知られざる植物観察ポイント?東京薬科大学
近場で植物観察をしたい。なんとか自然を満喫できないものか?こんな気持で日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか?
京王線の京王堀之内からバスや徒歩でアクセス可能な東京薬科大学薬用植物園はおよそ2月中旬頃から早春の植物たちの観察が楽しめるおススメスポットなので紹介します。
東京薬科大学 薬用植物園
アクセスとバス時刻表
東京薬科大学は京王線京王堀之内駅からアクセスが可能です。堀之内駅からバスが出ており、約8分程度で到着が可能とアクセスも良好です。
バス時刻も張っておきます。
薬科大学のHPによれば開園時間は9:30~4:30まで、日曜祝日が休みなので注意しましょう。
園内では薬科大学の研究用らしく様々な医療用の原料として使われる植物や有毒な植物などを見ることが可能です。
散策路が平たんではないのでちょっと豪華な散歩道として使ってみれば楽しいことでしょう。
また、植えられている植物の種類もマニアックなものが見つかり楽しいです。
園内MAPについて
園内は里山のような雰囲気で構成されています。小川のある水路がありクヌギコナラの薪炭林を結ぶやや傾斜のある散策路に様々な植物が植えられています。
私が訪れた2月下旬頃の時期は自然下ではなかなか植物が寂しい時期ですが、薬用植物園ではかなりの賑わいを感じられました。
冬の薬用植物園で注目の植物
2月頃に訪れた際のものです。植物好きならちょっと嬉しくなる人気の植物が見られます。
ギョウジャニンニク
言わずと知れた北海道などを始めとする自然度の高い場所でとれる山菜です。
修行僧が移動中にスタミナをつけるために利用したという話もあり、そのおいしさは山菜でありながらも市場に並ぶことがあるという点からも人気の高さがうかがえます。
神奈川東京近辺で自生のものを目にすることはまずないと思います。
薬用植物園ではギョウジャニンニクが可愛らしく生える様を目にすることができ、折り重なった特有の葉と見るからに美味しそうな雰囲気を楽しむことができます。
山菜を好むものとしては自生でなくとも生えている姿を見たいと思うものです。この姿を覚えていつの日か自生のものを取ってみたいですね。かわいい植物です。
バイカオウレン
私的には薬用植物園の目玉であると感じます。
バイカオウレンは亜高山帯や針葉樹林の林床に生えるとされる植物で、私自身自生下では見たことがない植物です。
この時期に咲く花としてはひときわ美しい印象で、別名ゴヨウオウレンという名がある通りやや厚みのある5枚の葉をもちます。
葉はかなり特徴的で、葉の形だけでも楽しいものです。
キンポウゲ科の植物であり、この種はガクと花びらが分かれていないより原始的な植物であるという話を聞いたことがあります。
バイカオウレンだけではなくキンポウゲ科の多くの植物に共通する点ですが、花弁のように見える部分はガクというものです。
白いガクとかなり目立つ黄色いおしべが清楚な印象を与えてくれる美しい植物ですね。これ目当てで訪れて後悔しないような美しさでした。
セリバオウレン
キンポウゲ科が続きます。この時期はキンポウゲ科の時期なんです。
セリバオウレンは名の通り春の七草でもあるセリに似た雰囲気の葉を持つ植物です。
植物を見るとどことなく忙しさや密度を感じさせる植物で、葉も花も共に数が多いです。同じオウレンであってもこんなに違うのは植物の多様性の面白い所ですよね。
バイカオウレンと比べより多い花の密度はこの時期の寒さと相まって雪のような印象を感じさせます。
ガクの数もバイカオウレンより多く豪華ですね。
この植物も自生下ではなかなか目にすることができない植物だと思います。薬用植物園が素晴らしいのはこうした同じ科の植物を比較するように見ることができる点です。
後述のキクザキイチゲ、バイカオウレン、セリバオウレン、セツブンソウ、フクジュソウなどなどのキンポウゲ科を比較できるパラダイスです。
キクザキイチゲ
人気の山野草が出ました。薬用植物園ではキクザキイチゲがたくさん生えています。
ここでは紫色と白色のものを観察することができました。やはりキンポウゲ科の植物で、周辺地域では高尾山などで目にすることができますね。
おなじみのスプリングエフェメラルと呼ばれている植物たちで、その意は春の妖精です。
色彩のバリエーションに富み、日の当たる角度によってその淡い色合いがより美しく見えます。
菊を思わせる細かい葉からは同じキンポウゲ科であるトリカブトやニリンソウなどと同じ仲間であることを感じあせます。
キクザキイチゲ良い条件の環境では群生するイメージがありますが関東ではこうした群れはなかなか目にしないのではないでしょうか?
薬用植物園では大群生とはいきませんが愛でるには十分な数がありました。しかも遠路に近くとても接写できます。
スズカカンアオイ
好きな人は大好きなカンアオイの仲間です。
花は冬に咲き、葉の下の隠れるようにつけるため意識的に見に行かないと目にすることができません。
カンアオイ類は種子散布に鳥などの広域利用生物を利用しないため、ほとんど地域から移動しない植物です。
このことが地域ごとの特有の遺伝子を育てることにつながっており、カンアオイの仲間は種の多様性がとても広い植物です。
地域の多様性が豊富な植物で、スズカは静岡や愛知などにあると言われ、その分布は局所的で人気が高いです。
関東近辺で目にするカンアオイ類にはカントウカンアオイ、ランヨウアオイ、タマノカンアオイの3種がメジャー種であり、西部の山地ではカントウとランヨウが種で、多摩丘陵の一部にタマノカンアオイがあります。
言わずもがなスプリングエフェメラル、ギフチョウの食草であり、カンアオイの存在は開拓前の過去にギフチョウがいた可能性を示すものでもあります。
スズカカンアオイは葉に入る模様がゴワゴワしているものが多く葉の上部がキュッと狭まる楕円形の形をしています。
この点ランヨウアオイの等は上部が外に広がるなど近い地域でも性質が異なる様子を観察することができます。
花はカンアオイの仲間にしてはラフレシアを思わせるような独特な唇のようなガクが面白いです。
セツブンソウ
初冬のキンポウゲ科といえばセツブンソウでしょう。小型で群生する人気のキンポウゲ科植物です。
なぜかフクジュソウと並んで植物を扱うような場所では必ずと言っていいほど目にします。
私的にもマンサクや紅梅などよりも冬を感じさせる植物で、他の植物がない中でぽつりぽつりと咲く寂しげな感じが冬らしい空気感を思わせてくれます。
ユキワリイチゲ
キクザキイチゲと並んで早春の代表的な植物であると思われます。
淡い紫色に対象的な黄色の雄しべが目立ちます。
自生では見たことがありませんが植物園などでは見かける機会の多い種類です。
キクザキと並んで花が巨大であるため、迫力があるからでしょうか。
もしこの記事をご覧の方が植物好きであるならばこの時期の薬用植物園は時間を忘れてしまうほど楽しめる良い場所であると言えるでしょう。
植物でなくとも園内の自然環境や散策路自体も面白いので、ちょっとした散策にとてもおすすめです。
かなり穴場な場所なので興味がわいた方は一度訪れてみてください。
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近場の植物観察スポットとしてはあいかわ公園もおすすめです。ヒルやダニ対策はしっかりとしておきましょう。