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トラフシジミ春型の採集記。ふとした時に出会えるが探すと見つからない蝶の採集。

トラフシジミといういい虫

春は水面下でしっかりと進んでおり、生き物たちは季節の変化を敏感に読み取って出現し始めています。

春型のトラフシジミは特別感のある人気のチョウ

身近な蝶と言えばヤマトシジミやモンキチョウというようなものが春には出てきます。

一方でチョウの中には出現期が通年あるものと僅かな期間だけ現れるものがおり、知らなければ出会えないというものも多くいます。

春でいえばコツバメやスギタニルリシジミ、ミヤマセセリなどが代表的です。

今回のテーマであるトラフシジミは春から夏の終わりごろまで見られる蝶ではあるのですが、とある事情で春にしか見られないものなどがいます。

そういった意味で、通年見られるとはいえトラフシジミも春の訪れを感じさせてくれる対象なのです。

出会うのが難しいトラフシジミを探してきました。

トラフシジミとは?

トラフシジミはシジミチョウ科ミドリシジミ亜科、トラフシジミ属のチョウの一種です。

昨年遭遇したトラフシジミ。ふとした時に出会えるという感じ。

ミドリシジミ亜科ですが、トラフシジミはゼフィルスでありません。

ミドリシジミ亜科、ミドリシジミ族のゼフィルスとトラフシジミ属のトラフシジミという風に分かれており、有名な話としては翅脈の形状の違いなどが判別点としては挙げられます。

トラフシジミはおよそ3月頃から8月頃まで見られるシジミチョウの仲間ですが、いわゆるヤマトシジミなどと比べると一回り大きく、翅のお尻側に尾状突起というトゲを持ちます。

トラフシジミの表側には感動するほどキレイな青い光沢がある。

翅の表側には群青色に近いような金属光沢が翅一面に見られ、その美しさは蝶の中でも数本の指に入れることができる程目を奪われるものがあります。

翅の裏にはトラの由来である線形の模様が入っており、この模様が季節により変化するという面白い特徴があります。

春型には白い模様があり、夏型には影のような模様があります。

春型にある白い模様。同時期に見られるチョウには同様の模様は一切ない

特に春型の模様は非常に秀逸であり、同時期に似たような形質を持つ蝶がいないことからも翅の裏にある白線を見てトラフだと確信する瞬間は心臓が跳ね上がる記憶に残る体験となること間違いなしです。

一方でトラフシジミについては虫好きにとっては特別な存在でも虫に興味がある程度の方々の中ではあまり知名度はありません。

それこそこの虫の分布が広く薄いものであること、そして個体数がどこにでもいる可能性はあるもののどこにでも多くは無いことにあります。

トラフシジミの採集記

トラフシジミの春型は表も裏も非常に美しい種類であることから毎年挑んでいます。ところが見つけられる年もあれば出会えない年もあります。

キブシを始めガマズミ科の花、ツツジ科、バラ科などで目にする

トラフシジミは自然のある場所では広く生息しているのですが、逆に言うと生息域を絞ることが難しく偶発的な遭遇になる可能性がとても高いチョウなんですね。

美しいから出会いたいし写真もたくさん撮りたい。季節が限られているから何とか出会いたいと思いつつもなかなか出会えないジレンマを抱える対象となります。

だからこそどこか癖になるのがトラフシジミの採集です。その分出会えた時の嬉しさも大きいです。

毎年3月の中旬ぐらいとなるとコツバメやスギタニルリシジミなどの出現に合わせてトラフシジミの出現情報がSNSで上がり始めます。

同時期に現れるチョウたち。トラフはこれらのついでに探すといい。

今年も都内では中旬ごろに確認されたようで、生き物仲間の一人がフキに止まるトラフシジミを撮影したと教えてくれました。

トラフシジミは神奈川では3月下旬頃になると早いと見つけられているのですが、再現性は不安定な状況です。

春型の美しい光沢と模様を探しに行ってきました。

トラフシジミの春型を探すうえでは個人的に意識している点がいくつかあります。

過去の発見例でいうと葉などの上で縄張りなのか待機していること、キブシやツツジ類などに吸蜜に来ていること、水辺に吸水に来ていることなどなどです。

花に来るか、葉などの上にいるか、林道沿いなどに不意に出てくるかなど

この内春であればやはり吸蜜に来ている個体に遭遇することが多いです。

なのでトラフシジミを花で探していくという風にしたいのですが、この蝶は非常に散発的な分布をしており、アオカミキリの様に食草がどこにでもあるもののどこにでも見つかるわけではないという不思議な生き物です。

すなわちトラフをメインターゲットにするのではなく、トラフの記録があるエリアにて他のチョウや昆虫を探しつつ副産物的に探していくのがおすすめです。

トラフ夏型。道路上に不意に舞い降りた個体。翅がボロボロであるがこれは生存戦略で生き延びたもの。

トラフ一本でやるとかなり苦労するばかりか、シーズン中に出会えないという可能性もあります。

スギタニルリシジミの記事と同じタイミングで実はトラフシジミを探していました。
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トラフシジミ探しは待ち伏せか動き回る

開花しているお花が限られる3月時点でのトラフの採集においては、記録のあるエリアにて咲いている日当たりのいい花で待ち伏せをするか、エリアにある花々を見て回るのが個人的なルーティンとなっています。

ヒナルリハナカミキリのような花に来る昆虫などを観察しつつ気晴らし

トラフシジミは吸水なのか不明ですが、ふらりと林道などに出てきたりして遭遇した例もありますし、食事中の個体は花に張り付いている傾向も見られますので、個人的にはエリアの花を見て回るのがおすすめですね。疲れたら花で待機します。


この地では実は昨年トラフシジミの春型を見つけており、こんなところにトラフがいるんだぁという感想を得たところなのですが、花が多く特にトラフが春に好むというキブシが多いのがいいポイントですね。

スギタニなどは来るのだがトラフはキブシでみたことがない。

キブシではスギタニやルリ、テング等こそ見てもトラフは見たことがありません。葉上や道路の上で夏型を見たり、花に春型を見たりと見た個体数はぼちぼちあることから期待している場所です。

しかし2024年以前では来訪回数の問題もありますが全く見たことがありませんでした。

自分自身のチョウへの興味と探す意欲、トラフへの執着加減の変化などが要因としては上げられそうですが、見る目が変わることで身近な場所でもトラフを見つけられるチャンスがあるという事かなと思います。

道沿いで目にすることがぼちぼちある

トラフシジミの採集においては花類はもちろん日向ぼっこに道を横切る個体にまで目を向けていかないといけませんので意外と大変です。

裏高尾で遭遇した時は何のことなしに目の前の道に現れて近づいたら消えてしまいました。

トラフの出現はまさに神出鬼没。アオタマムシの採集やまだ見ぬオオトラの採集に近い感覚があるのではないかなと思います。

個人的な時間帯に関して言うとトラフの発見は正午前後が多いように感じます。

通所は何来る虫は午前の早い時間によく活動するが、この時期の虫は午前遅めぐらいがよいかなと。

春なのでその日の温度条件にもかなり左右される可能性が高いですが、午前中の早い時間は寒くて活性が低く、日が上がって気温も上がってくる時間となるお昼過ぎぐらいが春型には良いのかなという感覚ですね。

実際、スギタニやミヤマセセリ、ルリシジミにテングチョウやルリタテハなども午前中早い時間よりも午前遅めから正午位にかけて活発に飛んでいるような気がしますね。
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(今年の春の虫たちもほとんど正午ぐらい)
こうした他のチョウの活性具合を見てトラフの気持ちになってこれぐらいの温度なら花に来るんじゃないかなぁと想像します。

が、簡単にはいかないです。

トラフシジミのむかつくポイントは山地に行ったからと言って別に捕まえやすいわけでもないところですね。

絶対数でいえば山地の方がずっと多いとは思うのですが、やはり餌場が豊富であるのかそれとも花の開花や種類などに嗜好性があるのか複数匹で見られることなどなかなかに無い個体密度です。


探す虫ではなく偶然出会う虫という認識です。

道端に落ちているコツバメのような光沢の死骸...しかしコツバメではないような

そんなこんなでスギタニやミヤマセセリには出会え、予定通りトラフは外れという中で歩いていると、道の上に何やら青い光沢が落ちているではありませんか。

ここ最近コツバメの青を見ていたのでコツバメ踏まれちゃったのか~可哀そうになんて思っていると、コツバメにしては翅の青の面積が広いような...コツバメはもう少し暗い色が入るよな...

青色の光沢が広く、尾状突起がある。コツバメの特徴ではない。

そこで尾状突起が目に入りピンときました。これはトラフシジミです!まさかの探し求めた対象が死骸で見つかってしまうとは...個体数も少ないのにどうして踏まれたんだと一応写真を取ろうとします。

すると歩いているんですよね。

飛ぶ気配がないが、死んでいるわけでもない

不思議に思い手に引っ掛けてみると、羽化不全か何かで前翅の基部を負傷していたトラフシジミの新成虫でした。

不全ではありますが、トラフシジミという虫の魅力を再確認するにはいい対象だと思い、一期一会の出会いに感謝しつつ撮影させてもらいます。

坊主かと思っていたので嬉しい出会いでしたね。

縁に模様などもないめいいっぱいの青。これがいい。

さて、トラフと言えばこの表面にめいいっぱい広がる群青色の金属光沢です。これは見事としか言いようがありません。

トラフシジミは通常のシジミチョウよりは大型の蝶なのですが、表面の光沢面がこの色一色なので間近で見るとサイズ以上の迫力があります。

同時期のコツバメのサイズと比較しても単純な青の面積が広いのでそれだけでトラフと分かるほどです。

春型に見られる特有の模様。ミドリシジミのよう。

そして春型に見られる裏面のストライプ。これは春のサクラと並んで見なければならないマストな模様です。これを見ながら団子を食べたいぐらい素晴らしく、1年ぶりの模様を堪能しておきます。こんな美しい特徴的な模様が春型でしかくっきりしないなんてもったいないです。

夏型では白模様の部分がムラサキシジミのような目立たない模様へと変化し、とことなく銅色っぽくなります。

分かりにくいですが夏型(左)と春型

やっぱりトラフは可愛いですね。光沢に模様、突起などなど初夏が近づくと似たような形質を持つゼフィルスのような蝶が出てきますが春においてはオンリーワンの形質です。

多くの方が珍しくはないけれどもいたら撮影してしまう気持ちがよく分かります。トラフの春型とはそれぐらい出会えた時の嬉しさがあるんです。

今回の個体は飛べずに死ぬだけなので標本用に持ち帰り

今回の個体は羽化不全のものでしたが、今シーズンはもう少し意識をして自然下にいる姿を取れたらいいなと思いますね。

出会うのは非常に大変なのですが、東京神奈川のような都市化が進む場所でも緑がある場所であれば遭遇できるチャンスがあります。

ぜひ実物を見てほしい一種

春型は5月ぐらいまで見られ、出現期間自体も長いチョウではありますので、蝶がお好きな方やまだこの蝶を捕まえたことが無い方はぜひ探してみてその美しい模様と光沢に魅了されて欲しいですね。
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採集用に長竿網を作っておきたいですね。

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