真冬の壁に蛾の姿
昆虫が出現するのは春から秋ごろである場合がとても多いものです。

気温が高く餌資源となる植物類が豊富なため、多くの昆虫は上記の時期に出現します。
一方で真冬の時期には虫が全くいないかといわれるとそうでもなく、むしろ虫の仲間の中には真冬にしかいないというものさえいたりします。
その仲間の代表種がフユシャクやキリガという蛾の仲間です。彼らはなんと晩秋から初春までの期間にしか観察できないのです。
つまり真冬で最高気温がマイナスになるような時期に夏と同様に壁に張り付いたり外灯に来たりします。
そんな知らないと探せないような蛾の仲間について今回は紹介します。
フユシャクとは?
フユシャクはシャクガ科の昆虫の一種です。

成虫の出現時期は12~3月ごろのものが多く、色合いは冬の風景や壁などに溶け込むために灰色などをベースにした大変地味な色合いをしています。
多くの種類において体長はそんなに大きくはなく、フユナミシャクの仲間などでは開翅長が4㎝ぐらいのものもいますが翅を大きく開かないタイプのものでは1㎝弱程度のものもいます。
成虫には口がないため寿命は短くなっています。

加えてオスには翅があるのですがメスにおいては翅が退化していて完全にないものや部分的にあるものなど形態的な違いが種類ごとに楽しめます。
基本的に夜行性であり、日中は樹皮や落ち葉の上などに停止していることが多く見つけるのはなかなかに大変であったりします。
むし社の図鑑があるためマニアには人気が高い蛾の仲間です。渋いシックな良さがあると思いますね。
キリガとは?
キリガは冬夜蛾という漢字を当てる複数の種群にまたがり冬季の夜間に目にすることができる蛾の仲間の総称です。

主にヤガの仲間を中心に晩秋から春の初めぐらいまで活動しており、晩秋、冬季、冬の後半あたりを目安に3回ほどの出現の目安があります。
フユシャクと比べると色味が派手なものや模様がはっきりしたものも多く、より手を付けやすいと感じます。
フユシャクと異なり口を持つため、外灯やライトではなくジュースや黒糖などを配合した糖蜜採集という採集方法で集める場合が多く、冬のガといっても色々な合採集方法があることが分かりますね。
また、アケビコノハやフクラスズメのように美麗な大型種がいることもうれしい点で派手さがあります。
真冬に虫好きに愛される蛾たち
冬場に家やマンションの壁などに蛾がいてびっくりしませんでしたか?

蛾は暖かい時期にいるものだからこんな時期に言うなんて季節を間違えちゃったのかな?と疑問が湧いてくるかもしれません。
しかしながら彼らはこの時期にいざ本番と出てきている蛾なのです。この時期に見つかる蛾は夜間を除くとほとんど動きませんが、基本的にはフェロモンを感知して移動してきたり明かりに誘引されてきています。
虫を知らない人からするとこれらのガは変哲もないものに思われるかもしれませんが、虫好きの仲間にはとても愛されている昆虫であり、フユシャクやキリガを知っているとちょっと通な感じが味わえます。

フユシャクは地味ながらも形態の違いや模様の違いが楽しく、派手さがないためにいぶし銀な良さがあります。
屋外で見つけるそれらは非常にそれはそれは地味ではあるのですが、冬というわびしい時期に非常にマッチした見た目をしておりかつ種別の違いが見られるものが多いんですね。
また、似たものも多いために判別には交尾シーンを見たりする必要があるなどフユシャク採集でないと楽しめないような視点があるのもいいです。
キリガは冬季を支える大黒柱のようなポジションになっているように感じます。

種数の多さ、色合いの豊富さ、時期の違いなどにより虫探しができない時期を支えてくれています。
むし社からキリガの図鑑が再版されたことでなおさら探す種類が分かりやすくなり、出会う虫屋の中には彼らを探している人も増えたように思います。
冬季に見つかる蛾はこのようにフユシャクかキリガの仲間に大きく分けられますのでフォルムなどを覚えて判別してみましょう。
フユシャクやキリガの毒性は?
蛾といえば気になるのが毒性ですよね。

結論から述べれば冬季に見つかる蛾の成虫には毒はありません。
いずれも安心して触ったりすることはできますので興味があったら突いたりしてみましょう。かわいいですよ。
蛾を始めとした鱗翅目の仲間の鱗粉にはアレルギーを持つ人などがいますのでそうした方は一応気を付けておきましょう。
フユシャクのメスには翅がない
フユシャクの形態について少し見ていきましょう。

お庭やマンションの壁などで見つかることはあまりないのですが散歩中などにこのフユシャクのメスが見つかることはあるかと思います。
フユシャクのメスは翅が完全に退化もしくは部分的に退化していますので飛ぶことができません。
身近な虫で言うとヤゴのような姿をしているのが特徴的で、知らない方はこれががのメスであると判別することは難しいでしょう。
冬場の代表的な地衣類擬態のイチモジフユナミシャクです。

翅が比較的残って言う方のフユシャクです。
彼らは樹皮や手すり、人工物上などに上ってくることが多く、そこで夜になるとフェロモンを出してオスを誘引します。
口を持たず寿命が短いため、フェロモンの誘因性は非常に強く一部の採集においてはメスを用いて誘引するという手法があったりもします。
非常にかわいらしい姿をしていますのでぬいぐるみなどかわいいものが好きな人にはとてもおすすめできる昆虫ですよ。
キリガには大きく分けて3タイプがいる
キリガの仲間には主に晩秋から初冬、真冬、晩冬から春に出現する3つのタイプがあります。

季節の遷移を体感できるのもキリガの良いところです。
晩秋のケンモンミドリキリガは壁などにもよく来る緑色のいい蛾です。これを見ると冬かぁとしみじみしますね。
真冬にはニトベエダシャクやキマエキリガなど色味に特徴のある種類やヨトウ系の緑色のいい種類などが見つかります。

フォルムに厚みがあるものが多いため、独特の見た目をしているのがかわいらしいですね。
春キリガについては手を付けていないのでまた手を付けたら更新したいですね。
真冬のガの探し方
フユシャクやキリガの仲間を探したいならば寒い時期に探す必要があります。

実のところすべての種類が冬季の間中にずっと見つかるわけではないため探したい種類から逆算するのが有効なのですが専門の図鑑は高いため蛾に遭遇することを目的に紹介していこうと思います。
フユシャクについてはクヌギやコナラなどの雑木林を日中に歩いて飛んでいる個体や手すりなどに乗っている個体を探していくのが非常に有効です。
キリガについては外灯や明かりなどを中心に探すことと糖蜜といってスプレーでおいしい汁を散布して待つことが有効です。

また、フユシャクは夜間に結構飛んでいることも多いため夜の雑木林を散策してみるのもいい手段ですね。
真冬のガは雑木林や森が近くにあると意外と見つかります。見つけた時にはびっくりするかもしれませんが、毒性などもなく面白い生態を持つものや美しい模様であることも多いので嫌わずに一度注目してみてください。
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採集をするならば長竿網が欲しいですね。
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撮影には安定のTGがベストです。
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ヒメヤママユやウスタビガなど大型の種類もいます。ただ12月頭ぐらいまでなので短いです。
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緑色のケンモンミドリキリガは人気のキリガです。
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壁にとまっている蛾の考察です。