カマキリの色と種類の不思議な関係
大人気昆虫のカマキリは主に餌となるバッタが見られる草地や花壇などで普通に見つけることができます。
そのため物珍しい風に見られることはない昆虫だと思いますが、視点を変えるとなかなか面白い虫に変化します。
今回はカマキリの色彩変異に注目します。
身近なカマキリの色の違いや種ごとの色の割合の違いなどを紹介し、カマキリ探しをより楽しめるような情報を紹介します。
カマキリの種類と色について
平地で見られるカマキリは限られています。比較的簡単に見つけられる平地の4種をまずは紹介します。
カマキリは草に擬態しているとされる昆虫で、環境に合わせて色が変化します。
これはバッタと同じなのですが、この性質は後述する不完全変態という脱皮方法ととても相性が良く、環境に合わせてカマキリは色を変えていきます。
カマキリごとに色の傾向があるというのは、生態的に適応しやすい環境があるということなのではないかと推測しています。
ハラビロカマキリ
よく見られるカマキリです。このカマキリは平地4種の中でも樹上生という性質があり、植物や木によく登っています。
その性質からよく移動をしており、木造の手すりを始めとする人工物の上でもよく見かけます。
ハラビロの名の通り腹部が広いのですが、移動は非常に敏捷です。目を離した隙にパパっといなくなってしまいます。
ハラビロカマキリは緑の割合が高いカマキリです。
割合的には緑:茶=9:1位の印象です。ハラビロカマキリは性質的に樹上性なので日頃から葉や花に登ることが多く、緑の割合が高いのではないかと思われます。茶色のハラビロカマキリは発見出来たらラッキーくらいの遭遇率ですね。
オオカマキリ
比較的見られる種類です。オオカマキリの名の通り大型種で、翅を開いた際に付け根部分が紫色をしているというのが分かりやすいです。怒らせてみましょう。
オオカマキリとカマキリの出現割合ではオオカマキリのほうが多い印象を受けます。
オオカマキリの色は緑:茶の割合は5:5の印象です。オオカマキリの茶色型は茶色と言えども翅に緑色のアイラインが入っています。
このことは想像すると分かりやすいのですが、枯草の多い草地においても緑というのが多少はあります。迷彩のように色が混ざっていた方が見つかりにくいんでしょうね。
色彩変異的には面白みは薄い種類だと思います。
カマキリ
普通のカマキリはチョウセンカマキリという種類です。外来種ではありません。オオカマキリとは翅の付け根が透明な点と鎌の付け根が赤い傾向にあるという特徴があります。
カマキリに関しては十分な割合を出せるくらい出会えていないのですが、緑色の個体が多い印象です。
今後十分な数に出会えたら更新したいと思います。
コカマキリ
コカマキリは上記3種とは打って変わって一回り以上小さなカマキリです。鎌の付け根に黒模様がある点も分かりやすく、痛くないことから入門にお勧めの種類ですね。
個体数は少ない方で、狙ってとれる感じの虫ではないです。何かのついでに採れる虫という印象ですね。
コカマキリは色彩変異がとても面白く、99%くらいが茶色をしています。しかしごくまれに緑色の個体があり、過去のテレビ番組か何かで発見されたときに話題になっていましたね。(所さんの目がてん?)こんな割合ではむしろなぜ緑色が生まれるのかというところに疑問がわきます。
ナナフシの♂が発見されたときにローカル紙に掲載されるようにコカマキリの緑型もちょっとした話題性のある色です。ぜひ探してみましょう。
カマキリの幼虫と不完全変態
カマキリの幼虫がよくわからない方がいると思います。蝶は芋虫から綺麗な翅の姿になりますが、カマキリに芋虫状の形態はありませんよね。
昆虫には大人のなり方がいくつかあり、チョウのような蛹を経由して翅が生える完全変態と、同じ姿で脱皮をして最後に翅が生える不完全変態があります。
カマキリは後者の方法を取ります。つまりカマキリの幼虫には翅がありません!
じっくりとカマキリを眺める機会はないと思いますが、例えば発生初期のこのチビカマキリには翅がありません。
更に夏に出てくる大型のこの姿。
よく見ると大人っぽいですが、翅が出ていませんよね。つまりまだ幼体ということです。
カマキリは蛹にならない分脱皮回数が多く、自身の観察によるものではありませんがwebでは8回ほど脱皮をすると言われています。
翅の有無はとても分かりやすいですよね。蝶やガの幼虫のように種類が多いわけでも見た目が違うわけでもないので簡単に見分けることが可能です。
小さいカマキリってもうカマキリの姿をしてますもんね。
カマキリを探してみよう
秋にはぜひカマキリを探してみましょう。その際はぜひあなたがカマキリのつもりで探してみてください。そうすると生態系への理解が深まります。
カマキリの食物は昆虫ですよね。ならば獲物を必死に追いかけるのと獲物が来るのを待つのではどちらが効率がいいでしょうか?
カマキリを探すコツは花のある場所を探すことです。
この時期には夏眠明けのタテハチョウやスズメガの仲間などが良く訪れます。彼らは細長い口を利用するため、花の形が長いものを探すと効率よくカマキリに出会えます。
待伏せをすることで無駄な体力を消費せず、獲物を捕らえられます。
個人的な意見としてはシソ科のセージ系ではとてもよく目にします。
秋に花が咲き、大型のスカシバガ科の蛾がやってくるためこれを狙っているようです。
季節的にはクズもおすすめですね。ウラギンシジミを始め多くの昆虫がやってきます。
その他にもバッタ類はカマキリの好きな餌です。背丈の低い草地もカマキリ探しにはおすすめですね。
背丈の高いススキもバッタ類が豊富なので目にする機会は多いですね。秋が進んだ際にセイタカアワダチソウがともに見られれば目にします。
カマキリはバッタよりも目立つ姿をしているので、適当にガサガサして動いたものを見つけるという探し方で十分です。
秋に草地に入る場合にはマダニ対策をしっかりしておきましょうね。
まとめ
身近で見られるカマキリには4種類がおり、それぞれ色の出現割合が異なります。レアな色のカマキリを探すのが宝探しの様でとても面白いので、挑戦してみてください。
探し方は待ち伏せするカマキリの生態に合わせた花探しがおすすめです。ですが、人工物の上などでも見かけることが多いです。
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種類を理解したら生態を詳しく知ってみましょう。特に寄生虫のハリガネムシとの話は必見の面白さです。
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同時期に現れ、よくエサになるホシホウジャクも生態的にはかなり面白い種類です。