ツツジの葉を食べるのはハチ
タイトルでハチが葉を食べるんですか?と疑問がわく方も多いかと思います。

葉を切り取って持ち帰るハキリバチの仲間は葉を切り取る変わったハチと言えますが、ハチの中には幼虫がイモムシであるユニークなものもいるんです。
それがハバチの仲間です。
今回はツツジ科の植物を利用するルリチュウレンジハバチというハチを紹介します。
ルリチュウレンジハバチとは
ルリチュウレンジハバチは春から秋の終わりごろまで発生する体長1㎝程の群青色に輝く大変綺麗なハチです。

ミフシハバチ科のハチの仲間ですが、成虫には針が無く、幼虫は蝶や蛾の幼虫のようなイモムシ型をしているのが特徴です。
つまり掴んだり触れても全然問題はありません。
ルリチュウレンジハバチはツツジを専門に利用するハバチの仲間で、幼虫は頭部が黄色く全身は緑色をしています。

成虫のルリチュウレンジハバチはツツジの葉裏の縁をなぞるように卵を産み付けるため、幼虫の移動性はあまり高くはなく、一か所に大量に見つかることが多いです。
成虫は衰弱もしくはやや日影的環境のツツジを好む傾向があるように見られ、条件のいいツツジの周りでは大量のルリチュウレンジが見つかることもあります。

結構綺麗でかわいい虫です。セイボウほどではありませんが、針が無いことが知られれば人気になれるポテンシャルがあると思いますね。
ツツジの葉を食べる害虫
お世話しているツツジ類の葉が先端からなくなっている場合にはこの虫による食害の可能性が考えられます。

幼虫は非常に大きくなり、かつ発生個体数も多いためにルリチュウレンジによる食害を受けたツツジの仲間は部分的に丸裸となってしまいます。
食痕の特徴としては葉の中心部分を通る芯の部分が食べ残されるため、ギザギザ状の物体のみが残った不自然な姿となることが多いですね。

被害を受けたツツジでは明らかに先端部の葉が少なくなっているのが目視できるため、被害の確認は簡単です。
一方で、初期の被害を防ぐのはやや難しく、鉢植えならば日常的に水やりの時に葉を見てあげることや週に一度は面倒を見てあげるなどの定期的な観察が不可欠です。
とはいえベニモンアオリンガのように翌年の花芽を食べるというような害ではないため、ましな方ですね。
ルリチュウレンジハバチの被害を防ぐ
まず成虫となる群青色のハチがツツジの周りを飛んでいないか確認するのが手っ取り早いです。基本的には晴れの日によく飛び回ります。

この虫ですが、利用樹種がツツジ科であることから街中の植え込みや民家の庭を始めとしたツツジ密度が濃い場所で発見される傾向があります。
餌資源がその場所に限られるためか発生場所での個体数はとても多く、暖かい時期にツツジの上を飛び回っていることが多いです。
この虫を見かけたらすでに産卵されてしまっていると考えた方がいいです。
その場合には卵、食害、フンを頼りに幼虫の発生場所を特定します。

卵ですが、ルリチュウレンジハバチはツツジの葉の中で外周に面している葉の縁に産卵していることが多いです。
これは私がそういう場所を見るからという可能性もありますが、卵は一定間隔で産みつけられて独特な模様のようになっているため、分かりやすいです。
食害では前述の筋が残っているエリアを探します。大抵幼虫が複数匹見つかりますので除去するか薬剤を利用しましょう。


除去する場合には割りばしなどで地面で潰して土に置いておくと多少なりとも栄養になってくれます。
薬剤の場合には浸透移行性の農薬を利用することで、花芽を食べるベニモンアオリンガやハダニ、グンバイなどの厄介な害虫たちもまとめて除去することができます。
糞を探す場合にはだいぶ幼虫も成虫してしまっていますが、葉の上に載っている黒い糞を探していきます。

糞がある場所の垂直方向のどこかにいることが分かりますので簡単に見つけられます。見つけたら除去しましょう。
ルリチュウレンジは刺さない
ルリチュウレンジハバチは針を持たないハチです。とても面白い特徴ですよね。

ハチは針を持っているという先入観と、針を持つハチはメスだけという知っている人は知っている情報は知られるものの、そもそも針を持たないというハチもいることをぜひ知っておいてください。
なのでルリチュウレンジはこのように持ててしまいます。
お庭のツツジなどでルリチュウレンジを見つけてもビックリする必要はありません。

一方でルリチュウレンジ以外のハチの多くは針を持つため、種類の見分けには慎重になる必要があります。
刺さないだけで随分と心が穏やかになる気がしませんか?葉を食べるのはツツジ愛好家として厄介な敵ですが、花芽を食べるベニモンアオリンガに比べるとかわいいものです。
ルリチュウレンジハバチ対策
ルリチュウレンジハバチへの対策としては頻繁な見回りでツツジに付いていないか確認する方法と、浸透移行性の農薬を利用して防除する方法があります。


オルトランやベニカファインは代表的なもので、私はどちらも利用しましたがどちらも効きました。
ツツジの株が小さかったり数が少ない場合には見回り策も有効で、規模が大きかったりする場合には農薬の利用を検討するとよいかと思います。

一方で小規模で虫を殺めるのに抵抗がない場合には割りばしや枝などで〆てしまい土の上に放置することで養分として機能させることも可能です。
アリなどが来てくれてアブラムシやグンバイの被害が減るなどの可能性にもつながるので、時間のある時は私はそうしています。
ルリチュウレンジハバチは大発生するとツツジの株を弱めてしまうこともあります。放置することでどんどん数が増えてしまうので、被害を発見したら早期に対処していきましょう。
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