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茶色の小さなカマキリは誰? 黒い模様のコカマキリ

秋、カマキリが熱い

鎌が痛くないから皆に好かれるコカマキリ。

秋の昆虫といえば誰しも思い浮かぶのがカマキリの仲間です。

小学生の頃に卵を道具箱に仕舞いっぱなしにしてえらいこっちゃになった方も多く、思い出深い虫な方も多いかと思います。

カマキリの仲間ですが、身近で見られるものとしてはあまり多くはありません。

その中でも最近はちょっと珍しくなりつつあるのが今回のテーマであるコカマキリです。

どんなカマキリか見ていきましょう。

コカマキリとは?

私も遠慮なくさわれるコカマキリ。サイズ感が素晴らしい。

コカマキリはカマキリ科に所属する肉食性の昆虫です。

出現時期はおよそ8~11月頃で、草地~低木のある環境で見つかることが多いです。

大きさは5㎝前後と同時期に出現するカマキリの仲間の中では圧倒的に小柄で細く、茶色の割合が圧倒的に多いのが特徴です。

鎌に入る黒と白の模様が分かりやすい。

鎌には白、黒、赤っぽい模様が入っている特徴があり、特に黒模様はウスバカマキリという希少な種類などにしか見られない特徴なので見分けるのは簡単であると思われます。

動きは枝などに擬態時はあまり動きませんが、人などに補足されるととても素早く逃げ回ります。この点はハラビロカマキリと似ていますね。

コカマキリの配色

カマキリの仲間は色の違いが知られています。

枯れ草に溶け込むコカマキリ。見つけられますかね?

その多くは緑色と茶色、もしくはその2色のハイブリットです。これはおそらくバッタの擬態と同じく生き生きとした草地に溶け込むか枯草に紛れ込むかの戦略であると考えられます。

カマキリの面白い所は種類によりこの色彩の配分が異なるところにあると思っています。

例としてオオカマキリでは緑とハイブリットが体感50:50で見つかります。

緑割合が比較的多いハラビロカマキリ

ハラビロカマキリでは緑と茶色が9:1程度で茶色はなかなか珍しいです。

肝心のコカマキリに関しては99%くらいが茶色なのではないかと思われます。

私自身実は緑色のコカマキリには遭遇できたことがありません。しかし緑色でも大きさが他種と異なること、鎌には特有の黒模様がつくことなどから見分けるのは簡単です。

コカマキリの緑を見たことがある人はなかなかの幸運である

私の中ではナナフシの♂のような存在になっており、毎年秋になると緑のコカマいないかなぁと探していたりします。

コカマキリの探し方

小さくてかわいいコカマキリは人気の高いカマキリなのですが、探すとなかなか見つかりません。

カマキリ全般が自然に溶け込んでいるので、見つけるのはとても大変

実際コカマキリの生息環境というのはオオカマキリやカマキリと大きくは変わりません。

しかし個体として小さかったり、枯れ枝擬態や枯草に溶け込んでしまっていたりと大型種と比べると目につきにくいという問題があります。

私がカマキリ採集でおすすめしているのは人工物上を探すことです。

前述の通りカマキリは植物に溶け込んでいますので、目が慣れていない人が探すとなかなか見つかりません。

道路や水辺付近にはハリガネムシに操られていると思われるカマキリがよく見つかる

しかしカマキリの多くは低木の幹や草本の茎、ハラビロカマキリのようにそもそも樹上性であるなど高い所にいるのが好きな場合が多いです。

これを利用して草地に隣接する手すりや建物の壁などを見て回るとカマキリは予想以上に見つかります。

種にこだわらないのであれば夏にクワガタがいた雑木林などに行ってみるとハラビロカマキリが樹液の虫を狙っている場面に遭遇するかもしれません。

本来カマキリは草の上でバッタや蛾の仲間などを狙っていることが多いです。

特に花に鎌が届く範囲では多くのカマキリが見つかる可能性があるので、彼らの生態面から探してみましょう。

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