蓼食う虫も好き好き

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黒い翅のトンボは誰? 珍しそうな印象のハグロトンボ

初夏から目にする黒い翅のトンボ

真っ黒な翅のトンボは多くはないので印象に残る

夏に人気の昆虫としてトンボ類を一生懸命捕まえている方も多いことでしょう。

逆に虫に興味がなくともその色合いで印象に残る虫がいますよね。

今回のテーマであるハグロトンボは、夏にキャンプや水遊びで水辺に行くと見かける機会も多く、多くの方にあの虫は何だろう?と思われている種類だと思います。

ハグロトンボとは?

ハグロトンボは主に水辺に見られるカワトンボの仲間の1種です。

弱っていたハグロトンボ。本来は人の気配に敏感で近づけない。

成虫はおよそ6月の下旬ごろから見られ始め、9月頃まで見ることができます。

出現環境は清流である必要はなく、河川中流域程度のやや汚れたレベルの水であっても見つけられるほか、湧水のある場所の近辺でも見つかります。

ちょっとした水辺で、生活排水の汚染が多くなければ見つかる。

そのため、都市部であっても比較的見つけることが可能です。

ハグロの名の通り翅は真っ黒でやや金属光沢が見られます。

ハグロトンボは翅脈がとてもきれい

類似種としては5月頃から6月中旬ごろまで見られるアオハダトンボがいます。

2種は似ていますが、アオハダトンボは明確に清流のトンボであるため、環境や出現時期などで判断することが可能です。

真っ黒な4枚翅のトンボは平地で目にするトンボ類とは大きく違い、子供たちの憧れのトンボとして人気がありますね。

ハグロトンボの生息環境とは

ハグロトンボは彼らの出現時期に適当な水辺に足を運んでみれば簡単に見つけることができます。

ハグロがいた流水と止水がどちらもある場所

水辺のトンボとして知られるハグロトンボですが、厳密には一部のヤンマのように水辺の上を旋回しているわけではなく、薄暗く湿度のある場所であれば結構な距離があっても移動してきます。

具体的な距離は不明ですが、発生源となる緩やかな水辺を見つけられればそこを中心に300m位の範囲にはいるのではないかと(環境にもよりますが)思います。

ハグロがいるところにはシオカラの仲間がいる印象。

もちろん川沿いにも非常に多く、彼らの出現場所ではハグロの時期よりもやや前にオレンジ色の翅をしたアサヒナカワトンボが見られることもあります。

同地域で見られるアサヒナカワトンボ

厳密には彼らはより水辺に近い環境にいると感じますが、生息場所のイメージとしてはそんな感じです。

その他ホソミイトトンボなどのイトトンボの仲間も見られることがありますね。

開放水面や閉鎖環境の水辺など極端な環境を好むヤンマ類に比べれば見つけやすいと言えます。

水辺の緩やかな場所に生息しているので、大型河川などにもいる

だからこそこの黒いトンボはキャンプや川遊びなどのレジャーついでに見つけることができ、お子様などは普段見ることができないけれども特別なイベント時に出会える虫としてとても好きな虫になっているのでしょうね。

ハグロトンボに出会った子供たちは夢中で追いかけていきます。

ハグロトンボとアオハダトンボ

先ほどさらりと触れましたが類似種にはアオハダトンボがいます。

ハグロトンボの翅は黒い。アオハダは太陽のもとでは緑っぽい光沢がある。

アオハダの写真は私は持っていませんが、青緑色のような金属光沢を体と翅に持っています。

しかし虫に興味の無い方からすればハグロトンボに見えてしまうはずです。

一方でボディはハグロにも金属光沢があるのでややこしい

ハグロトンボとアオハダトンボでは出現環境もレア度も大きく違います。

例として神奈川のものを上げるとアオハダトンボは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

上流域の綺麗な水に生息する彼らは見られる場所が限られると言えますね。

イトトンボの仲間が出始めたり、ゼフィルスの時期などにいる

アオハダトンボの出現期間は非常に短く、主な時期はおよそ5~6月中旬程度までです。

夏の水回りで遊び始める時期にはハグロトンボと入れ替わっていますので、真夏ならば間違える心配はないでしょう。

逆にミヤマカワトンボなど翅が茶色っぽいカワトンボ類と混同しないように注意する必要があるかもしれませんね。