ピークの継続と急激な変化の7月
6月がクワガタのピークになるということは虫界隈の人にはよく知られたことです。
早ければ梅雨明けともなる7月は上旬中旬ごろは非常にいい賑わいを見せますが、およそ下旬頃になってくると出現する個体数は体感できるほど減少してきます。
今回は7月のカブトムシ、クワガタの事情を説明し、夏休み頃のメリットデメリットなどを紹介していきます。
7月探せる種類について
7月頃になると平地~山地の標高がある場所においてもクワガタが満遍なく出現するようになっています。
なのでおよそどこに行ってもクワガタに遭遇することができる時期と言えます。
都市部の平地においてはコクワ、ヒラタ、ノコギリ、カブト辺りが主になりますが、山地に足を運べばアカアシ、ネブト、ミヤマ、スジ辺りも狙えますし、さらに高標高地ではヒメオオやオニクワなども出てくる時期です。
色々な種数を狙うという視点においては最も楽しい時期と言えますね。
また、時期としてはこの7月中までがクワガタ採集に向いた時期と言えます。
8月以降は上旬はまだしもお盆辺りからは極端にカブクワの出現が減るため、ラストスパートをかける時期と言えます。
7月になってこの記事にたどり着いた方はなるべく早めに行動することをお勧めします。
7月上中旬と下旬の差 樹液が出なくなる要因
さて別記事にて6月の採集事情を述べたものがありますが、クワガタの出現は6月にピークを迎えています。
しかしピークは6月下旬頃であり、7月に入って間もない時期となる上旬や中旬ごろにはまだ出現には勢いが見られます。
この背景にはやはり梅雨が関係していると個人的には考えています。
梅雨の雨は地面を潤し、樹液の流出を盛んにするばかりか、じめりとした空気によって(空中湿度が高い)樹液の乾燥も抑えられているように感じるからです。
樹液の乾燥は体感の話でしか語れませんが、影響は非常に大きいと感じます。
これはめくれた樹皮下や削れた幹から出る樹液の乾燥を見れば明らかだからです。
都市部で樹液が少なかった要因として、こうした樹皮のめくれなどからにじみ出ている樹液を、樹皮を剥がしてしまうことで空気に触れさせてしまうことが考えられます。
めくらなければ樹液の水分で湿度が保たれて適度な樹液が流れる環境を破壊してしまい、乾いた空気に露出することにより乾燥してしまうのです。
似たような話ですがブログ内で河川敷は樹液が出やすいということを述べた記事があります。
河川敷は細いヤナギやクルミまで薮漕ぎをしてアクセスする必要があるのですが、下草が細い木を囲うことにより地面が露出せず、乾燥しにくくなり空中湿度が保たれるという利点があったりします。
つまり各種クワガタが見られやすい環境を分析していくと、樹液の流出を維持する仕組みを見つけることができるのです。
さてなぜこんな話をするかというと、梅雨明けに直面する7月にはその一月の中で湿潤な状況からむわッと熱い空気に変貌するためです。
雑木林という大規模なレベルにおいて晴れが続くと乾燥が進み、地表が渇くと乾燥した空気が雑木林に漂い始め露出した樹液がどんどん干上がっていきます。
公園や山地でも土が踏み固められて露出してしまい、裸地になっていることが近年は多く、乾燥に貢献しています。
これにより梅雨の影響残る上旬中旬と下旬以降では同じ場所であってもがらりと状況が変わってしまうのが7月の恐ろしい所です。
7月の下旬といえばなんでしょうか?
そう 子供の夏休みが始まる時期です。ですがここまででお分かりの通り夏休みから探し始めたのではもうクワガタの状況は悪くなってしまっている段階なのです。
7月のメリット
まずは色々な種類を狙えるということです。
場所を選んでいれば(個体密度が高いなど)6月時点からもミヤマやアカアシなど標高や森林面積の広さを必要とする種類も狙えるのですが、近場で現実的に色々な種類を狙えるのはこの時期辺りになるかと思います。
例えば神奈川県西部丹沢エリアの山中ではないような場所で、6月にミヤマが取れたことはありませんが7月になるとぽつぽつ見つかります。
昆虫のメッカ、高尾では6月だとミヤマやネブトはわずかしか見つかりません。
一方で7月に入るとミヤマも片手で数えられる程度には見つかりますしそこにアカアシやネブトも混じってきます。(行く頻度の問題かもしれませんが)
また、人のピークを迎えるというのも場合によってはメリットでもありデメリットでもあると言えますね。
この時期は大抵夜の雑木に行けば人に出会えるはずです。
日頃虫取りをしない親子層の場合には特にこの時期から動き始めますので需要が集中し、近場のエリアはカオスな環境になります。
参考程度に私の活動圏で述べると平日の夜でも神奈川の公園では5組くらいはいますし、都内にヒラタを調べに行く場所では10組ぐらいは徘徊しています。
需要に対し供給が足りていないので、凄まじい密度での人の出現があるのです。
また、上旬中旬ごろならば人の多さこそありますが、樹液も6月に続いてかなりの量が出ていますので個体数は多めです。
下見などをしていて良質な場所が抑えられているならば、十分に見つけられる可能性があるのはいいですね。
7月のデメリット
人の出現がピークとなることが挙げられます。
場所によってはカブクワではなく人を探しに来たのか?と驚くほどの数に遭遇することがあります。
特に金曜土曜の人出は半端ないことが多くて驚くはずです。
また、下旬頃からは樹液が急に枯渇し始め、個体数が低下していく点が挙げられます。
私的な体感として中旬と下旬ではかなりの差が有ります。
熱中症も苛烈な時期となり注意が必要ですし、ゲリラ豪雨の頻度も6月の比ではないくらいこの時期は増えてくるため、昆虫採集以外に注意すべき要因が増えてきてとても大変です。
加えて雑木林や河川敷では下草が伸びすぎてしまい、自分の背丈以上の薮漕ぎが必要になってしまうことも珍しくないですし、各種ハチたちも巣を拡大して勢力を広げてくる時期なのでハチとの遭遇リスクも格段に高くなります。
と挙げれば切りがないくらいデメリットがあります。7月採集は時期により大きく差が出てリスクが高いということですね。
とはいえリスクが高くとも8月以降になるとさらに成果を上げられる可能性は薄くなってきます。なので今年中に取りたいという方は一日でも早く探しに行くことをお勧めします。
7月にクワガタを見つけたいなら
7月の状況を説明してきました。
筆者自身どちらかというと平地で探していることが多く、夜の山は高尾くらいしか行かないです。
なので山地メインでやっている方などと外れが生じるかもしれませんが、親子層メインで見ると的を射ている点も多いかと思います。
この時期に成果を上げたい方がすべきことはシンプルで、樹液の出る木が分かるようにすることと、それを基に自分自身でポイントを開拓することです。
それぞれに関しては特集記事がありますが、摘要すると現在樹液を流すキクイムシのサインを枯れた木や木から出る木くずで判断すること、航空写真を利用してそれらがありそうな環境を特定することの2点です。
この時期はインターネットやSNSで情報が出ているような場所でカブクワを捕まえることはかなり厳しいと思ってください。
そのため、自分でポイントを開拓することができる人が成果を上げられることになります。
7月中でもそうしたマイポイントが見つけられれば、8月上旬位まではバッチリ捕まえられるはずです。
これからの時期は今回の記事を始めカブクワを捕まえるための知識を押さえて如何に他の人がやっていないことをして差別化できるかが見つけるためのカギとなります。
そのためのヒントは関連記事で貼っておきますので、ぜひ活用してください。
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(ブログ内カブクワ関連の殆どがこの記事より読めるようまとめました。情報収集にぜひどうぞ。)
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最も重要な木としてのコナラ。最新版では見分ける必要はないのですが、見分けられるとやはり便利なことに変わりないのでおすすめです。
また、採集の際には採集テクニックも色々と学んでおきましょう。かなり差がつきます。
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先月のカブクワ事情はこの記事より。実はカブクワは6月からガッツリ楽しめるんです。
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7月の高尾山でのミヤマ採集です。2023年版ですが、24年分も含めてたくさんの記事を読めます。
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