飼育していた虫が死んでしまった
夏も終わりに近づき、この夏捕まえた虫たちもポツリポツリと死んでしまう時期となりました。
一生懸命飼育した昆虫たち。死んでしまったけれどもどうしよう? ゴミとして捨てる?土に返す?などなどいろいろ思い浮かぶかもしれません。
せっかくの数ヶ月を共に過ごした思い出の虫たちであるならば、昆虫標本にして一生思い出に残る形で記録しておけば、ますます虫が好きになっていきますよ。
死んだ虫は捨ててはいけない
よく死んでしまった虫を土に返す意味合いで外に捨ててしまう方がいますが、これはやめましょう。
捕まえた虫はお住いの地域とは別地域である可能性が高く、そうでなくとも飼育マットなどは本来自然界にはなかったものです。
虫体についている微生物や菌類、同じくマットなどにいるダニを始めとする微生物は本来その場所にはいなかった生き物であるため、生物多様性が重要視される現代ではそうした行動は控えたほうが良いです。
昆虫標本の作成
死んでしまった虫にも様々なケースがあると思いますが、死んだ虫でないとできないコンテンツとして昆虫標本はやはりおすすめです。
作成した昆虫標本というのは意外と一匹一匹に思い入れがあるもので、箱の中の虫を見ながらこいつとはこういう出会い方をしてこんなやつだったなという思い出もついてきます。
お子様ならば成長とともに振り返りができますし、大人に近づけば近づくほどコレクション性も高まります。
せっかく飼ったならば最後も美しく飾ってあげるのがおすすめですね。
昆虫標本ですが、特に甲虫類は形作るだけならば難しくはありません。
必要なものはこんな感じです。
昆虫針
ピンセット
保管用の紙箱
防虫剤
(昆虫を〆る薬品)
まち針
意外と安く、手間もかからずに甲虫の場合には作ることができます。
作ることよりも親子の場合には保管の際の冷凍庫や冷蔵庫にお母さんの許しが出るかのほうが難しいかもしれません。
作成手順
生きた虫か死んでしまった虫かで手順が変わります。
生きている場合(大人でこれから標本を作りたい人)にはセリアなどで販売しているマニキュアなどの除光液を〆る薬品として利用します。
成分表に酢酸エチルが表記されているものを選んでください。
これをティッシュに染み込ませ、ガラス瓶やポリプロピレン性の容器に入れて密閉させれば毒瓶の完成です。
生き虫はこれに入れて〆ていきます。特に美麗な標本を作りたい方におすすめです。
死んだ虫を活用する場合には死後ミニジップロックなどに入れて冷凍庫で保存するのがおすすめです。
死んだ虫はどんどん乾燥していき、関節など動かなくなってしまいます。
また、暖かい場所では腐敗していまい、いざ標本を作ろうとしてもバラバラになってしまったりします。
なのですぐ作るなら冷蔵庫、長期(2年程度までは平気です)ならば冷凍庫に密閉してしまいましょう。
昆虫も死んだ直後には死後硬直があります。
なのでカブトムシやクワガタならば死後2~3日程度様子を見ます。
腐敗しないよう冷蔵庫以下の温度で置きましょう。
数日経ったら虫を取り出し、顎や角、脚などそれぞれを実際の可動域に合わせて軽く動かし、脚を整えやすいようにします。
この作業で虫の体の作りがより学べます。
取り出し直後は脚が内側で丸まっていると思いますが、全部外側に向けられるのが良いですね。
ここから専用道具の昆虫針を使います。クワガタなどの場合には3号がオススメですね。
昆虫の硬い翅の右上側に刺します。この際いきなり全部貫通させずに上翅の硬いところにだけ突き刺して針が垂直か?体が平行になっているか?などのバランスを確認します。
また、刺し口の反対が足の付根と被らないかも確認します。
大丈夫そうならば貫通させましょう。
まずは大顎や角、そして触覚を整えるのがおすすめです。特に触覚は後にするとやりにくいので最初にやりましょう。
顎や角は死後硬直を解くときに動かしていると思います。まだの場合にはゆっくりと力を入れてはずれないよう丁寧に動かしましょう。
触覚は正面に対し90℃がかっこいいと思います。
針をペフ版やスチロールに刺して固定するのですが、乾燥時に動いてしまう場合があるので基本的にはX字でしっかり止めてあげることがおすすめです。
顎や触覚ができれば脚です。
死後乾燥を始め時間が経っていなければ硬直を解くだけで問題なく動いてくれると思います。
腿節(たいせつ)脛節(けいせつ)跗節(ふせつ)と虫の脚は3つの節からなります。私は各節ごと角度を変えて整えて上げるのがかっこよいと思います。
爪なども開けるとかっこいいですね。
少なくとも各節1対の針で止めてあげるとそのまま固定しやすいと思います。
脚を整えたら紙箱にしまいましょう。防虫剤とシリカゲルなどを入れてあげるのを忘れずに。
おおよそ1ヶ月ほどで乾燥標本が出来上がります。
標本作成の注意点
よくやってしまうミスを自分の例から紹介します。
保存
死んだまま虫かごで放置してしまったり、タッパーなど密閉容器で保存せず冷凍庫に入れてしまうと昆虫が腐敗or乾燥してしまいます。
この場合軟化と言って、熱湯で昆虫を柔らかくする手間が増えます。
腐敗の場合には砕けてしまう場合もあるので、保存はしっかりしましょう。対処法は、密閉容器で冷凍です。
害虫
虫の死骸が放つ匂いを頼りにシバンムシやカツオブシムシという乾燥したものを食べる生き物が湧きます。
放置していると虫が食べられてボロボロにされてしまうので、防虫剤や密閉容器でシリカゲルのような環境を作るのが重要です。
もし標本箱内で食害の後を見つけた場合には前述の虫を〆る酢酸エチルなどを被害を受けた昆虫と一緒の容器で密閉してあげれば対処可能です。
恐らくこの2体エラーがミスとしては大きいと思います。腐敗と害虫対策は厄介なのでしっかり覚えておきましょう。
外国産やたまたま取った虫などはわからないと思いますが、もし今後も作成しそうならば採集日や採集者、場所などを記したラベルも
作れるとバッチリですが、個人の思い出として作る分には不要です。
昆虫標本も増えてくると見栄えもよく楽しいものとなってきますので、夏の思い出をぜひ積み上げてみてください。
昆虫標本関連記事
pljbnature.com
蝶もおすすめです。やはり美しいですからね。