大きい声で色々な音を出す鳥
雑木林や林縁を歩いていると鳥らしい鳴き声を聞く機会は多いですよね。
しかしその中には決まった鳴き声ではなく思い付きで鳴いているような大声の鳥がいます。
ガビチョウという鳥はヒヨドリ程度の小さな鳥なのですが、色々な鳥の声真似を大声でする大変にぎやかな鳥なのです。
ガビチョウとは?
ガビチョウはスズメ目チメドリ科に所属する外来種の鳥です。
体長はおよそヒヨドリほどでやや珍しい茶色っぽい体色をしています。
どちらかというと太めの体系をしており、ヒヨドリなどと比べると太く見えます。
目の周りにはメジロやサンコウチョウのように丸い模様とメガネの柄のような特有の模様があります。
ガビチョウは地上徘徊の傾向が強く、主に低木が茂っている林縁や雑木林の環境で目にする機会が多いです。
彼らの食性は果実食や地上付近の昆虫類であり、セキレイのように飛翔するというよりはステップを踏むように短距離を移動する場面を観察することが多いです。
行動は単独で見かける場合も多いですが繁殖期にはつがいで行動することが確認されています。
確かに観察の範囲では2羽単位で茂みから様子を見ている場面に遭遇する機会が多いように感じます。
外来種の鳥
国立環境研究所の侵入生物データベースによればガビチョウは中国や台湾、ベトナムなどの地域に生息していることが分かります。
同ページより侵入経路については愛玩用・観賞用の飼い鳥が逃げ出したり、飼い主が離したことにより野生化したことが指摘されています。
ガビチョウは果実食、地上の昆虫食であるらしく主に林縁や雑木林の環境に潜伏していることから在来種の生態系への影響は大きそうですね。
果実食の傾向が強いことから在来の鳥たちとの競合も考えられます。
ガビチョウは体も比較的大きく、縄張り意識も強いように感じます。
都内の某公園では里山環境が残されているものの林床にはガビチョウが優先しており、桑の実やコウゾの実などを独占していました。
植物側から見れば種子運搬は問題ありませんが、動物側から見ればこの時期の貴重な餌資源を外来種にとられてしまうので大変でしょうね。
特にガビチョウがいる場所には他のガビチョウが一定間隔で生息しているようで、そういう場所では他の小鳥があまり見られないということがありました。
地上採食性で好みの生息環境が決まっているからかそうした好きな環境での密度はとても高く感じます。
ガビチョウの鳴き声は複雑なもので個体により鳴き声が違ったりします。
生息地の中国ではこの鳴き声を楽しむために買われていたりもするようで、声こそ大きいのですがその不思議な鳴き声は確かに代わりとなる鳥はいないように思えます。
こうした背景からか日本でもペットとしての需要が湧いたのか持ち込まれ野生化してしまったのでしょうね。
現在では各種の公園で普通に見ることができる鳥となっています。人間都合で持ち込まれて野生化したケースはアライグマを例に挙げれば切りがありません。
ガビチョウの鳴き声
前述の通りこの鳥は摩訶不思議な鳴き声をしています。
例えばシジュウカラならばツピーツピー、ジュジュ。フクロウならホーホーのように鳥の声は一応文字で表せたりします。
このガビチョウは最初の鳴き声こそジュイー↑見たいな部分で共通していますが、鳴きまねを取り入れており、生息地により声が違うという面白い特徴があります。
よく聞くフレーズとしてあらわすとポロヒョヒー↑でしょうか。鳴き始めに取り入れられています。
中でもサンコウチョウの鳴き声はよく似ており、シーズン入りたての時にはサンコウチョウの声ってこんな感じだっけ?と疑問に思ってしまう程度には似ていたりします。
コジュケイのチョットコイという声も入っていることがありますね。
こういう知っている鳴きまねを見つけるのが楽しくてついつい聞いてしまう魅力ある声だと私的には感じますね。
美しい声なのかはその人次第ですが。
地域や時期により鳴きまねの学習が変わるらしく、webを見ていく感じではキビタキやオオルリなどの夏鳥、春に人気のウグイス、音の真似としてツクツクボウシなんかも真似ているようで、音の周波数さえわかればマネできてしまいそうですね。
あなたの地域のガビチョウはいったい何の声真似をしているでしょうか?なかなかに面白い生態です。
一方でこのガビチョウですがかなりうるさいです。
きっと林などに隣接した場所に暮らしている方はこの鳥を目覚ましにしている方も多いと思われます。
朝うるさい鳥としてはヒヨドリの縄張り主張ボイスのキィー↑やシジュウカラのツピーツピー↑が身近ですが、ガビチョウのそれは彼らの倍近い大音量です。
茂みで急に鳴かれるとびっくりしてしまうぐらいには大音量を発するので、見方次第ではとにかくうるさい鳥です。
見た目は結構かわいいんですけどね。
ガビチョウは賢い
ガビチョウですがかなり人慣れします。
出現場所が林縁でありすぐに逃げ込める環境に生息しているからかそもそも人との距離が近い種類です。
そうした鳥が繰り返し逃げて襲われないということを学ぶうちに人は襲ってこないということを学び、やがて人がいても平気で茂みから出て鳴くようになります。
今回のガビチョウは目先2m程でじっくり撮影で来た個体で逃げる気配はほとんどありませんでした。
むしろつがいでこちらの様子を見てくる余裕を感じましたね。
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