小さいけど目立つピンク色の蛾
近年ピンク色の小さな蛾があらゆる場所で見られるようになってきています。
この蛾は2019年に初めて国内で発見された外来種の蛾で、小さいながらも中々に美しい蛾です。
名前はアメリカピンクノメイガと呼び、ノメイガという蛾の仲間です。
今回の記事ではアメリカピンクノメイガを紹介しながら外来種の移動などについてお話します。
アメリカピンクノメイガとは
アメリカピンクノメイガは北米原産の外来種の蛾です。サルビアにつくとされていますが、赤色のものにはあまりおらず、たいていブルーサルビアで見つかります。
食草は現状ではブルーサルビアであると思われますが、生態は分かっておらずブルーサルビアなどサルビア系の仲間を幅広く食べる可能性もあります。
園芸植物を食べる都合上公園や都市部などでもよく見られる昆虫です。
ノメイガの仲間は面白い形をしており、扁平で扇子を逆さにしたような特有の形が見られます。
色は様々なものがいますが、ピンク色としては類似のものとしてマエベニノメイガがいます。(写真無)
二種はとても似ているのですが、アメリカピンクノメイガはほぼ全身がピンク色なのでその点を理解しておけば大丈夫です。
外来種
アメリカピンクノメイガは日本において2019年と比較的最近発見された虫です。
webでの情報によればブルーサルビアの輸入は昭和頃とされており、おそらく以前から日本にいたものの既存種と類似である点やそもそも蛾に興味を持つ人が少ない点から発見されなかったものだと推測されます。
アメリカピンクノメイガは問題視されていませんがこうした外来生物の侵入方法にはパターンがあります。蛾の場合は輸入される植物に卵がついているというパターンです。
園芸植物はかなり大量に入ってくるためそのすべてを確実にチェックすることは難しいんですよね。
そして庭などに植えられ卵が孵化し、成虫が現れるというサイクルです。
小型の蛾で餌資源を大量に消費するわけではないのと、庭などに植える場合たいていたくさん植えるので幼虫は餌資源に困りません。
そのため侵入後も問題なく発生をし続けます。
とはいえこうした外来種の影響を数値化して判断するのは困難なので、環境に悪いのかどうかというのも結論付けることはできません。ただ蛾の見た目としては結構可愛いと思います。
ブルーサルビアと出現時期
ブルーサルビアは初夏から秋までかなり長い間花をつける植物です。
アメリカピンクノメイガは花の時期に合わせてか初夏から秋まで数回の発生を繰り返します。
昆虫の仲間は特定の植物とタイミングを示し合わせたものが多く、例えば春に現れる口の長いビロードツリアブが現れる時期にはスミレ類やツツジ類、エンゴサクの仲間など細長い形のお花が目立ちます。
ブルーサルビアとアメリカピンクノメイガは開花期が合致しており、実際に観察してみると成虫はとてもよくサルビアの花から吸蜜しています。
原産地となるメキシコの付近で長らくともに進化してきたものであろうことが推測できますね。
まとめ
アメリカピンクノメイガは長い時期観察することができる外来種のノメイガの仲間で、2019年に発見された蛾です。
その生態は北米原産のブルーサルビアに強く依存していると考えられ、開花期と成虫出現期からその様が見れます
まだよく分かっていないことが多い蛾です。
私の住んでいる神奈川でも詳細な分布などはまだありません。ただ結構かわいい姿と色合いの蛾なので、見つけた際にはノメイガの仲間の観察とその分布記録を取っておくと、狭い世界で役に立つかもしれません。
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同時期に見られる大型の蛾クスサンの紹介です。翅を広げると10cmを超す巨大な蛾とその仲間たち及び大量発生の考察を行っています。
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アメリカピンクノメイガと同じ環境で見られるハチドリのような蛾の紹介です。こちらもかなり美しい蛾で、生態もユニークです。
空中で停止するホバリングなどを紹介。