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ツツジやサツキは刈り込むべき?花芽分化期を理解して剪定時期や方法を考えよう。

ツツジのお花が終わってきたら、早めの剪定を!


ツツジの花は開花から1週間ほどで散り始めます。多くのネットのサイトでは6月頃まで剪定や刈り込みが大丈夫と記載されていますが果たして本当でしょうか?

ツツジに関しては花がしぼみ始めたならばできるだけ早く剪定に手を付け、来年の花芽となる枝が十分に育つ時間を確保することが大切です。

日が経ち、1枚め赤色のツツジが萎んできました。

こうなったらまだ咲いていても剪定してしまいましょう。

花8割終わったら剪定の頃合いです。剪定の前に花がら摘みを行います。花をそのままにしておくと栄養が種の方に行ってしまうので、それを阻止します。

萎んだ花の付け根にある細い部分を切り取るかもぎ取ればokです。

作業は若いツツジであれば芽切鋏、太めのものであれば剪定バサミを用いるといいでしょう。

その前にツツジの剪定を早くする必要性を伝えます。

ツツジの花を付けるために理解すべき花芽分化時期


ツツジの仲間はおよそ6月中旬~7月中旬にかけて来年の花芽か葉となる芽に分かれるという特徴があります。

花芽になるためにはこの時期までに枝が十分に育っている必要があるため、剪定を早くして枝を育てて上げたいのです。

一般的にツツジは刈り込む印象が強いと思いますが、時期が遅れるほど花つきは悪くなります。
小型のクルメ系では6月の剪定ではほとんど花は見込めないでしょう。

そして花芽分化期に十分枝を育てる性質上剪定しない場合に花つきが一番良くなります。(切ると芽を出して、芽が育つのに時間がかかる)

こちらは昨年に実験した刈り込み度合いによる花つきの違いです。

右が無剪定、中央は強刈り込み(ハゲるまで刈る)、左が弱刈り込み(表面を軽く刈る)のエリアです。

右側の花つきがダントツでいいですね。刈ることで枝の成長に時間がかかり、分化期に間に合わないと花数が減ります。

では作業していきます。花付きを良くするため、不要な枝を根本から抜き、既に出ている葉を育てていくイメージで切ります。


まず混み具合を見ましょう。込みすぎると害虫の発生とカビ類がもたらす病気が発生しやすくなります。風通しが良くなるようにしてあげましょう。

内部にある他の葉と重なる枝を抜いていきます。内側にある枝は日が当たらず、大きくなりません。また、仮に育っても他の枝と重なり邪魔になります。

例えば中央辺りに有る小さな枝はこのまま伸びても上の葉と重なります。こうした枝はいりません。


剪定の基本は強い枝を抜いて弱い枝で形を作っていくです。太い枝には多くの栄養が流れ込むので、それを切って栄養を別の場所に分散させます。

中央の強い枝は立っている場所の根本から抜いてしまいましょう。

強い枝が結構多くて外周部をどうするか悩みます。枝をぶつ切りにすればサイズは調整できますが、花つきが悪くなることを考えるとこのままにしたほうがいいかもしれません。


こちらは別の株です。全体を見て強い枝と混んでいる部分を見ていきます。

葉の密集している場所は必ず枝が集まっています。重ならないように切っていきます。

強い枝を根本から抜くことで柔らかい印象にすることができます。

1年でこんなに伸びています。樹形を乱すので抜いていきましょう。

伸びた枝を抜くことでそこに流れていた栄養が他の枝に流れます。剪定は限り有る栄養をどこに分散するか?という視点でやると楽しいです。

こんな感じに仕上がりました。強い枝と中の混雑を減らしたので柔らかく、風当たりと日当たりの良い形になりました。樹形のために枝を途中で切っていないので、花つきはだいぶ良くなるのではないかと思います。

花後にはお礼肥えも忘れずに


花を咲かせて栄養を消費した植物のために花後には油かすなどを上げましょう。

花つきにかかわるリンが含まれた骨粉入り油かすがいいです。

最後に刈り込み管理で枝が充実しなかったツツジと、無剪定で枝を十分育てた場合の花つきについて見比べてみましょう。これは昨年実験してみて得られた情報です。


上が無剪定、下が刈り込みです。同じ形に見えても刈り込みと無剪定では枝先につく花の数が大きく違うことを発見しました。(刈り込み2~3、無剪定6~9)

これはやはり分化期までの枝の成長具合の差が現れているのかと思います。

無剪定ではブーケのようにもこもこしているのに気が付き、緑の割合が少ないことに気が付きました。

これは花数が多く、ツツジの葉が隠れているから花一色に見えてより美しいのだとわかりました。

イメージを分かりやすくすると、緑が多いとはこういう感じです。花も多いのに相対的に葉に負けていると感じませんか?

一方でこちらは同じ品種なのに非常に豪華に見えますよね。これが無剪定と刈り込みによる分化期までの枝の充実の違いなのではないかと私は思います。

ですので今回の記事ではツツジの早期剪定を進めさせていただきました。

コツは花後すぐに、いま出ている枝をあまり切らずに分化期までに充実させてあげるという点です。枝先には触れず、枝を1つのブロックとして扱うのが花つきを良くするポイントです。

皆様も是非試行錯誤しながらの楽しいツツジ剪定を行ってください。
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花が咲かない場合は刈込みなや害虫などの原因があるかもしれません。
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秋に剪定する場合は目的をはっきりさせましょう。なんとなくやると後悔します。