リスの珍しさとは
ニホンリスは自然の中で活動している人の中でもたくさん遭遇することはなかなかない生き物ですよね。

ましてやニホンリスって何?うちの市街地にいるリス?シマリスなら飼っているよ。とひとえにリスと言ってもニホンリスの馴染みのなさからピンとこない方もいるのではないでしょうか。
自然下では非常に珍しいリスですが、果たして本当に珍しいのでしょうか?珍しさといえば絶滅危惧種なのでしょうか?
実際に今期だいぶ力を入れて探してみたので実体験から紹介します。
ニホンリスとは
ニホンリスは九州を除く日本の広い地域に分布しているげっ歯類の仲間です。

大きさはハト位の大きさでしっぽを含めると30㎝前後程度の大きさがあります。
ニホンリスは夜行性のムササビやネズミ類と異なり昼間に行動する性質があり、主に樹上を生活圏としています。
リス自体は非常に活発に行動していますが、生息環境がうっそうとした場所であるためその姿を見つけにくいという特徴があります。

ニホンリスは主にオニグルミを始めとしたクルミ類が大好きであり、その出現はクルミの木を中心としたものである可能性が考えられます。
年間の内餌資源が少ない春から初夏を除きほぼ通年にわたりクルミ類を利用するともいわれており、その依存度は専門食の昆虫程ではありませんがかなり偏っているようです。
ニホンリスには季節に応じた毛の変化なども見られます。暖かい時期の夏毛では毛が少なく耳も短い雰囲気を、冬毛では耳も長く毛がモコモコした雰囲気になります。
ニホンリスは珍しいの?
まず結論としてニホンリスは珍しいです。

この生き物に出会うのはかなり苦労しますし、実際に生き物仲間たちに聞いてもニホンリスとの遭遇機会というのは多くはありません。
特に写真を取ることは非常に難しく、自然下においてはリスがいたことに気が付いても「あ、リス」と思ったときにはサッと逃げられてしまうため、どこどこでリスを見たという話こそ上がってもリスの写真が取れたという話はなかなか聞きません。
リスの珍しさを語るうえではその警戒心の高さが欠かせません。
警戒心がとても高い
自然界に生息しているリスにはたくさんの天敵がいると思われます。

まず猛禽類。
トンビをはじめ肉食系のタカ類やハヤブサなどはリスの天敵です。
リスの生活圏で観察をしていて、トンビが飛んでくるとリスは姿を消してしまうほどです。
また、リスが嗅覚や視覚に優れているというのはあまり目にしないように思いますが実際には警戒の目をかなり向けていることが分かります。

観察圏でリスを見つける時にはリスが遠目からこちらのカメラを見ていることが度々撮影出来ています。
また、リスとの遭遇において集めている情報をもとに考えるとリスと最も接近できるタイミングはその日の内の1回目の遭遇である場合が今のところほとんどです。

この際リスは警戒の鳴き声と言われるスン↑スン↑というような声を出していることからも恐らく人に対してかなりの警戒心を持っていると考えられます。
つまりリスは人のことを当然のごとく警戒しているために自然界で遭遇してもその瞬間に逃げてしまうんですね。そのため、たまたま遭遇出来る事すらもかなり珍しいと言えます。

リスとの遭遇率自然で活動していてもかなり低い
実体験を例にすると自然の中ではもう10年以上活動していますが、初めて野生のリスを見かけたのが今年の10月です。
森は私のメインの生活圏ではありませんが、度々足を運んでいますし高尾山などにはよく行きます。
それでも見たことがない程度にはリスとの遭遇機会はありません。
リスは警戒心が高いという話をしましたが、リス側も移動に関しては非常に静かです。

リスは基本的に樹上で生活をしています。木にしがみつきながら枝を器用に移りわたっていくのですが、この際に大きな音は出ません。
リスは樹上の枝でさえ跳ねるように軽やかに移動します。しかし音ではなかなかに気が付けないのです。
こうした警戒心やそもそもの生活圏への視野の向け方、リス自体の隠密性などを含めてリスに遭遇することが難しいのでリスは珍しいのです。
リスは絶滅危惧種?
そんな珍しさを持つリスです。

珍しい生き物といえばその代表格がレッドデータ。いわゆる絶滅危惧湯という指標です。
ニホンリスは九州ではすでに絶滅しているとされています。また、これと併せて本州西部の山口県や岡山県、広島県では絶滅危惧1類にカテゴライズされています。
ただしこれ以外には千葉県の絶滅危惧Ⅱ類を除けば全国的に見ても準絶滅危惧種や要注目種どまりで何の指定もない県が多数あります。
珍しさの割には随分と絶滅危惧のランクにおける緊急性は無いように思います。

こうした背景は不明ですが、ニホンリスは♂で20ha程度、♀では10ha程度。地域によっては数ha程度の規模でも生息できることが明らかとなっており、森林面積への依存性が思いのほか高くないことが関係しているのかなと勝手に考えています。
リスの生息においてはクルミを含む落葉樹林や面積当たりのクルミの本数が関わっている可能性があり、小規模な場所においてもリスは生息している可能性があります。

また、リスがどれぐらい生息しているか明らかでないという背景もあるのではないのかなと思います。
すばしっこく動き回るリスの個体数を把握するのはとても骨が折れますので、リスが実際にどれくらいいるのか分からないなんてことも考えられそうです。
一方で広い森林面積があり、昔からの森であるならばリスは我々が気が付かないだけで意外と生息しているというのも一つ考えられます。

例えば私は今期リスを随分追いかけていますが今自分が観察している場所にリスがこんなにいるとは思いませんでした。
リスについては自然下で極まれに遭遇できるラッキーな存在と認識している方が殆どであると思います。
実際どうなのかは分かりませんがリスが珍しいと思う人は生物界隈においてもとても多いはずです。

野生のニホンリスが安定して見られる場所は長野茅野運動公園ただ一つという文字も見かける程野生のリスと遭遇することは難しい訳です。
一方でニホンリスは自然下ではマツ林やクルミの落葉樹林に多いことが分かっています。私の遭遇例や観察を例とするとクルミ周りで100%と言えてしまいます。(現在遭遇は30例ぐらい)

リスのクルミ利用はよく知られている事実であり、特に秋以降は集中的にクルミを利用する生態なども明らかとなっています。
つまりリスは私の仮説としては森の中に広く薄く分布していますがその中でも依存している樹木がありその樹木を中心に生活圏を形成しているではないかなと考えています。

クルミやマツなどを集中的に利用する都合上営巣場所もそうした食物が利用できる場所になるはずです。
つまりリスがいるかどうかも餌資源となるものがあるかどうかによると考えられますよね。
逆に言えば食料となるそれらの木が無ければリスの出現可能性は低くなるのではないかなと思っています。
クルミやマツがそれなりにあるのか、もしくはそれらの大木がドカンとあるかどうか、局所的に集中しているかどうかが重要に思います。

難しいのはリスの珍しさで述べたようにリスにはリス特有の警戒心や人間側が樹上にいるリスを探すように見ていないとそもそも視点が合致しないことにあります。

リスと出会うためにはリスの生態についてすなわち主に食性やよく現れる植生、時間帯などの基礎的な情報だけでは足りず、あくまでそれらは最低限必要な知識としてここに加えてリスが樹上でどのような行動をしているのか?警戒心の高いリスが出てくれるまで待つなどのリスに合わせた行動を取っていく必要があると思います。
ここまで来てさらにリスがそこにいるかどうか、その時間にいるかどうかは運が絡むため、リスに遭遇するのは大変非常に難しく珍しいように映るのでしょう。これは観察していると痛感します。

実際私は観察地でリスを運よく見つけ、複数地点でオニグルミがあることから関連を結び付けて基礎的な部分の情報を知りました。
これに加えたまたま出会えた個体の観察の機会に恵まれたことからリスの樹上での移動パターンや癖なども少し把握することができました。
その状態でさえその日にリスがその場所にいるかどうかは様子を見ないと分かりません。知識がない場合にはなおさらでしょう。
リスの珍しさについて調べる方はきっとリスに出会いたい方かリスとであった方であると思われます。

この記事を見に来たそういう方は参考文献にリストの遭遇チャンスと知識の底上げをしてくれた素晴らしい文献をリンクしておきますので目を通してもらえると私と同様にリスとの遭遇の機会が大きく上がるのではないかなと思います。
もちろん最初の場所を見つけるのがとても大変だと思います。リスは珍しい生き物であるため、最初は期待せずしかしクルミやマツに注目していけばもしかすると珍しくないのかもしれません。
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現在神奈川県にて探しています。神奈川においては県央より西部にしか分布がありません。探し方についても詳しく紹介します。再現性は不明ですが何も知らないよりは役に立つはずです。
参考文献
西千秋、只野由佳、出口善隆、青井俊樹 岩手大学農学部演習林報告 盛岡市都市近郊林における二ホンリスの食性 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030873230.pdf 2025/11/21
田村典子 森林総合研究所多摩森林科学園 日本リスの植生選択 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/48/2/48_KJ00001774830/_pdf/-char/ja 2025/11/21
林典子 多摩森林科学園 森を作る野生動物https://www.ffpri.go.jp/pubs/kouenyoushi/documents/h7.pdf
田村典子 森林総合研究所多摩森林科学園 ニホンリスによるオニグルミ種子の貯食及び分散 https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj1985/13/2/13_2_129/_pdf/-char/ja 2025/11/21
長野県 森の動物と森の再生
https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/092-4.pdf 1996/ 2025/11/25