陸地にカエル?なぜ?
歩いていると思わぬところにカエルがいることがありますよね。
周りを見れば水辺も少なさそうなのになぜこんなところにいるの?と疑問に思うこともあるかもしれません。
今回は陸地で見つけたアマガエルを例にカエルは意外と水辺が無くても大丈夫な理由を紹介します。
アマガエルとは?
アマガエルはアマガエル科に所属する両生類の仲間です。
生体は主に緑色をしており、保護色と見られる苔のような模様が入る場合が多いです。
目元から人間でいう首にかけて黒い線模様が入るのが特徴的です。
体長はおよそ4㎝前後、ぷにぷにとした質感で癒される存在です。
生体は主に昆虫類を捕食します。
出現時期はおよそ5月~10月で生活環境の一部である田んぼの活動時期と重なる特徴が見られます。
両生類であるため、水辺や湿度のある環境が生息には必要で、生体はそういった水辺の浅瀬に産卵します。
オタマジャクシは水辺の藻類を中心に他生物なども食べます。
陸地のアマガエル
アマガエルは両生類であるため、田んぼを中心とした水辺環境もしくは水辺に隣接した環境で見つかります。
しかし時になんでこんなところにいるんだい?というような場所で見つかることがあります。
今回は伐採木が積み重ねられた環境にて見つかりました。まさになんでこんなところにいるんだ?です。
その理由については
なぜ木が多い所にいるのか?
なぜ乾燥した陸地にいるのか?
の2点が疑問として湧くはずです。
まずアマガエルですが、落ち葉の上や木材置き場などにいることはよくあります。
これはアマガエルが昆虫食であることが大きいです。
知っている方も多いかと思いますが昆虫の中には木材を利用するものがいます。
カミキリムシやタマムシの仲間が有名ですね。
これらは新鮮な木材に産卵に来るため、カエルたちはこの産卵に来る虫たちを狙っているんです。
さらに木にはタマムシやカミキリの幼虫に寄生しようとするハチたちもやってきますから、虫を食べる生き物にとってはパラダイスという訳です。
環境こそ違えども落ち葉の上も多数の生き物がひしめく餌場ですよね。
なぜ乾燥したところにいるかについては実はシンプルです。確かに木の上というのは乾いているように見えます。
しかし積み重なった木々の間は濡れていることが多いんです。
これは落ち葉の上などに枝が積み重なっていることに由来しますが、落ち葉から蒸発する水分がドームのような枝によっておおわれることで空中湿度が保たれているんですね。なので菌類や苔などにも勝手のいい環境となっています。
苔のような擬態をしているアマガエルにはさぞ好都合でしょう。カエルの仲間は乾燥には弱いです。
しかし足元の落ち葉には充分な水分があるので枝の上が多少乾燥していても大丈夫なのです。
ちなみにこのアマガエルが見つかった材置き場ですが、この置き場の斜面下には池がありました。
ということはこの置き場と池の高低差の間で地下水が走っています。
カエルは自分が干からびない落ち葉が湿った斜面を登ってこの餌場に辿りついたのですね。
山の保水機能や地下の水の流れを意識し、両生類の出現環境が分かると色々な両生類と出会いやすくなるかもしれません。
実は両生類の多くはこのように水辺が続いていなくとも水分の多い環境が繋がっていれば意外と遠くまで行動しています。
イモリの仲間ですら雨の時には普段見ない環境に出現してきます。ジャンプができるカエルともなればなおさらですよね。
例えば雨の夜の高尾を訪れた時には夜行性で湿度を好むタカチホヘビに遭遇出来たり、薬王院の付近で普段は遭遇しないモリアオガエルや山道でカジカガエルに遭遇しました。
雨が降ることで本来の生息域である水辺の周辺から水分の多い道ができ、それを頼りに行動範囲を広げていたのでしょうね。
雨は昆虫採集的にはがっかりの日ですが、視点を変えてみれば別の生き物に遭遇するチャンスでもあります。色々な生き物に興味を持ってどうやったら今日の天気を楽しめるか?と考えてみるのもいいかもしれませんね。
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