初夏に咲く真っ白なエゴノキ科の花
4月下旬頃になると様々なところで純白の下向きに咲いた花を目にするようになります。
これはエゴノキの仲間で、様々な生き物たちが利用する面白い植物なのです。もし見つけたら利用する生き物たちを観察してみましょう。
エゴノキを利用する虫たち
環境にもよるのですが、山地に近い方ではエゴノキを利用するエゴ〇〇という名前の虫が見つかります。
エゴシギゾウムシ
エゴノキ科を利用することに特化した面白い虫たちです。写真はエゴシギゾウムシ。実を利用する昆虫です。
シギゾウムシの仲間は口の長いシギという鳥の仲間から名がつけられています。
シギとゾウという長いパーツを持つ2種の生き物の名を持ちます。
名前も面白く、コナラシギゾウムシやクヌギシギゾウムシなど特定の植物の名を持つものもいます。
エゴシギゾウムシはエゴノキの実にその長い口を使って穴を開け、産卵します。いるところには結構な個体数がいます。
くるくると巻いた葉を見かけたらよく葉を見てみましょう。
エゴツルクビオトシブミ
エゴノキの葉を利用するエゴツルクビオトシブミの仕業です。
葉を器用にぐるぐると巻いてその中に産卵する虫がいます。
いました。こいつがそのオトシブミです。エゴシギゾウムシよりもこちらのほうが見つけやすいかもしれません。オトシブミの作るゆりかごは、幼虫の天敵から身を守るとともに風や雨などの影響も防ぎ、かつ食事を提供するという非常に高度な技です。
ゾウムシもオトシブミも最終的には地面に落ちて土の中で大人になりますが、葉も実も非常にいいシェルターとなります。
鳥も大好きエゴノキ科
鳥の中にヤマガラという鳥がいます。季節は秋の話になりますが、熟したエゴノキは自由落下と鳥によってその種子が運ばれます。
エゴノキの仲間は毒を持つので他の鳥は食べないようなのですが、ヤマガラだけは平気なようでかなり好んで食べに来ます。
秋~冬の食べ物がない時期にはエゴノキ科の下で実を探す姿を頻繁に見かけます。鳥はご飯にありつけ、植物も種を遠く後に運べていい関係ですね。
下向きの花で訪花者を選択
エゴノキの仲間には蜂類もよく来ています。
写真のマルハナバチの仲間は花粉を運搬する生態系での超重要昆虫ですが、ハクウンボクの花にもよく来ています。
下向きの花は脚力が強い虫しか花に止まらせないという植物の戦略です。
ハチ類は体に毛も生えており、効率よく受粉できるためそうした虫を寄せやすいよう進化したのかもしれませんね。
また、白色の花は虫によく見える色のようでハチを始めハナムグリなどの甲虫類もよく来ます。
エゴノキ科は花の時期は非常に短いのですが、様々な生き物たちの生存戦略を見ることができる非常に楽しい植物なのでぜひこうした視点で観察を楽しんでみてください。
白い雲が流れるような木という由来のハクウンボク。この時期を毎年楽しみにしてしまう美しいお花です。
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秋以降は絶好のヤマガラ観察スポットになります。
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アゲハチョウもよく訪れます。