワガタから冬までです。
春の蛾採集シリーズ
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イボタガとエゾヨツメ編はこれらの記事から楽しめます。