クワガタってどこにいる?
クワガタを探したい場合どこを探したらいいのでしょうか?ひとえに自然と言っても広くて分からないですよね。
クワガタは樹液を食べるから樹液があるのは山。だから山に行こう!と意気込むケースは多いと思います。もちろんそれは間違ってはいないのですが、本質からは少しずれています。
今回はクワガタがいる場所を探す際に必要となる発生環境を紹介し、山でなくともクワガタが見つかる理由と探す際にお勧めとなる場所を紹介していきます。
具体的な地名などが学べる記事ではありません。
クワガタとは?
クワガタはコガネムシ科クワガタムシ族に所属する甲虫の総称です。
東京神奈川の平地であれば遭遇できるのはコクワガタ、ノコギリクワガタ、カブトムシ辺りに限られますが、神奈川南東部であれば+でミヤマクワガタ東京の一部ではヒラタクワガタなども昨今は見つかります。
成虫は主に5~8月頃に出現しクヌギやコナラを始めとする広葉樹の樹液に夜集まることが知られています。
寿命は種により異なり、ノコギリやミヤマでは当夏中。コクワガタやヒラタなどのドルクスの仲間では2~3年程度寿命があります。
幼虫は主に朽ち木に出現します。
採集方法は幅広く、樹液の巡回や外灯周り、ライトトラップなどを使用して戦略的に遭遇することができます。
クワガタ探すならここに行け
クワガタを探したい場合にお勧めするのは特に初心者であれば雑木林か河川敷がおすすめです。
意気込んで山に行くことはお勧めしません。
またこれ以外にも町中のチョットした公園や緑地、資材として木材を置いている環境があるなどの条件次第では意外な場所で見つかることがあります。
初心者は○○県 クワガタがいる場所 というような検索をして既に情報のある場所に行こうとする傾向や、どこで取れますか?どこで取ったんですか?と直接答えを求める傾向にあります。
しかしクワガタの発生環境や条件を理解すればそんなことはせずに自分でクワガタが良そうな場所を開拓することができるようになります。
そしてそうやって行う昆虫採集は非常に面白いのでぜひそれを体験してほしいのです。
以下興味がわいた人向けです。
まずはクワガタの生息条件を上げます。
クワガタは自身が発生するための発生木があり、成虫の餌資源となる樹液があるところに出現します。
この条件がそろっており、数年間維持されるならば身近でも発生する可能性があります。
発生するための樹種に関しては意外と幅が広く、クヌギやコナラ以外でも問題ありません。広葉樹(葉があり、冬に落ちる)でそれなりにサイズがあれば大丈夫です。
種によってはミヤマクワガタやヒラタの様に根食い(根が最も太い)の種もいるので、ただ枯れていればいいという訳ではありません。(枝が部分枯れしているなど)
厳密にいうとクワガタの幼虫は木を食べているように思われがちですが、木を分解できる能力を持ったキノコの仲間によって分解された木くずを食べています。
菌類は水分が必要なので空中に面しているものよりも地面に接して水分が供給されるような場所に入る傾向があります。
根食いの種類は根の場所が地中にあるため、水分が豊富で菌類の活動も活発ゆえにいい環境なのだと思われます。
しかしそれは過水分という諸刃の剣でもあり、クワガタの材採集を行う知人によれば水分が多すぎて死んでいることも多いそうです。過酷ですね。
ですが、平野部のコクワノコギリ辺りならば実は身近な雑木林でも問題ありませんので、限られた種なら平地でもよく見つかります。
続いて樹液ですね。食事が出来なければ発生する木があっても継続的にクワガタが出ることはありません。
樹液の流出はまさに現代におけるボトルネック(抑制要因)でした。
というのも樹液の流出には木を傷つけるカミキリムシなど他の虫の存在が不可欠で、今の自然下ではその虫が減っているためです。
ですが2024年現在はナラ枯れの影響で各種雑木林に傷ついた木が大量に発生しているので、この両方の要因が満たされ近場の雑木林などでもたくさんのクワガタが出ています。
発生木と樹液。この2種の必要性がよく分かりましたね。
ということはこの要件を満たす場所を発掘してあげればおのずとクワガタのいる場所が分かります。
そこで初心者にお勧めした雑木林と河川敷が上がります。
これは環境を見つけやすく、さらにある程度の広すぎない範囲で緑が残されているためです。
緑が小さすぎると付近に大きな緑がある場所を除いてクワガタの出現は見込めません。狭いエリアでは継続的な発生木や十分な樹液が無いためです。
逆に山がダメな理由は広すぎるからです。
木の種類が分からない段階で木が多すぎる場所に行くのは逆効果です。
ということでクワガタを捕まえたい場合の選択肢としてはアクセスがよくクワガタの出現条件を満たす雑木林と河川敷がいいのです。
場所を訪れて探してみよう
雑木林と河川敷に行くべき理由を紹介しました。
しかし理由は分かっても具体的にどうすれば...と考えてしまいますよね。
そこで我々採集家が行っているのが航空写真とグーグルストリートビューを用いた場所の選定方法です。
既にクワガタのいる条件は分かったわけですから、MAPで緑のある場所や大規模な緑がある場所に近い緑がある場所などを探してみましょう。
そしてストリートビューで雰囲気を見に行くのです。良さそうならば下見をしに現地へ行ってみましょう。
これを繰り返して採集をし続けていると段々と感覚がつかめていきます。
詳細は別記事にて
pljbnature.com
雑木林と河川敷の優劣
この2か所についてはどちらもおすすめできるのですが、両者ともメリットとデメリットがあります。
河川敷は本記事でクワガタがいるということを知った方も初心者の方の中にはいるかと思いますが、親子の競争が少ないというのが利点として挙げられます。
7月以降の昆虫が採れる公園や緑地、雑木林は親子層がとても多く、ライバルの影響を受けてなかなかカブクワが見つかりません。
これは○○公園でクワガタをとったというような記事がwebにあることが多く、ネットを通じてライト層がやってきているためです。
河川敷の場合○○川と出ていても具体的なポイントが出ていることは少なく、競争が少ないです。明確な利点ですね。
しかし河川敷は程度にもよりますが。薮漕ぎが必要になることもあり、マダニやツツガムシなどのリスクがあります。
数が取れてヒラタなどの大物を狙えるチャンスがあるもののリスクもあると言えます。ハイリスクハイリターンですね。
雑木林は出会える可能性は薄くなるものの人が多いのは心理的な安心感があります。
河川敷に比べればダニなどのリスクも低いですし、山地の近くでヤマビルに注意程度でしょうか。ローリスクローリターンですね。見つからないこともあります。
探しやすさについては河川敷の方が楽であると言えます。
これは河川敷には木々が少なく、オニグルミやヤナギなど分かりやすい樹木を見ればいいからという点と、適度な増水により細い木が多いため、樹液が流れやすいというところに由来します。
木々が大径木化している現在において、雑木林ではナラ枯れを除き樹液が殆どでなくなっています。
しかし細い木ばかりの河川敷は毎年カミキリや蛾の仲間に由来する新しい穴が生まれ、次々ポイントが出てきます。
自身でポイントを開拓する能力があるならば河川敷の方がマイポイントを発掘しやすいのでお勧めです。ジャンボヒラタなどのロマンを追及する楽しさがあります。
雑木林では主にクヌギコナラを見ることになり、これは虫取りをする殆ど全ての人が知っています。それも競争が上がる要因です。
雑木林のマイナスが目立ちますが、いい点はアクセスに優れる所です。
食事やトイレを始め自販機などのインフラが整っているため、特に親子層であるならば非常事態に対処しやすいです。河川敷は真逆で何もありません。
マムシやうっかりハチに刺されたりしても助けはありませんし、河川敷内で迷う可能性もあります。(私は河川敷で迷ったことがある)
結局のところ自身で様々な要因を組み合わせて考えるしかありませんね。私は雑木→河川敷と段階を踏むのがおすすめです。
本記事はいる場所について紹介しているのでこれで終わりになりますが、場所を見つけた後に必要となる樹液の探し方や、ナラ枯れの樹液、雑木林や河川敷で見るべき樹木などの情報もブログ内の記事にありますので、行くべき場所を理解したならばぜひ現地ですべきことにも目を向けてみてください。
クワガタを自分の手で摑まえるのも目前ですよ
クワガタ発展記事
pljbnature.com
総合的な情報はこの記事からおおよそすべて学べます。東京神奈川での種レベルでの難易度や樹液、外灯採取などの基礎、樹液の出る木など段階的に学べます。
pljbnature.com
雑木のメジャー種コナラを中心に本記事中で紹介したナラ枯れによる樹液の探し方などを紹介します。雑木林へ行くつもりならぜひ。
pljbnature.com
河川敷の大黒柱、オニグルミ。絶対に外せない河川敷の2大巨頭です。木の見分け方や樹液の雰囲気など紹介。
pljbnature.com
今までカブクワに挑んで捕まえられていない方に向けた記事です。捕まえられない理由を自分の体験と、親子向けイベントの経験などから考察しています。
pljbnature.com
雑木と河川敷で採集慣れしたら山地に行ってみるのもいいです。メッカ、高尾山での自身の昆虫観察記。虫取りがしたくなるはずですよ。