蓼食う虫も好き好き

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4月の昆虫採集 カエデの花掬いでカミキリ類、赤や紫の花でアゲハチョウ探し。食物連鎖の観察にもバッチリ。

4月はカミキリとアゲハのいい時期


4月になるとハナカミキリという小型のカミキリムシが花に集まり始めます。この時期におすすめの花は紅葉でおなじみのカエデの仲間です。よく見ると先端部分に赤っぽい下向きの花が咲いています。

このように下を向いている花は花に掴まれる脚力の有る虫に花粉を運んでもらおうとしています。なのでカミキリを始めとする様々な甲虫が集まってくるのです。

カエデの仲間で4月の頭頃から5月頃までよく見られるのがトゲヒゲトラカミキリという小型カミキリです。カエデの花を掬うようにがさがさしてみると、非常に多くの昆虫が花に来ていることに気がつくはずです。4月上旬段階ではこのカミキリと、スギノアカネトラカミキリの2種だけでしたが、そこそこ発見できました。

意外と網に入るのがテントウムシの仲間です。テントウムシは花を食べに来ているのではなく、新しくて柔らかい枝にやってくるアブラムシの仲間を食べに来ています。

自然界においては植物を守ってくれる有名な益虫ですね。 まだ4月始まりですがハチの仲間やハムシの仲間などいろいろな昆虫が出始めていました。カエデの花救いはやはりおすすめです。

4月中旬以降はツツジの花が穴場


アゲハチョウの仲間は不思議なことに赤色に寄ってくる習性を持ちます。

本格的にアゲハが出始める4月中旬以降になると、同じく見頃を迎えたツツジの仲間によくやってきます。

アゲハの仲間は特に観察しやすいタイミングが2度あり、それが春のツツジ類が咲く時期と秋のヒガンバナの時期です。アゲハ類を捕まえてみたい場合はこのタイミングを抑えましょう。

春はまだ寒いことも多いので、探すタイミングは重要です。日の出ている日のほうが出現は圧倒的に多く、時間は午前中の柔らかい日差しの時間の方がよく目にする印象です。

写真のような赤系の花がそこそこの密度で咲いており、日が差し込むとこの時期には多くのアゲハチョウが来ています。

図鑑で眺めてその美しさに驚くカラスアゲハの仲間も山地側であれば比較的よく見つかります。この時期はどの種類も新成虫が出たばかりなので、見かける蝶は美しいものばかりです。 

なかでもカラスアゲハは季節によってその美しさが変わり、春型はうっとりしてしまうほど美しいです。

花で繰り広げられる食物連鎖


大型のアゲハから小型のハエまで様々な生き物が花を利用します。昆虫採集でアゲハを捕まえるなら赤系の花で待ち伏せするのが最も効率です。それと同じように、賢いものたちは最小限のエネルギーで獲物を効率的に捉えます。

ハナアブなどの小型昆虫が続々と集まってくる格好の餌場であるため、花に潜んで捕食するのです。
自然界に生きる昆虫は餌を確保するのも命がけですね。この手の蜘蛛は獲物に抱きつくため、前側の4本の足がカニの足のように非常に大きくなっています。このように蝶だけに夢中になっていると花で繰り広げられる命のやり取りには気がつけません。

虫たちはそれぞれの知恵で餌を確保しようと生きています。

遠くから観察することで見つけられる蝶の仲間、そして実際に網を使ったり、花に近づかないと見えない小さな昆虫たち。春は様々な場所で虫たちを見つける事ができるので、ぜひ近くの緑あふれる場所を探してみてください。