初夏に漂う変なにおいを放つ花
初夏ごろにかけて町中に山地に、街路樹に公園に、緑地や庭木などなど色々なところで変な青臭いにおいを感知することがあるはずです。

なんだこの異臭と勘づく人こそ多くとも、その香りの出所が何なのかは分からずもやもやする人は多いのではないでしょうか。
この青臭い特有のにおいがある付近に注目してみると、必ず近くに黄色いしっぽのようなお花をつけている木があるはずです。
その木こそこの臭いにおいを放つ物体の正体です。今回は5月6月ごろに香る不思議なにおいを放つ植物について知っていきましょう。
臭いのもとはお花!
まず結論ですが、漂う香りの正体はブナ科の植物のお花です。

多くの場合そのお花は黄色いススキのような姿をしたお花になっていますので、周辺にそうした黄色いお花が咲いていないかを確認してみましょう。
ブナ科といえばクワガタやカブトムシでおなじみのクヌギやコナラの名前がまず浮かぶかもしれません。
それとは別にどんぐりをつける木として、カシの木やシイノキというもの、それから食利用することでおなじみの栗のお花などもブナ科の仲間であり、これらのお花はおよそ5から6月ごろの初夏の時期にかけて花を咲かせ特有の青臭い香りを放つのです。

カシの木は庭木としてはもちろんのこと街路樹、視界をふさぐ木、公園の木としても非常によく使われるほか神社やお寺などにも古くから植えられていることが多いので大木が身近にあるのです。
シイノキは本来海岸沿いを形成する植物たちですが、公園を始め庭木などで植栽されていることも多いです。
そしてクリの木は都市部でも少し緑があるエリアなどでは栗林が小規模ながら残っていたり、庭木としてクリの木が植えられているなど手ごろな木としての需要があるほか意外と自然下にも生えています。

こうした複数の青臭いにおいを放つ木々が点在することで我々は各所で初夏ごろになると青臭いにおいを検知し、何だこの匂い?と初夏を感じ取るわけです。
この匂いで初夏を感じられる人はなかなかに自然好きといえるでしょうね。
これらの香りは街中の風が通り抜ける構造をうまくすり抜けて想像以上に遠くまで臭気を飛ばしています。
その匂いの感覚こそ今回注目したい虫により花粉を運搬する植物の虫をおびき寄せる戦略です。
香りの恐るべき集虫力
造語ですが、集虫力というのは花ごとの虫を引き寄せる力のようなものです。

クリのお花は虫媒花(ちゅうばいか)といって花にやってくる虫により花粉を運搬してもらうスタイルをとります。
そのため植物側はいかにして虫に花に来てもらうか?ということが重要となります。
この匂いを放つお花は実はとんでもない虫を引き寄せる力を持っており、しかもあらゆるジャンルの昆虫をおびき寄せます。

ジャンルで言えばコガネムシ、カミキリムシ、タマムシ、ハエ、蛾、蝶、カメムシにハナノミ、ハムシになんでもござれととても多くの虫が花にやってくる優れた昆虫観察スポットなんですね。
しかもかなりいい虫たちがやってくるのです。いい虫も虜にしてしまう自然界の昆虫トラップのようなものかと個人的には思っています。
独特な臭気を持つことからハエの仲間などがよく集まっているのが面白い点かなと個人的には思ったりしますが、ハエも重要な花粉の運搬者となるわけです。

花粉食いの多くの虫が訪れるスポットになっており、この青臭い花をガサガサとすればその場所の自然の多様性が何となく想像できてしまう程度には時期の虫をおびき寄せます。
初夏はウツギとクリを掬っておけば間違いなしと思わせるぐらい指折りの昆虫が見られる優秀なお花ですよ。雨の後とかだと網が臭くなりますけど。
でも臭い黄色いお花
高級キノコのキヌガサタケやラフレシアなどはその周期により虫をおびきよせるといわれています。

クリを始めとしたブナ科の一部のお花も同じように特有の臭気を持つことでハエ類を始めとした虫からの選択率を上げ、受粉の可能性を上げたのではないかということが考えられます。
しかしこの花の匂いは採集をしている人的にもツーンと来る塩素的なものがあります。

人によっては漂白剤だとか生臭いだとかイカ臭いだとか、青臭いだとか嗅覚により多少変化するようですが、ハエを始めとした昆虫類へのアプローチと考えるとどことなく嫌気性のようなツーンと来る香りがあるのには納得がいきますね。彼らは嫌気性的な香りを感じ取る能力に優れているように思いますからね。
ダーウィンの進化論的に言えば臭気が強い個体の方が生存に有利ということでその性質を伸ばしてきたものと考えられます。

成分には諸説ありますが近年の研究ではスペルミンではなく別の化学物質であるとされていますので、「ナニ」とは違う由来の成分であることが定説となっています。
道を通っていて香ってくる特有の青臭さを持つクリのお花は、人の嗅覚でも十分に探知できる強い臭気であることを考えると、自然界でいかに優れた誘引物質であるかが分かります。
私の地域でも中学生が誘引されて喜んでいるようです。
臭気を放つ代表的な種類を紹介
クリ
平野部では5月下旬ごろから6月ごろにかけて臭気を放ちます。

花は線形で白っぽく、木の高さも大きいものが多いため花の数が多く非常に遠くまで風に乗って香りが届きます。
葉はクヌギのように淵のギザギザが目立ち、花期には木の下に細長い堆積物ができます。
山地や緑豊かな場所では非常に、大変、多くの虫がやってくるため、虫好きのホットスポットとして機能します。

実には棘があるため、クリがあるかどうかはイガがあるかどうかを確認すればわかりやすいため、クリを見つけたい場合にはちくちくの実を探しましょう。
カシ
神社や緑地、公園を始め色々なところで目にすることがある臭気を花付きです。

4月下旬や5月上旬ごろに花をつける印象で、花付きには当たりはずれがある印象です。
クリよりも先駆けて咲く傾向が強く、GW頃になると特有のにおいを感じられるため、今年も初夏が来たなぁと感じさせてくれるお花です。
目につきにくいのですがやはり虫はよく来ており、昆虫採集に向くお花です。
樹液もよく出るため、花の後にはクワガタなどが狙えたりします。
シイ

公園などに植栽されていることがあり時折目にすることがありますが、植栽ゆえにたくさん植えている場所もあります。
開花期はGW程度から5月中旬ぐらいという印象で、やはり虫たちがよくやってきます。
シイの仲間は海岸林を形成する照葉樹林のメンバーであり、自然下での分布は沿岸部に集中しています。
関東圏ではあまりたくさん目にすることはありませんが、昆虫観察にはお勧めできる木といえます。
どんぐりが美味しいことで知られており、そのまま炒って食べられるぐらい灰汁がありません。
初夏には虫、夏にもクワガタなどの虫、秋にはどんぐりと何かと楽しめるいい植物です。
臭いお花で昆虫採集
特有の臭気を放つこれらのお花で昆虫採集をする場合にはスウィーピングという採集方法がとても有効です。

他の枝をなるべく揺らさずに網をすっぽりと花にかぶせ、ガサガサとゆすってあげれば実に多くの昆虫が入ります。
天気はなるべく晴れの日を採用し、木々は背丈も高い場合が多いため、長竿網とウルトラフレームの組み合わせが鉄板ですね。
見られる虫の内代表的なものの名を上げればやはり自然の豊かな場所ではミドリシジミの仲間が挙げられます。

一年に初夏だけ現れ、クリの花の開花と時期が重なるため、非常に美しいシジミチョウの仲間たちが花を訪れています。
アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、オオミドリシジミ、ウラナミアカシジミ、ミドリシジミと平野部でも数多くのマニアも喜ぶいい虫がやってきます。

あとはあなたの採集する地域次第ですね。地域のポテンシャルを引き出してくれる総合力を示す木として、臭気を放つ木々は役に立ちます。
ぜひ虫も探してみましょう。
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花での採集には長竿網が必須ですね。
昆虫採集シリーズ
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人気のゼフィルス。美麗種が多いファンがたくさんいるチョウの仲間です。
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緑に輝くアオカミキリもやってきます。
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ジョウカイボンやカミキリモドキなどカミキリっぽい虫も多いですね。
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アゲハチョウ編ですが探しやすい植物を紹介します。