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紫色をしたカナブンは珍しい?絶滅危惧種のムラサキツヤハナムグリ

カナブンを発見、色が違う?

一見するとカナブンだが? カナブンの仲間にも色々種類がある!

夏の樹液性昆虫であるクワガタなどを探しているとカナブンの仲間を目にしますよね。

中には青のものや紫のものもおり、この色は珍しいのでは?と思うこともあるはずです。

カラフルなカナブンの中でも紫色のものには大変珍しい種類がおり、ムラサキツヤハナムグリと呼ばれる絶滅危惧種のカナブンであったりします。

この記事を読んだら紫のカナブンは希少な虫として記録しておきましょう。

ムラサキツヤハナムグリとは?

ムラサキツヤハナムグリはコガネムシの仲間に所属する昆虫です。

デラウエアのような特有の紫光沢を持つ

出現期はおよそ5~8月であるとされますが、私的には7~8月頃に見かけることが多いです。

成虫は樹液を訪れるため、真夏の人気種であるカブクワの外れのカナブンの仲間として扱われることが多いですが、実はカブクワよりもレアな昆虫であったりします。

カナブンが見られる場所で一緒に見られるが、山地性。

幼虫は樹木の洞などを始めとした木くずが堆積した場所を利用するユニークな性質があります。

カナブンの仲間らしく艶のある紫の光沢があり、シロテンハナムグリのような白い波模様があります。

背中には白い波模様のようなものがある

年一化であることから環境条件が良い場所であれば目にする可能性がありますが、前述のように洞などの特殊な環境に依存するため、見られる場所は局所的である印象です。

類似種シロテンハナムグリとの見分け方

シロテンハナムグリは金色味~青緑色の個体が多いですよね。

シロテンの写真がないので似たシラホシハナムグリと思われる個体を紹介

しかし個体によっては紫身が強い個体もおり、二者が同じ環境で見られることからシロテンの紫色個体がムラサキツヤハナムグリとして扱われているケースがあります。

実際のところ紫感の強いカナブンを見つけたらまずシロテンハナムグリを疑う必要があります。

ハナムグリの仲間の見分けポイントとして参考になるのが口の形や生息域の違いです。

シロテンとムラサキツヤは口の形で判別可能。ムラサキツヤは口の先端が平。

シロテンハナムグリの口とムラサキツヤの口を見比べてみるとシロテンのものはハート型のように凹んでいるのに対し、ムラサキツヤのものは一直線になっています。

しかし近年は東京、神奈川で絶滅種のシラホシハナムグリが何故か増加。シラホシの紫個体はムラサキツヤとかなり似ており、詳細は不明。

些細な違いですがここの違いにより珍しさには天と地ほどの差があるのでしっかりと覚えておきましょう。

標高が上がりブナ帯となってくるとミヤマオオハナムグリという類似種が出てきます。

平地なのか山地なのかの2択ならば容易にわかりますが、2種が混ざる領域では非常にややこしい種類とされていて私自身ミヤマオオハナムグリを見ていないので違いについてはよく分かりません。

ムラサキツヤハナムグリは珍しい?

このハナムグリは珍しい種類です。

狙って遭遇することはかなり難しい種類であると言えそうです。

環境省の日本全域のレッドデータには記載されていないようですが、県レベルで見ていくと絶滅危惧種に登録されているケースを目にします。

例として神奈川県では絶滅危惧2B類に指定されており、ヒラタクワガタと同じランクであることからかなり遭遇難易度は高いということが分かります。

神奈川で出会うのが大変なヒラタを想像すればその難易度がよく分かる。

その他見ていくと高知県では準絶滅危惧種、長野県でも準絶滅危惧種など意外と自然の多そうな県でも指定されていることが分かります。

このように抉れた場所が更に深くなると発生環境となる。

洞などの朽ち木がボロボロになって堆積した環境を幼虫が利用する都合上、そうした木々の出現には広い森が必要ですから個体数が見られる場所と少ない場所がはっきりしているのでしょう。

見た目も綺麗で一度目にすればかなり印象に残る虫です。それらしい虫を目にした時にはぜひ一度ムラサキツヤハナムグリなのかどうか確かめてみてください。