蓼食う虫も好き好き

知っているとちょっとお得で日々の観察が楽しくなる自然の魅力を発信します。画像の無断転載は禁止です。

高尾山のスミレたち。斑入りヒナスミレやエイザンスミレなどの人気種

高尾山はスミレがたくさん!

植物の数が多く、四季折々で様々な自然を味わえる高尾山ですが、春~初夏にかけてのスミレ類の多さは素晴らしいものです。
3月頃~5月にかけて見られる種類を紹介していきます。
ヒナスミレと斑入りヒナスミレ

主に山頂付近のエリアで見られます。ピンク色の模様が可愛らしいスミレで、杉林などの薄暗い林床が好きなようです。
斑入りヒナスミレは葉が非常にわかりやすく、厚みのある特徴的な葉をしています。花の色合いも鮮やかなピンクが多く、似た種類はエイザンスミあたりでしょうが、それとは葉が異なるので見分けは簡単ですね。

シロバナナガバノスミレサイシン

1号路のリフト付近にかけてよく見かけるスミレです。ナガバノスミレサイシン類は葉の展開よりも先に花を展開する特徴があります。葉が展開する前であれば似た種類と見分けやすいです。スミレサイシン類は花弁の後ろ側にある長い部分(距)が丸くぽてっとした形をする特徴もあり、分かりやすいです。

エイザンスミレ

6号路終点付近や山頂付近の日当たりがいいエリアで見つかります。葉が分裂するかなり変わった特徴があり、見分けに間違うことはない種類です。平地ではなかなか見られない種類だと思います。時期的には3月下旬~4月下旬頃です。花は薄いピンク~白色で、自生でピンク色のスミレはあまり多くない印象です。

ノジスミレ?

濃い紫のスミレは身近なものに多く、判断に迷います。山頂付近で見かけたこのスミレは左右の花弁の付け根に白い毛があり、後ろ側の距が細いのでノジスミレではないかと思います。普通種で開けた日当たりのいい環境があれば平地でも見られます。高尾山では少ないのかあまり見かけません。

タカオスミレ

高尾山のスミレといえばタカオスミレと言えるくらい有名なスミレです。葉が茶色がかるのが有名ですが、これは新葉の段階に見られるもので、時間が経つと緑になります。個体によっては新葉の時から緑色のものもあり、その場合には判断に迷うときがあります。葉が大きいので雰囲気で分かります。1号路の入口付近などが見やすく個体数も多いですね。

オトメスミレ

貴重なスミレだと思います。タチツボスミレのシロバナ種の中から偶然生まれる品種だと聞いていましたが、高尾山にも存在していました。白い花に距だけが濃い紫というユニークな姿は、見てきたスミレたちの中でも一番印象に残る美しさです。シロバナタチツボスミレは高尾山内に点々とあるようなので、オトメスミレが増えてくれると嬉しいですね。(写真は2019年のもの)

タチツボスミレ

いわゆるいつものスミレです。山内で普通に見られ、平地でもたくさん見つかります。シロバナ種、オトメスミレなどの色彩変異やニオイタチツボスミレなどの似た姿のものがあり、スミレ類の同定の基本が学べる種類です。スミレ類は葉の形、花中央の緑色の部分の形、左右の花弁付け根の毛の有無、花がついている長い柄の毛などのポイントを見ることで見分けます。

アケボノスミレとナガバノアケボノスミレ?

スミレサイシンの仲間です。そのため花が先行し、葉が遅れて開きます。アケボノスミレはこの傾向が強いらしいのですが、高尾山においてはナガバノスミレサイシンとアケボノスミレの交雑が起きているようで、葉と同時に花が展開するナガバノアケボノスミレがあるという話をスミレに詳しい人から教えてもらいました。高尾山に来て見る価値の有るスミレだと個人的に思います。山頂から更に奥に進む杉林沿いの道にたくさん生えています。

コミヤマスミレ

遅咲きのスミレです。咲くのは4月下旬以降で5月下旬頃まで見られます。6号路の登り始め~2号路分岐付近でよく見られ、湿った環境が好きなようです。葉の形もかなり特殊なので時期さえ間違えなければ出会うのは簡単です。


ここで上げたのは高尾山で見る価値の高いと思うスミレの仲間です。春には非常に多くのスミレが生えており、足元に目を向けるとスミレ以外にも無数の花が目に入るはずです。足元の可愛い花たちを愛でてあげましょう。