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青い花をつける雑草の名前は? ツユクサはおしべを3種類持つ不思議な植物

野外で目立つ青い花

青色の花はオオイヌノフグリとツユクサくらい

およそ初夏頃から秋の終わりごろまでの長い期間青い花をつける野草がいます。

ツユクサと呼ばれる植物で3種の異なる雄しべを持つだけでも面白いのにうち2つはほとんど機能していないという面白い生態があります。

野外において青色のお花というのは珍しく、青色の花弁に黄色の葯という目立つ配色を持つため非常に印象に残る植物です。

今回の記事では身近な雑草ツユクサを紹介し、雑草として生き残るための戦術をお見せします。




ツユクサとは

ツユクサは身近なものでは珍しいツユクサ科に所属する植物です。

環境条件はやや絞られる印象

基本的に日当たりのよい環境に生えていますが、日の当たらない環境でも発芽し、驚異的な根性により日の当たるところまで出てきます。

そのため背丈は本当に様々で、条件が良ければ20cm程、悪ければ70㎝くらいまで育ちます。

明るい環境が好きですが湿度も必要で、体感としては半日日が差すような場所で見られる植物です。

お花はかなり特殊な青色をしています。お花には黄色いパーツが3種類あり、それぞれ異なる形をしていますがどれもおしべです。

食利用が可能で特に初夏前の柔らかい新芽を食べることができます。

花は一日花で、早朝開花した後夜にはしぼんでしまいます。

青色色素の草花遊びでおなじみ

青い花で遊んだ経験のある方も多いことでしょう。

潰すと青色色素が付く。楽しい

ツユクサの色味は自然界ではかなり珍しく、水溶性であるためとても利用しやすい着色料です。

花をすりつぶしてもそもそも一日花であるため、植物体への影響も少ないのが嬉しい点です。

我々が利用しても楽しい青色が付く染料であり、2020年には正倉院の歴史的な宝物である巾着型の布にツユクサが使われていたということから昔の人々もこのお花を利用していたことが分かります。

昔の子供たちも我々と同じく青い花を潰して楽しんでいたと考えるとなんだかうれしくなりますね。

ツユクサと時期が見事に異なる青の花。何か関連があるのかも?

青色の花は自然界でとても珍しく、オオイヌノフグリの仲間など一部の種類に限られます。

ツユクサの生態

ツユクサはとても面白い植物です。

研究通り日差しのある場所では匍匐茎がよく走る

まず植物自体が非常に良く分枝します。

苞葉は写真上部のものが分かりやすい。花の付け根を抱くように葉がある

分枝点には丸い特殊な葉ができ(苞葉という)そこから花の付く枝が伸びてきます。

花は一日花ですが非常に良く作られ、1シーズン中に200近い花をつけることが指摘されています。

ツユクサの発芽率は明所のほうが良く発芽するとされていますが暗所でも発芽します。

これはツユクサがよく植え込みなどから飛び出ているシーンを目にするので想像できると思います。

閉所の植え込みから伸びてきたツユクサ。60cm位ある

芽を出したツユクサは光を求めて伸びていくのですが、良く分枝する性質と草本でありながら約6か月近く観察できる植物体から植物の光への影響を観察するのに適した種類です。

植物には光屈性という性質があります。

植え込みの植物。葉先が太陽のある南の方へ曲がっている

ひまわりの花は太陽の方を向くや、ベランダなどで育てている植木が太陽の方だけ伸びていくという経験をした方は多いと思います。

草であり一日花の性質を持ち分枝した先に花をつける性質からツユクサは成長が早く、光への実験としてとてもいいのです。植物は生長点となる先端の方が光によく反応します。

ツユクサを窓辺に置いた観察ではツユクサをまず窓に置き、葉の傾きが生まれた後に土台ごと180度回転させて葉の光屈性を見たそうです。

丈夫の葉は回転後180度逆側(太陽側)に伸び、既に向いていた下葉は変化することはなかったそうです。

ツユクサの先端部はよく光を感知しており、暗所で発芽しても目指すべき天井が分かっているのでしょうね。

草地のツユクサ。伸びが良いので優位になれる?

また、発芽に合わせた環境への適正も強いです。

同研究によればツユクサは光条件がいい場所では0-10cm程度のところで地を這うような茎(匍匐茎)を出したが、下層部を遮断した場合には光強度の強い上層部に葉を集中させたと記録されています。

生垣の中を突き抜けてくるタフなツユクサは環境条件に合わせて葉の出し方なども変えているんですね。

様々なところで目にするのも納得な戦術です。



ツユクサとおしべ

ツユクサはおしべにもその複雑さを見ることができます。

位置によりつく雄しべの形が違っているのがわかる

青い花を見ていくと様々な黄色が目に入りますよね。ツユクサは3タイプの葯を持ちます。

一番目立つのに機能がない黄色のX字葯。蜜の在処を示すネクターガイドのようなもの?

一番上は×字状で3個、真ん中はカタカナのルみたいな形、一番下はよく見る葯の形です。

それぞれ形が違い、葯なので花粉を持つのかと思いきや一番上の目立つ葯(×)には花粉がありません。

仮おしべと呼ばれ、おそらく光の反射で最も目立ち、虫たちに花をアピールする部位なのではないかと思います。

中心と下の雄しべには花粉がある

中心の「ル」としたの葯には花粉がついており、よく花粉食いのヒラタアブの仲間がやってきています。

これは日々の観察の体験に基づくのですが、ツユクサに訪れる虫というのは数少ないように感じます。

これは過去の話でいうとアゲハチョウの色選択の話に通ずるものがありますが、赤色の花から吸蜜したアゲハチョウは選択的に赤色のお花を訪れるようになります。
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青色のお花は初夏においてはツユクサくらいしかなく、色選択の必要性が薄い色です。

これは生存の点から疑問に思っていたのですが、面白い研究を見つけました。

黄色や青は確かに虫が来ている。紫外線反射の問題?

昆虫の色に関する研究ですが、白や黄色、青色というのは紫外線を反射しない、しにくい色だそうです。

昆虫類は紫外線領域の波長を非常に好むことが知られています。我々の眼には青く見えるツユクサですが、虫から見るとさぞ魅力的なお花に見えているのかもしれません。

とはいえ観察していても来るのはヒラタアブの仲間ばかり。

しばらく見ていたが来るのはヒラタアブばかりだった

サイズ感もこのアブが利用しやすい形状に見えます。

春の虫の口と春の花の形態が同じように、特定の虫が利用しやすい何かがあるのかもしれませんね。

雄性花の割合が高い用に感じる

花の構造に関するもうちょっと複雑な話として、写真のものは雄性花と呼ばれ、めしべを持たないタイプのツユクサです。

両性花は一番下にめしべが1本ある。そのため下の本数が3本

ツユクサにはおしべだけの雄性花とめしべもある両性花があります。

知っていると青いお花の観察が楽しくなるため、ぜひ覚えておいてください。


まとめ


ツユクサはかなり身近な植物でありながらも青色の珍しいお花や仮雄しべを始めとする面白い形態やしぶとく生きる葉の戦略などの楽しい要素がたくさんある植物です。

長い時期見ることができるので、青いお花を探してみてください。

ツユクサを用いた教材開発ー開花・結実の継続観察と光屈性

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青色のお花として冬~春にかけて咲いているものはオオイヌノフグリです。外来種ですが、花期を在来種とずらしたり自家受粉可能など強力な戦略を持ちます。

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紫色の植物体を持つブルーサルビア。紫色のお花は訪花性の昆虫から人気なようです。