恐怖?のオオスズメバチ
オオスズメバチといえばキングオブインセクト。

泣く子も黙る恐ろしいイエローストライプにサングラスを付けたようないかつい顔。
誰もが驚く大きな羽音で皆に怖がられています。
スズメバチといえば春から秋まで長く出現するため遭遇する期間も長いものですが、それら働きバチとは異なり一年の内僅かな期間にしか現れない珍しいスズメバチがいます。
それこそオスのスズメバチ。今回は知る人ぞ知る珍品のオスのスズメバチについてその出現時期などの知識を深めましょう、
オオスズメバチのオスはいつ出る?
オオスズメバチを始めスズメバチ類のオスはおよそ秋口から初冬にかけてのみ現れます。

スズメバチの巣を構成する多くのハチたちは働きバチであり、これらは皆♀であるという特徴があります。
スズメバチの巣においては8月頃までは100%がメスバチであり、これはつまりその時期までに遭遇するスズメバチは皆刺してくるということを意味しています。

ハチ類の毒針は産卵管が進化したものであるため、産卵の能力を持つメスのみに毒針があるという訳です。
オスは9月頃から生まれ始め、およそ10月頃から野外で見つかるようになります。
新女王バチが越冬する12月の頭ぐらいまでは活動しているオスバチらしきものも見つかるため、時期の部分だけ抑えておけば遭遇する可能性があります。

スズメバチにおいてはオスバチは結婚飛行と呼ばれる女王バチとの交尾を狙った特殊な行動が見られ、たくさんのオスバチが一か所にたむろするために人々を怖がらせることがあります。
結婚飛行にはオスバチもいますがもちろん女王バチのように♀も混じっているため、判別点などをしっかりと把握したうえで捕まえたりする必要があります。
つまりオスバチを探そうと思って秋以外にいくら探しても見つかることはありません。無駄な危険を冒さないためにも十分よく理解しておきましょう。
オスバチの出現する意味とは?
オスバチは年中出現していません。

スズメバチの仲間の営巣プロセスは越冬女王が一人で巣を作る→働きバチを数匹育てる→働きバチが巣を拡張しさらに数を増やす→オスバチ誕生→新女王誕生というような感じになっています。
オスバチは新女王バチと交尾するために生まれます。
働きバチと交尾してそれらが新しい女王になったりすることはありませんのでオスバチが必要になるのが新女王誕生以降の時期になるためオスバチの出現は秋口にまとまるわけです。
仮にオスバチが秋以外に羽化することを想定してみてください。

オスバチは交尾のために出現します。働きバチのように幼虫を育てたり、餌をとってくるということはしないわけです。
更にスズメバチ類は幼虫が出すエキスを餌資源として利用しています。
これらが意味するのは適切な時期以外にオスが出ると働きバチの邪魔になる可能性があるということです。
オスバチは秋に出ますが、女王バチとの交尾を目指して巣を出ると巣に戻ることは無いと言います。

マーキングして調査した訳ではないのであくまでよく聞く話としてですが、屋外に出て交尾をして死にます。
こう聞くと雄と雌の違いだけでなかなかにシビアというかオスバチに厳しい感じがしますね。世間的には認知されておらず刺す危険な生き物だからと恐れられ、巣では役割もあまりなく、お家から出れば帰れることもなくそのまま死んでしまう。
中々不憫に思えてきますね。
オスバチの出現場所について
オスバチですが採集には癖がある感じです。

スズメバチ類は基本的に樹液や花の蜜などにやってくるという印象があるかと思います。
オスバチも樹液類を利用していると考えられますが、これはあくまで捕まえた個体が排尿したことからの推測であり、私自身は樹液においてオスの個体を見つけられていません。
メスバチが多い樹液においてはスズメバチとの接近リスクもあることから、探す場合には結婚飛行をしている個体を探すのが最も楽であると考えています。

オスバチは通常巣を出たら屋外で新女王バチと交尾するのが目的となります。巣には戻らず、その後死ぬだけです。
オオスズメバチのオスバチがどのようにして女王バチとの会合を果たすのかは不明ですが、今のところ人工物上でやたらとスズメバチのオスがやってきていることを確認しています。
恐らく他のスズメバチと同様に樹冠に集まるような性質があり、同じような形質に見える人工物上に集まっているのではないでしょうか。
10月頃からこうした出現が目立ちますが、環境による変化がどの程度あるのかは不明です。
オスとメスの見分け方について
別記事ですが、徹底解説と銘打っているだけあって分かりやすく紹介しています。
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オスバチは毒針が無いが刺すマネはする
オスバチは刺さないのでしょうか?働きバチのように毒針を持たないために直接的に針を刺すということはしませんし、毒を打たれることもありません。

しかしオスバチにも針があります。偽針と書いてぎしんと読むのでしょうか。
これは刺すとは異なりますが出し入れをするので皮膚に押し付けられるとチクチクします。
何よりオスバチの振る舞いは毒針が無いことを除けばまるで自身に毒があるかのようにふるまいます。
例えばケース内に手を入れると彼らは身をひっこめると同時にお尻の先端を指の方へ向けてきます。
ちょうどくの字のような形をイメージすると分かりやすいかもしれません。

手でつかんでもくびれを活かした腹部を曲げて刺そうとしてきます。毒針は無いのに。
こんな事情があるものですからオスバチであることを確認していてもちょっと不安が付きまとってしまいます。
何せ見た目は危険なスズメバチの姿そのものですからね。

一般的なスズメバチとはだいぶ異なるオスのスズメバチ。私もオオスズメバチしか今のところ分かりませんが中々に面白いものです。
興味のある方は独断での挑戦は控えた方がいいかと思いますが、判別点がしっかりしているので探してみてはいかがでしょうか?
こうした生き物のなぜなに?に興味を持つことはとても面白いですよ。
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