蓼食う虫も好き好き

知っているとちょっとお得で日々の観察が楽しくなる自然の魅力を発信します。画像の無断転載は禁止です。

お腹が赤いのはイモリ?ヤモリ?トカゲ? 水辺で見つかるアカハライモリ

赤く目立つトカゲみたいな生き物は何の仲間か

アカハライモリ。後述の比較を見れば違いは明らか。

爬虫類や両生類の仲間は時折目についてびっくりしますよね。

上から見ると黒くて下から見ると赤色をした生き物はアカハライモリであると考えられます。

主に湿度の高い環境および水辺に隣接した環境で見つかり、名前が似たヤモリやトカゲとは大きく異なる見た目と生態をしています。

今回はアカハライモリを響きの似ている仲間たちと比較していきましょう。

アカハライモリとは?

アカハライモリはイモリ科に所属する両生類の仲間です。

基本的に鈍い。ボケ感が魅力と言える。

両生類はなじみが薄いかもしれませんがカエルなどが身近では該当し、陸地と水中の両方を利用します。

生体はおよそ8㎝程度、上から見ると黒いですが下から見ると強烈な赤、オレンジ色をしています。

配色を見ての通り警告色です。

腹面は赤とオレンジを混ぜたようなビビットカラー

アカハライモリはそのかわいい姿とは裏腹にフグと同じ強力な神経毒であるテトロドトキシンを持ちます。

警告色を持ち本当に強力な毒を持つケースですね。

模様や赤色の範囲は個体により様々で多様性があります。

サンショウウオの仲間などと同様保湿された環境があると水がなくても見つかる

水中の印象が強いですがずっと水中にいるわけではなく、湿度の高い場所や落ち葉の堆積した場所、草の茂みなどにも出現します。

雨が降っていると本来よりもより広い場所へ進出するようで、私の地域では飼育放棄か放たれた個体群だと思いますが、雨の日の前後でのみ見かけるエリアがあります。

食性は肉食性であり、ミミズやボウフラなど他の生き物を捕食します。

冬には越冬します。

イモリとヤモリ、似た名前を持つ生き物

イモリと混同されるのがヤモリです。

語感の似ている2種ですが、イモリは両生類、ヤモリは爬虫類という違いがあります。

まずは2種を比べてみましょう。

イモリ(左)とヤモリ。色合いが大きく違うが、そもそも出現環境が違う

比較すると全く似ていないことが分かります。出現環境も大きく異なります。

イモリは主に水分の多い環境で見つかるため、特に都市部の街中や庭先で見つかることはありません。

垂直方向に移動できるのがヤモリの強み

たいしてヤモリは昆虫を食べる生き物であり夜行性のため、家の周りや外灯などの周りを中心に見つかります。

特に垂直方向へ移動できることが決定的な違いであり、ガラスや壁などの面を歩いているならばヤモリと見て間違いありません。

イモリは井戸を守るもの。ヤモリは家を守るものとよく言われますが、それぞれの生息環境に合わせた由来なんですね。

昔の方にはそれぞれの場所でなじみが深かったのでしょう。昨今ではイモリは絶滅危惧種としてほとんど見つからない生き物となりました。

イモリとトカゲ

一応イモリとトカゲも比較しておきましょう。

トカゲの中でも目につきやすいニホントカゲの幼体(右)

この2種もヤモリと同様に生息環境が違います。トカゲの仲間は昼間に行動する種類です。

日中日当たりのよい場所で見つかる場合にはほとんどトカゲかカナヘビと考えていいですね。

イモリは長生き。ペットとしても人気

イモリですが寿命が大変長い生き物として知られています。

この可愛さで水の汚れなども少なく、大人しい。

アカハライモリの寿命は20年以上と言われており、この体に対してかなりの長寿です。

生き物は体が大きくなると長生きする傾向がありますが、これだけ小さいのに凄いですよね。

彼らは再生能力に優れています。トカゲやヤモリも尾が切れても再生しますが、骨までは復活しません。イモリは骨まで再生するんですね。

足なども再生するらしい。すごい能力。

この再生能力こそ長生きの秘訣なのかもしれません。

この性質で大人しいことからペットとしても人気があります。アカハライモリはもちろんのこと沖縄などに行くとシリケンイモリという金箔をまとったような種類がいます。

最近ペットショップで見かけることが増えてきたように感じます。育ててるとかわいいんですよね。

かわいいけれども扱いには気を付けよう

アカハライモリは強力な毒を持つ種類であるため、扱いには注意が必要です。

特に触れた後には手を必ず洗う必要がありますので、基本的には優しく見守ってあげましょう。

イモリ側から見ても人の体温は彼らには高すぎるため良くありません。

アカハライモリと絶滅危惧種

アカハライモリですが神奈川においてはかなり希少な存在となっています。

都市部の平地ではまず見つからない生き物となってしまった。

近年横浜市の青葉区で見つかったときにはニュースになっていました。その個体は飼育個体を逃がしたものだったようです。

近年両生類や爬虫類のペット化に伴いそれらが野に離されるケースというのも増えてきているように感じます。

アカハライモリもそうですが、モリアオガエルも遺伝的に異なるものが県内で見つかっています。

人が放していると言われるモリアオガエルの卵塊

イモリなどは水辺環境があれば細々と生き残っている可能性があり、地域の個体群を網羅している人でもない限り断定はできないのが難しい所です。

圏内では南部のエリアがイモリは有名です。私自身も学生時代によく訪れた地域ではアカハライモリを見つけています。

元々その地域にいる個体なのか放された個体なのかは不明ですが、生き物の流行りがあるとかつてのクワガタの様に同じような末路をたどってしまうのは残念ですね。

田園風景にいるのが様になる生き物。その環境が減れば個体数も減るか。

現在オオクワなどは見つけても放虫の可能性が浮上します。例えば近年でも座間や鎌倉、葉山の方などでオオクワが見つかった事例があります。思わぬ形で見つかるとまず放した個体が頭に浮かんでしまいます。(平地オオクワはアウトだと思いますが)

アカハライモリも同様に今見つけるとどっちなんだろう?と考えてしまいます。

かわいい生き物なのは間違いありませんが、ある種ペット化される生き物のジレンマを感じてしいますね。

皆様もイモリとヤモリをしっかり見分けて、見つけた際には後半のような視点で考えてみてください。

両生類と爬虫類記事

pljbnature.com
町中でもまだ見つかるヤモリ。トカゲの仲間などと比較してその違いを見ていきましょう。
pljbnature.com
湿った環境を好む夜行性の珍しいヘビ、タカチホヘビの紹介です。出会えるとかなり嬉しい爬虫類ですね。
pljbnature.com
同じく湿度の高い環境に出現するヤマカガシ。イモリ同様派手な色合いのヘビです。