スズメバチがまとわりついてくる!
真夏の時期にキャンプやハイキングなど山地で楽しんでいると人の周りを飛び回るスズメバチのような虫にびっくりさせられるはずです。
異常にしつこく付きまとう姿を見て、非常に怖い思いをしますよね。
実はその虫はスズメバチではなくアカウシアブという昆虫で、スズメバチのように汗や香水、ジュースに誘引されてくるのではなくあなたの二酸化炭素や体温を頼りに吸血しに来ています。
今回はかっこいいアカウシアブの紹介です。
アカウシアブとは?
アカウシアブはハエ目アブ科の仲間で、日本全国の主に山地に生息しています。
成虫は体長3㎝程はある巨大なアブで、この仲間の中でも大きい方です。
アブと聞くと汚い虫や人に加害する害虫という印象を受けるかもしれませんが、非常にきれいな水でしか生息することができず、水の透明度や綺麗さを示す指標として活用される場合があります。
このような特徴から出現は上流域に限られます。
成虫は血を吸う印象から哺乳類を襲うように思われますが、実は樹液などを利用しています。
しかし♀の産卵には栄養が不足しているため、産卵期には卵巣の発達のために人を始め哺乳動物に攻撃を仕掛けます。
見た目は同じく夏に恐れられるスズメバチに似ており、アカウシアブよりも圧倒的に知名度があることからスズメバチと間違えている方も多いです。
アカウシアブとスズメバチ、行動の違い
スズメバチに似ているこのアブですが、遭遇した場所や環境などを考えるだけで見分けられる場合があります。
まとわりついてくるオレンジの虫がアブなのかハチなのか考えてみましょう。
まずアカウシアブもスズメバチもどちらも人にまとわりついてくる場合があります。
どちらも目的があり、アブの場合には前述の通り血のため加害する気があります。
スズメバチに関してはあなたの体臭や香水、汗などのミネラルを求めている場合と巣の近くなどで警戒のために寄ってきている場合が考えられます。
体臭や汗などに来ている場合人側がびっくりして叩いたりしなければリスクは高くないと思われます。
一方で香水のような刺激物の場合ハチのフェロモンと似ている場合があり、攻撃される可能性があります。
巣の近くの場合には非常に危険で早々に立ち去るべきでしょう。
また、環境についてですがアブは山地の上流域で絡まれることが多いです。
一定以上の水の綺麗さが必要となり、そのランクとしてはホタルの上の水です。
逆に言うとホタル程度の水があると付近ではアブやブヨなどの害虫がいるかもしれないと想定する必要がありますね。
スズメバチに関しては平地~山地に広く生息していますので、平地の場合にはスズメバチと考えてもいいと思います。
また、アブとハチでは誘引物質が違います。ハチは香りに寄ってきますが、アブは二酸化炭素に寄ってきます。
山地を車で移動していてスズメバチのような昆虫が周りを飛んでいたならばそれはアカウシアブだと考えられます。
この2種の虫はどちらとも危険なのですが、被害を受けないための行動が真逆です。
ハチ類は刺されないために手を振ったりしないなどの大人しくする必要がありますが、アブの仲間は逆に振り払わないと噛まれてしまいます。
こう考えるとアカウシアブはスズメバチに擬態しつつも同種とも害があるということでミュラー擬態のように感じられますね。
(大人しくすべきスズメバチがいることでアカウシアブは刺しやすい)
オレンジの大きい虫で人にまとわりつく時点でリスクのある相手ですから、車内待機で周囲のアブの出現具合を観察したり、ハッカなどの忌避成分を含む虫よけなどを持つなどしましょう。
アカウシアブの吸血
アカウシアブに限りませんが、場所により7~8月頃にかけて吸血のためにアブの仲間はまとわりついてきます。
スズメバチが針を利用するのに対し、アブの仲間は鋭利なナイフ状の口器を持ちます。
これを皮膚に突き刺して吸血するのが彼らのスタイルです。
ちょうどジップロックに捕まえたアカウシアブがいるのでじっくり見てみましょう。
アブの口付近には黒っぽいバナナのようなものがあるのですが、これが血や樹液を舐めるブラシと突き刺して皮膚を破る剣の収納ケースとなっています。
ブラシはまとまって見えるので一見すると針に見えます。細かいギザギザが密集しているようで人の肌にもスッと入ります。
アブの刺傷口を見るとボタン電池のような腫れ方をしていますので、この口を突き刺すわけですが、アカウシアブともなるとこの口だけで3mm程はありそうです。
そりゃ大型アブは痛いと言われるわけです。
実体験で刺されたことは実はないのですが、噛むというよりはブスリと突き刺すという表現が的確な気がします。
ちなみにかっこいい武器っぽいこの先端部は触覚です。いろいろパーツがあってかっこいいですよね。
アブ被害を防ぐために
まずは夏の上流域にはアブがいるということを認識しておくことが重要です。
山地には温泉や露天風呂などもありますが、川沿いのそういう場所ではタイミング次第でアブに遭遇するはずです。
それ以外にもキャンプや川遊び、昆虫採集に登山など水辺や高標高地、避暑地などに行く場合にはアブがいるだろうなと想定しておくことが重要です。
夏休みは彼らのシーズンですからね。
アブは平地にはいない、少ない虫ですから高地で初めて遭遇するとかなり怖い思いをするはずです。
対策についてですがまずピークシーズンの場合には対処はかなり難しいです。渓流釣りの方などはウェーダーなど厚みのあるものをまとっていますね。
基本ではありますが肌の露出を控えることです。アブの口はそれでも貫通してきますので一筋縄ではいきません。
散発的な出現であれば昆虫全般に使えるディートやハッカ油などが効果的であることが分かっています。市販のものではディート10%配合のものがよく手に入るので頻繁に散布しておきましょう。
実体験では帽子の唾などにつけることで一定の効果が見込めそうな感じはありました。あとは唾付き防止につけるメッシュネットとかも顔周りが守れて精神的に楽です。
話題のオニヤンマ君はやめておいた方がいいと思います。
キャンプなどでつるす分にはいいと思いますが、川沿いなどではあまりに心もとないものです。
アブ密度は前述の通り車移動であれば停車して排気ガスを流していると寄ってくるアブの量でだいたい分かります。
車に大量に寄ってきた場合には周囲の密度がかなり高いと思われるので、下車するのは危険です。
川や昆虫採集の場所を変えてみるなどの策を取る方が賢明と言えるでしょう。
私自身も過去に新潟で車の周りを2~30ほどのアブに囲まれたことがあり、昆虫採集の予定を変えたことがあります。
7月の上旬でしたが、お盆ぐらいまで場所によりピークの可能性があるため、この記事をベースにしっかりと対策を行ってください。
アカウシアブはかっこいいアブ
とはいえこのアブはじっくりと観察してみるとなかなかにかっこよかったりします。
スズメバチに擬態する昆虫は蛾やカミキリなどにもおり、騙されるケースもちょくちょくあります。
しかしこのアカウシアブに関しては本当にスズメバチだと思っている方もかなりいます。
私も急にきてまとわりつかれるとスズメバチかアブなのか分からない場合があります。
まとわりつかれる場合には♀であるので複眼が離れている特徴が見られます。
アカウシアブの複眼は緑身を帯びており、その広い複眼と相まって神秘的です。
その下に見える口はえげつないくらい尖っており、ちらりと見えるたびにこれで刺されたらさぞ痛いだろうなと思いますね。
しかしこの強力な口は裏を返すと大型アブならではの迫力ともいえます。
ハチ擬態の虫として結構好きな方も多いのではないかと思いますね。私は安全な場所から見ている分には好きな虫です。見かけたときにはぜひ捕まえて観察してみてください。
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途中で紹介したウシアブを例に♂♀の見分け方なども紹介しています。ウシアブのほうがより見かける種類なので覚えておいて損はないでしょう。
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スズメバチ類はこの記事がおすすめ。お盆頃から攻撃性が上がってきますので注意が必要です。
アブ対策グッズ
シュッシュと帽子や服などに無駄なく使えるという点からディート10%含有商品の中でおすすめできます。サラテクトを以前は使用していましたが、最近はvape押しです。