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カブトムシやクワガタが見つからない理由を考察。なぜ捕まえられる人と捕まえられない人に分かれるのか

夏の人気昆虫なぜ見つけられないのか?

夏休み期間にも入り、昆虫採集を満喫されている方も多いでしょう。

今季捕まえたミヤマクワガタの一部。68.2mmを捕まえたときのもの。

憧れのクワガタを求めて既に何度も足を運んでいるものの成果を上げられず、この記事にたどり着いた方も中に入るかもしれません。

ナラ枯れを始めカブクワを見つけやすい現在にクワガタ類が見つけられないということは、成果を上げるための要因が欠けていると言わざるを得ません。

逆に言えばそこを補強できれば捕まえられる可能性は十分あります。その要素を私的な人の観察や過去イベントなどで案内した方との情報から考察していきます。

捕まえられない理由を個人的に推測

まずはクワガタの捕獲に必要となる3つの要素を紹介します。

カブト、コクワ、ノコなどは3要素を満たすと出会えないほうが難しい

これは知識、経験、装備の3種になると個人的には考えています。

それぞれが独立しているように見えますが、3つ全てが必要だと考えます。

例としてyoutubeなどで採集の動画などが見られる昨今は、知識面が充実している方は子供を始めかなり多く見られます。

ミヤマは~〇〇クワガタやカブトは~と語ってくれる子達は多い。がしかし。

一方でそれらを取り巻く樹液の話や見つけ方などについて質問すると全く分からなかったりします。

逆に採集経験は既にあるが、知識面は薄いというような方は情報の肉付けをすることでより簡単に成果が上がるようになってきます。

装備面は長竿網やいいライトが該当しますが、これらの装備は知識と経験の両方が積み重なって初めて効果が出ることが分かりますよね。

長竿網は見つけるプロセスの次で使う道具なので長い網があるだけで楽に出会えるわけではない。

このように各要素はそれぞれを高めないと効果が出ません。

ゲームなどやったことのある親の層に向けて説明するならば、乗算で考えてみればいいです。

採集youtubeの影響を受けていい装備を揃えても、知識と経験を鍛えなければ知識(1)×経験(1)×装備(10)で数値は10です。

例として夜の高尾に始めてくる人と3回目の人では3回目の人のほうが勝手がわかっているので成果を上げやすいです。経験の部分ですね。

これに座学や採集予定地の下見などを加えてステータスが加わると知識(3)×経験(2)×装備(10)で数値は60となります。

このように各要素をそれぞれ鍛えていかないと、クワガタを取るという目標にはたどり着けません。

高尾昆虫観察記を見て私達もミヤマをたくさん取りたい!と思っても知識、経験、装備の差が極大にあるため記事のように多数取れることは稀であると思われます。

(高尾なら拾える可能性やもらえる可能性はあります)

3要素の詳細について

逆に言えば3要素さえ押さえてしまえば成果を上げるのは難しくありません。

家でできる知識だけでも抑えておけば、それを基に経験が積み上がります。

流れとしては各種クワガタ採集の知識を抑え込み、現地の中で経験として落とし込み、不足する部分を装備で補うという感じです。
各要素を紹介していきます。

知識面

当ブログでパーツとして紹介しているものを並べると、樹液の出る木の見分け方や樹液の場所の見つけ方、樹液のある雑木林の見つけ方など樹液周りのものがまずあります。

樹液の見つけ方が分からないのに樹液に来る虫が見つけられるはずがありません。

続いてルッキングや蹴り、外灯採集のやり方などの採集方法の要素に加え、クワガタ類やカブトムシの出現時期など時期の要素などが挙げられます。

どんな場所につくのか?見るのか? 外灯に来る虫はどんな挙動をするのか?知らずには出会えませんよね。

植物面では木の見分け方なども挙げられますね。

同じ環境で昆虫を探している人でも、取っている行動が行き当たりばったりなのか、根拠に基づいているのかの差は大きいです。

内面にある知識が深ければ深いほど成果は上がりやすくなります。

家族連れや採集団体がスルーした場所で捕まえたミヤマ。外灯には外灯の探し方がある。

上記の要素は当ブログにて座学できますので記事下部にいくつか関連記事を張り付けておきます。

実務面

知識を持っているだけでは成果が上がらないのが昆虫採集の楽しい点です。

見知らぬ場所でたくさんの学んだ知識を実践していくことはかなり難しい。何度も訪れて経験を積もう。

持っている知識を取れるものにするため、下見を行いましょう。

例として樹液の探し方が分かっても現地で良い樹液が出る木を見つけられなければ意味がありませんし、各採集方法も知っているのとできるのには大きな差が有ります。

無意識でできるレベルまで落とし込めるのがベスト。

ルッキングなどは木の見分けが出来ていないと効果がありませんし、それを行う時期が間違っていれば成果は上がりません。

さらに言うと訪れる場所によって標高が違うために、早すぎた、遅すぎたなんてこともあります。

低地~高地までいる虫では標高を変えることで採集の時期をずらすことなども可能。

それらの現地で得られる感覚というのは実際に何度も訪れてみて失敗する中で積み上げていくしかありません。

しかしながら急いていきなり経験から積もうとするのは遠回りです。

外灯なら外灯のセオリー、樹液なら樹液のセオリーくらいは覚えないと、今年も採れなかったねーで終わります。

経験は知識があるから積みあがるのであって、知識なしでいきなり現地に行っても積みあがるものは何もなくただ取れないという経験だけです。(結構この体験はあるのではないでしょうか)

知識が後から付いてくるような形(部活やサークルなど有識者への同行)なら経験主体もいいと思いますが、私は最低限の知識は付けてから行うことを推奨します。

装備面

昆虫採集道具は専門性が高くお高いため、必要ないと考えられがちです。

長い網を高いという方は多いが、知識や経験が積み上がると取れない機会損失のほうがよっぽど高い。

しかし前述の2要素で捜索した虫たちの捕獲率をカバーしてくれる重要なアイテムです。

知識と経験が積みあがるとカブクワは想像よりはるかに簡単に出会えます。

しかし3つの要素は乗算とお伝えしたように、装備面がかなり有意義に働く例は多いです。

5m程度の場所にいたミヤマ。どう取りますか?

例として私は5mの網を利用していますが、同じ知識や経験を持っている5m以下の網を使用している方の取り残した個体を採集することができます。

目測9mの場所にいたミヤマ。5mの網の私は涙の敗走。

カブクワ狙いの場合特にこの傾向は顕著で、100円網~2000円前後程度の網(2m前後)の低所の個体はすべて取られており高所にはクワガタが残っているような場面には多々遭遇します。

平地の公園で網の届かない高所にクワガタが見られる例。

都市部や関東の平地においては網がついていればなおさらいいですが、中古でも新品でも突ける長い柄があるとあらゆる場所で成果を上げやすくなるはずです。

人気のミヤマクワガタは高所についていることが多く、見れても取れない場合が多い。

逆に知識や経験を積んで装備面が貧弱だと、出会えた貴重な虫をみすみす見逃すというかなり苦い思いをします。

網とそのリーチの重要性は理解していただけたかと思いますが、夜間の活動ではライトも重要です。

400lmと1600lmの視野の差。より広範囲の樹液と飛翔している虫、木に付く虫が見えるのは明らか。

少なくとも視野が見れる程度(500~600lm)は光量が欲しいですね。

経験を積んでくると遠目から見ても木に張り付いているカブクワは認識できるようになります。

対象と10m以上距離があっても明るいライトなら目視が可能。薄暗くぼやけないため。

この時、ライトが強ければ強いほど認識できる範囲は増えます。

弱いライトではせっかくついていたクワガタが樹液のシミや影に見えてしまって機会損失していたり、樹上の数mについている個体を見落としたりします。

樹液のある木の光量による違い。左は400lmだが採集慣れしていればこれでも見える。

本人はそれに気が付けず、後から来たいい装備の人に取られています。高尾では顕著です。

とはいえ装備面の必要性が理解しにくいという面もあると思います。これは装備は知識と経験がついてから初めて効果を発揮するからですね。

何も知らない人がいいライトと長竿網を装備しても対象を見つける知識も経験もないので見つかりません。

知識と経験だけで当たる天井を限界突破するものが装備です。

結果、いい道具を使っても意味がないというのは早計ではないでしょうか。もう少し知識がつけばそれは必須道具へと早変わりします。


考えてみてください。

昆虫学芸員の方や生物調査、各種ガイドを始め個人の採集家の方々などSNSなどで今では界隈の方の活動を見られますが、彼らの装備が貧弱でしょうか。

昆虫界隈に踏み入ると、私の網は貧弱だと感じるほどです。8mの網や80cmの網など驚きが多いです。

ある意味呪いの装備のようなもので、昆虫に限りませんが、のめりこむほど道具などには熱意が現れますよね。

美容師はハサミを、魚屋は包丁にこだわります。

虫屋は網にこだわる方が多いです。

ライト好きなのもあって良いライトが今は7本ほどある。場面で使い分けている。

夜ならば私的にはライトもおすすめです。そこまでするのはちょっとという方は100円網や安いライトでも通う頻度を増やせば成果が上がるはずです。



要因が分かれば対処は簡単

カブクワが取れない要因を私的に3つにわけて紹介しました。

とりあえず3要素を満たす私は各記事のように虫たちに出会えています。

おおよそ3つの要素を分析すれば対処が可能だと考えられますが、最後に3つの要素がそろっていても成果が上がらない例を紹介しておきます。

夏休みシーズンは多くの初心者親子がwebやsnsで情報の出ている場所を訪れます。

つまり調べて出てきた場所では成果は上がらないと考えてください。

夜の高尾なども採集圧は高い。が、エリアが広かったり行動範囲が狭い方が多いので逆をすることで取れる。

採集圧と呼ばれますが、採集者が多すぎると知識経験装備全てが十分でも見つけられません。

しかし安心してください。採取者が来ないポイントを見つけるすべは知識面を鍛えていけば分かります。

せっかく見つけたポイントを業者や荒らす人に教えたりはしないものです。

私を始め、個人で活動されている方は記事に具体的な場所を示しません。(高尾や河川敷など有名ポイントを除く)しかし皆が自分で見つけた美味しいポイントで採集をしているから成果を上げられるのです。

関連記事でその辺は紹介しておきますので、この夏中に成果を上げたい方は3要素をしっかり鍛えてください。

クワガタを捕まえるためのアイテム

知識がwebで学べる今、必要なのは取りたいのかどうか?というあなたの気分です。
知識をつけて緑のある所に行けば今ならば簡単にクワガタ類には出会えます。そこで装備の差を感じたならば検討してみましょう。
これを手にすると採集が楽しくなりすぎる側面もあるので注意です。
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柄以外に必要なパーツなどもまとめてあります。私が100%採集で使っているライトがこれです。しかしお高いので安くて高性能なものを1つ購入してみるのが近場採集するうえではおすすめです。ライトの差を感じられることでしょう。
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安くて高性能を探している方はこの記事のsofin sc31proがオススメです。

捕まえられない方に向けた関連記事

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この記事は2万字もありますが、初心者が成果を上げるために必要な座学面を網羅しています。座学する気持ちがあるならば当ブログだけでスタート地点に立てます。関連記事も絡めていますので読むのは大変ですが、下地がなければ経験にはなりませんのでしっかり理解しておくことをおすすめします。記事を書いている私はこれらを実践しているということです。

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今回の記事を理解したうえで採集記を呼んでみるとその重要性がより分かるかと思います。
筆者の知識と経験は当ブログの内容で装備は5mの柄と50cm網、これにmarauderminiなどのライトです。