貴重な蛾の図鑑を求めるなら
蛾類はその模様の美しさや種の多様性、種数の多さに身近なものから貴重なものなどの面白さから近年人気が高いカテゴリーであるように思います。

一方で蛾の仲間は種数が多く、そのガの仲間が何の仲間なのか?どんな種類がいていつ捕まえたらいいのか?食草は何なのか?この模様は何の種類なのか?
というようにそのガについての理解を深めたり、探したい種類を見つけたり、興味のあるジャンルを見つけたりするのに苦労します。
そこでほしいのが図鑑というわけなのですが、蛾類のいい図鑑は現在絶版の蛾類標準図鑑というもので、現在うん万円の価格がするとても揃えられないものになります。
蛾類を調べようと図鑑を得るならば敷居がとても高い状況になっていました。
そんな中で現在、多くの蛾類を調べることができるのが日本の蛾という図鑑になります。
この図鑑に興味がある人に向けてこの図鑑の利点と欠点どんな人にお勧めなのかを紹介します。
日本の蛾
日本の蛾という図鑑は価格がおよそ税込み1万円。B5判のそこそこ大型の蛾の図鑑です。

掲載種数はおよそ3000種、プレートに乗っている写真は展翅の写真ということで生態写真などはなく、解説もほとんどありませんが、蛾類を包括的に見ていくうえでは非常に優れた図鑑といえます。
同じような図鑑で小さな蛾をまとめた日本の小蛾類という図鑑と合わせることで日本産の蛾類の大部分を見ることができます。
(むし社で現物を見てきましたが、さらにニッチ過ぎるかなと)この図鑑はいわゆるむし社の大図鑑とは異なり、説明は最低限で基本的には雌雄に差がない限り1種1標本という形で掲載されています。

使用用途としては作成した標本に照らし合わせて類似種を含めて数種類まで絞り込むことや、分類ごとに掲載種がまとまっているのでキシタバの仲間で捕まえたい種類を絞り出す、アオシャクの仲間で探したい種類を探すというような図鑑的な使い方から捕まえて標本にした蛾の名前を調べる(類似種で特定できないものもあると思われる)

ものと後は単純に蛾類って面白いなぁと寝る前に眺めて蛾への興味関心を深めるものとしても私は使っています。
世界のカトカラ、日本のキリガ、日本のフユシャク(絶版)日本のヤママユのように特定ジャンルへの知見を深めるというものやプレートで知れるというものではありませんが、包括的に蛾類を知れるという意味では唯一無二といってもいい図鑑といえるかなと思います。
蛾に興味がある人で、ジャンル問わず興味がある人にはまずお勧めできる図鑑といえますね。
日本の蛾の優れる点
なんといっても掲載種数でしょう。

ミクロレピ(小蛾類)を除けば100円玉以上程度の大型種についての多くが掲載されている図鑑となります。
出版社が学研ということで、掲載のイメージとしては学研の図鑑がまんま近いですね。

分類ごとに掲載されていますので同じ分類群の仲間を見比べていくのにはとても優れています。
本図鑑は携帯版と銘打っていますが持ち運びには適さないサイズ感です。

現場で種名を調べるという使い方ではなく自宅で採取個体や標本作成個体の種名を特定することや見て楽しみ蛾類の多様性を味わうという使い方が主になります。
網羅性には特に優れていますので比べてわかる図鑑などと比べても抜けがないのが素晴らしいです。

その点を活用してこんな種捕まえたいなぁとか目標の設定にも使えますね。
とりあえずミクロレピを除いてこの図鑑に大型種の答えが載っている可能性が高いのでよく見比べましょう。
蛾類の奥深さと美しさが知れる
この図鑑の網羅性と分類群ごとの記載により、読んでいくことで身近な蛾類には代表的な種類(ヤママユのオオミズアオ、カトカラのキシタバのような)から知らないけれどもこんなに美しい種類がいるんだと新しい発見ばかりが楽しめます。

身近なエダシャク、どこかで見たことのあるあの蛾、間違いなく遭遇したことのない蛾たち。
形状は似ているけれどもこんな模様は見たことがない蛾の世界の奥深さを知ることができるのは、この図鑑の圧倒的な掲載種のなせる業かなと思います。

例えばヨトウは農業害虫の代表種ですが、ヨトウの仲間も図鑑で見てみるとかなり美しい種類から見慣れたものまでいることが分かります。
スズメガといえばコスズメやセスジスズメに代表されるように身近なものもいる大型蛾ですが、サイズ感の違いや模様の違いなども比べてわかりやすくなっています。
蛾類を網羅的にやっていきたいと考える方や鱗翅目を中心にやりたいという方は、現在これ以外に図鑑の選択肢が極めて少ない状況となっています。

日本の蛾もまた絶版になる可能性が高いと思いますので、蛾類に興味がある方で標準図鑑を持っていないという方は所持しておけばとりあえず蛾類の大型種については安泰といえるのが大きいですね。
種の説明はほとんど最低限という感じですが、ひたすら蛾類の標本写真が綺麗に続くので文字などの邪魔もなく没入感が高いといえます。
まとめると値段に対して掲載種数も大きく、分類群ごとに掲載されているために違いも分かりやすい。

加えて大型種はほとんどが載っていますので網羅的に知識をつけたり照合していくのに便利な図鑑という感じです。
プレートも大変美しく、名前を覚えずともこんなきれいな蛾たちがいるんだなぁと眺めているだけでもなかなかに楽しめるいい図鑑といえます。
標準図鑑を持っておらず今後蛾に手を付ける可能性があるならば絶版を避けるためにとりあえず持っておいてよい一冊といえるかなと思います。
日本の蛾の欠点
蛾類を包括的に学べる図鑑として非常に優れたものであるものの、欠点も目立ちます。

典型的なもので言うならば展翅状態の標本がプレートに並んでいる点でしょう。
カミキリムシやタマムシ、甲虫類のように標本と生態に大きな差がないものならば標本写真でも問題ありませんが、蛾類というのは通常翅を閉じて止まっていることが多い生き物です。

そのため、止まっている状態の写真などから種類を特定するには前翅だけでは難しい場合もあります。
かといって後翅を生態写真で取れるかといわれると難しいですよね。
つまりこの図鑑は生態写真を撮っている人が使うと思ったよりも種が分かりにくいという欠点があります。

しかし標本に生態の姿が載るとそれはそれで値段が跳ね上がるということで、1万円の価格ではそれ以上を求めるものではないように思います。が、蛾類が気になる人の中には必ずしも標本にする人ばかりではないと思うので生態の姿も欲しいなぁというのは正直なところです。
現状は捕まえて標本を作製して、その際に種を特定するために使える図鑑という感じですね。
この図鑑を読んでいて感じる点ですが、図鑑で種名を調べて開翅の姿を理解しても屋外で遭遇した時には多くの種類においては種名は分からないと思います。

特徴的な大型種、カレハガ、ヤママユ、スズメガ、キシタバ、トモエガなどなどのでかいものを除いて中型種のレベルからはまあ難しいといえるでしょう。
採集者向きの図鑑であり、撮影者向きの図鑑ではないというのが一つの結論かなと思います。

標準図鑑のいいところをまとめたようで、欲しい要点は足りていない。しかしほかの選択肢がないためにこれをチョイスせざるを得ない。というと聞こえはかなり悪いかもしれませんが、蛾類に興味があるすべての人に勧められるかというと何とも言えないところですね。

一方で採集をして標本を作製するならばこの本が持つ欠点を無視できますので、蛾類を採集していきたいと考えている人や単純に蛾類に興味がある人には自信を持ってお勧めできます。
あなたが撮影をするのか、採集をするのかでこの図鑑の価値は大きく変わるかなと思いますのでその点はよく考えましょう。
ここまでの種数がいるのか問題
さてこの図鑑に興味がある人に向けて言う必要があるのかは置いておいて、この図鑑では種数が多いもののそこまでやる必要があるのか?というぐらいの掲載種がいます。

正直なところ一般的な虫好きのレベルは超えており、蛾類をやっていきたいです。鱗翅をしばらく数年は楽しみたいです。というような人以外は比べてわかるの方が価格も安くとっつきやすいかもしれません。

それほどまでにこの日本の蛾という図鑑は蛾類を採集する人や蛾類に興味がある人向きに作られており、一般向きではないように思います。
図鑑自体は蛾に興味があるすべての人にとなっていますが、この図鑑は明らかに蛾類に興味がある昆虫好き(標本までやる人)の内容となっています。
価格は安くありませんが、蛾類に興味があり力を入れていきたい人にとっては強力な図鑑となっていますので、私のようにライトトラップを購入し蛾類の魅力にはまってしまった人のような方には強くお勧めできます。

そうでない方は蛾類はライトトラップも必要となりますので、選択肢を増やすという意味でもライトトラップを先にそろえることをお勧めします。
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ライトトラップが面白くて蛾類もいいかもと思えばまたこの図鑑の購入を検討してみるといいかと思いますよ。
懸念点としてはこうした本は絶版になりやすいということですね。いずれ売り切れると思いますので、興味が湧く可能性があり、標本をやっているならば先を見越して購入しておくのもよいかなと思います。
蛾に興味があれば毎日寝る前に見るくらいには飽きずに楽しめる図鑑です。
蛾関連シリーズ
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図鑑よりもまずライトトラップを用意するのがおすすめです。どのみち蛾をやるならライトは必要ですからね。
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今年導入したライトトラップを楽しむ記事です。
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展翅については道具や作成方法の記事があります。
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時には網が必要になることもあるかなと思います。

