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2024年高尾山昆虫観察記9 高尾のオオトラカミキリを目指して(2敗)

高尾の難関種、オオトラカミキリ

期待とともに高尾山へGO!

9月の高尾山で人気の高い昆虫、オオトラカミキリ。

副産物もなく、暑い中ひたすらにモミの木を見上げて見回る採集方法から苦労も段違いの採集です。

初回でワクワクしていた1敗目と比べると2敗目からは新鮮さも少なくなり、オオトラ採集の本質が見えてきた気がします。

そんな様子をお届けします。

取れる気がしないオオトラ採集

樹冠~幹に日が当たるモミの木を見て回る。

訪れた日のコンディションは日差しは強いものの風は涼しいと1回目と似たコンディションでした。

現地には同業者が7人ほどおり、今回私は後半に稲荷山コースへ様子見をしてしまいましたが、それまでに取れている方はいなさそうな感じでしたね。

この日私がしたことは、モミの木を6時間見る。以上。

するべきことはただ一つ、オオトラカミキリがおりてきそうなエリアのモミの木を巡回することです。

オオトラがおりてくるピーク時間と言われる11時から2時頃にかけては一層力を入れて巡回し、それ以外でも樹冠~幹にまで日が当たる場所を求めて時間とともに移動していきます。

中腹の巡回

到着直後は直後だから見られるような場所を見ていきます。

ヘビ状の模様はたくさん見つかる。逆にどのエリアにも痕があり、分からない。

高尾山はモミの数があまりにも多く、中腹以降からにかけてあまりにもたくさんのモミが目につきます。

これによりおりてくるモミを選別することやエリアを特定することが難しく、痕跡はたくさん見つかるのに肝心のオオトラが見つからないという状況になっているようです。

ネブトの大歯は今年見れてないのでほしい

前回見つけていたエリアを見て回ります。オオトラが出た痕には大きな穴が空いており、ここにネブトが入っている事があるそうなのでせっかくならば見ておきます。

普段は人もいないような場所なのにオオトラシーズンに限っては藪から人の気配がしたり、虫網を持った人が巡回に来ていたりします。

中腹ではモミに付くというエゾゼミの声がまだ楽しめました。

午前中は日差しが差し込んでいる場所もあり、モミから出ている樹液の量などを見るにおりてきそうなものですが、やはりうまくはいきませんね。

場所を移動してオオトラを探す

本命のエリアへと移動します。

日当たりが良い。恐らく木の密度が高すぎてもだめなのだと思う。

位置的にも午前中から午後終盤まで日当たりが良くモミの割合も多い場所です。

古い食痕や大量樹液が流れていたり、伐採木に食痕が見られたようなエリアです。

前回教えていただいたオオトラの食痕とフラス。

到着早々モミの木を見ていると、斜面の下からこんにちはの声が聞こえました。

天気の良い日だったのでいるかな~と思っていましたが、ここ数回の記事ではおなじみのカミキリ屋さんがいらっしゃいました。

オオトラ狙いなだけあって遭遇頻度がとても高く、早速情報交換をさせていただきました。

情報とはいえ私のものはただの現地の情報程度なものですが。

今回は後半は稲荷山に行く予定だったので部分的に同行させていただき、エリア内で分散してモミの木で待機するという戦法を取ることに。

このエリアも羽脱孔や日当たり、モミのサイズ感などとても良さそうな印象を受けるのですが、オオトラの飛来はなし。

数本のモミが見渡せる場所にて張り込み。

エリアで待機していると人が様子を見に来る事が度々あり、高尾のオオトラ界隈は思ったよりも賑わっているようです。

その後近隣エリアで別れて探すことに。日当たりのいい場所は人が多いので、人気が薄い代わりに日当たりもやや薄いような場所を探してみました。

1本の木にヒゲナガ5匹はなかなかに凄い。今日見れた唯一のカミキリ。

ここの結果は巨大なモミに張り付いているヒゲナガカミキリ程度でした。モミの木にカミキリっぽいものがついていたり、スズメバチがついているとついつい目で追ってしまいますね。

オオトラ採集はあっという間に時が立つ

オオトラ採集なのですが、単純な採集故に飽きが来るかとおもいがちです。

クワガタなら樹液を一度見れば昼間は終わりですが、オオトラはそうは行きません。

しかしながら木から降りてくる性質上目の前の木にいつの間にかおりてきている可能性があるために常に気を張り続けています。

降りてくる木もわからないために1度見て数分たった木に来ている可能性があるため、僅かなエリアでもかなりの時間滞在することができます。

そのため、本山の部はわずか2つほどのエリアを見回っただけで3時間ほど経過してしまいました。

分散して探していた情報をカミキリ屋さんと共有して稲荷山へ向かいます。

稲荷山のオオトラ事情

稲荷山へ向かったのが2時過ぎ頃。

稲荷山は地面が固く、1ステップが高いので足がつかれる。

稲荷山のモミ密度が高いところは山頂からも麓からも距離がある微妙な場所に位置しています。

今回は様子見をしに行ったわけですが、午後2時ごろから回るには日が足りないなというのが感想です。

午後遅い時間ではもう日が届いていない

エリアとしては細めのモミ~中程度のモミが多く、羽脱孔やカミキリらしき樹液はかなり見られましたので、日の差す時間帯ならばなかなか良さそうな印象を受けましたね。

オオトラのものなのかは不明ですが、こうした白い樹液まみれの木は多々見られました。

ヒゲナガ説が浮かびますが、オオトラの羽脱孔もたくさんありました。

そしてグルグル巻の羽脱孔も結構あるんですよね。時間的なものか人もかなり少なく、ひっそりと探すなら結構良いのかもしれません。

トイレや自販機などがないのがちょっと嫌ですけれども。

オオトラ2敗目

やはり高尾のオオトラは簡単には出会えないようで、流石に厳しさを感じました。

期待が持てない虫としては想像以上で、数時間集中力を維持する点や山中を歩き回る都合上疲労もかなり高まります。

おまけにライバルが予想以上に多いなという印象で、おそらく土日辺りは10人ではきかない人手がありそうです。

今日の現地ではカミキリ屋さんを含めて2名同じ方に遭遇しました。この採集を連日続ける人たちの気力と体力は凄まじいものがありますね。

高尾オオトラは9月の第一週目が良いとされているらしく知っている人はその時期に集中的に来ているのかもしれません。

私はそこまで高頻度では通えませんが、9月のオオトラの時期には通えるだけ通ってみて情報収集をしていきたいと思います。

当然ですが、行かなければ出会えませんからね。
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次回はこの記事より。やることが同じなのでどちらかというと取れないリアルさが楽しめる観察記となっています。2回分です。

高尾山昆虫観察記事

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前回はこの記事より。オオトラ1回目です。

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高尾山の同時期ではヨコヤマヒゲナガカミキリも狙えます。