かっこいいトンボの仲間を捕まえてみよう!
トンボといえば虫の中でも飛翔力に富む種類ですよね。

飛ぶことに洗練されたフォルム、種毎の色の違い、生息環境を探る楽しさ、そして何よりトンボとの真っ向勝負の面白さは他の昆虫とは大きく異なる狩猟本能が刺激される採集が楽しめるものです。
とはいえトンボを探そうと思って自然に繰り出せば見つかるのは似たようなトンボばかり。
色んなトンボに出会ってみたいなという初心者に向けて、今回はトンボの探し方や生息域を探るポイントなどについて紹介していこうと思います。
トンボとは
トンボとはトンボ目の昆虫の総称を指します。

日本にはおよそ200種類程度のトンボが生息していると言われており、赤トンボのような見慣れた種類から大人も子供も大好きなヤンマの仲間たち、初夏頃に出るサナエトンボの仲間、細長くてかわいいイトトンボ、光沢があるオニヤンマのようなエゾトンボの仲間、流水息に出る宝石のようなカワトンボの仲間などなどトンボの仲間には環境に応じたたくさんの種類がいます。
トンボ類は多くの種類が幼虫のヤゴの時期を水辺で過ごしており、成虫は陸上で生活をします。
トンボ類の出現にはすなわち水辺と陸地環境の二つが必要となり、これに加えてその水辺には農薬などの薬や生活排水の濃度が薄いなどの要素が加わります。

このため、生息環境が脅かされやすく絶滅危惧種になっているものがいたりします。
加えてトンボの仲間の中には生息環境自体が環境の変化の中で消えやすいものがいたり、田んぼの水抜きに合わせたライフサイクルを持っていたりと人との生活が深い種類もいたりします。

稲作文化が長い日本だからこそ維持されてきた種類もいるんですね。
和歌等でもおなじみとなる昔から人間と馴染みの深い昆虫。それがトンボたちです。
トンボの花形、ヤンマ
ここからは昆虫採集に視点を移していきましょう。

トンボの仲間の中で昆虫採集の対象として愛されているのがトンボの仲間の中でヤンマ科と呼ばれるカテゴリーです。
○○ヤンマと名を聞けば虫好きは心がウキウキ、虫に関心がある人でもオニヤンマの名前が出てきます。
ヤンマは他のトンボと比べても体が大きく、色がヤンマらしい。飛翔速度が速く捕まえるのが難しい。その分捕まえた時の嬉しさは他の虫の比ではない感覚があります。

ヤンマと聞けばまず名が上がるオニヤンマは実はヤンマ科ではなくオニヤンマ科であったり、多くの種類が黄色と黒の配色を持ちこれはサナエトンボの仲間でも見られることからサナエトンボや他のヤンマがオニヤンマと勘違いされていたり、類似種が多いことから種の見分けに困るというカテゴリーでもあります。
ヤンマ科には日本には23種類もの種類が確認されています。

トンボをあまり知らない人が間違えてしまうサナエトンボ科やエゾトンボ科も含めるとヤンマみたいな黄色と黒のストライプを持つ大型のトンボだけでも63種類もいる事になります。
ただしその分トンボには他の虫には無い魅力が詰まっています。
トンボ採集が人気の理由
トンボ採集にはまった人がトンボ沼にはまる理由はよく分かります。トンボの採集には他の虫には無い魅力があるのです。
環境の楽しさ
トンボに限りませんが、トンボは特に水辺環境にシビアであるため、お目当てとなるトンボが生息していそうな場所を探すというのが楽しくなります。

例えばオニヤンマは本来細い流水息に生息しています。
オニヤンマとよく間違えられるオオヤマトンボというエゾトンボ科のトンボは水面が空に大きく開いている開放水面を好む性質があり、出現環境でおおよそ判別できてしまいます。

オニヤンマのように細い流路ですが、よりうっそうと暗く山地に出現するのがミルンヤンマ。

田んぼ環境に出現し、水抜きの後の田んぼに産卵するカトリヤンマ。抽水植物が繁茂する水辺に来るギンヤンマやマルタンヤンマ。

紹介したのは一例ですが、ヤンマに限らずトンボ類というのは生息環境にシビアであるため、お目当ての種類に応じた環境を発掘するのが一つ楽しいと言えます。
採集の楽しさ
環境を発掘しお目当てが現れたならば採集になります。が、カブトムシやクワガタのように動きが鈍く、見つけたらまず取れるような採集とは大きく異なります。

トンボの採集はまさに一瞬。飛翔ルートの癖を見抜きその更に一手先に網を振り網の中でバタタと羽音が聞こえる瞬間は他の虫では味わえない一種のギャンブル的な快感があります。
ヤンマの中にはオニヤンマに代表されるように縄張りをパトロールしているものがおり、これは同じルートや近いルートを通ります。

待ち伏せをしてタイミングを合わせる感覚、逃げられた時の悔しさ、そして警戒されて逃げられた時のさよならを見送る悲しさ。一連の採集の流れがどれも他の虫では味わえず、どこか次こそはと癖になってしまいます。
これが面白いんですよねぇ。
これに加えて捕まえたご褒美が味わえるのもトンボ採集の楽しさですよ。
実物を見る楽しさ
捕まえたトンボをじっくり眺められるのはトンボ採集を行ったものの特権です。

トンボ類の標本は死後急激に色がうせてしまうため、たいていどんなトンボも黒くなってしまうんです。
本来のトンボの色は多くの図鑑にあるようにしっかりと発色されています。これも死ぬとくすんでしまいます。

捕まえたトンボの体色が美しいのはもちろんのこと、あの複眼はタマムシの仲間に負けないかそれ以上と思わせられてしまうほどの魅力があります。

ヤンマの複眼は本当に綺麗なんですよ。私が初めて見たのはヤブヤンマという空色の複眼を持つ種類だったのですが、あの複眼を見た時の衝撃は好きなタマムシたちを見ているときよりも衝撃的でした。

トンボには全然興味がなかったのですが、緑系やくすんだ緑系の一見地味目な複眼でも吸い込まれるような複雑な光がありいやぁすげぇなぁとついつい感心してしまいます。
トンボはこの色が残せたらもっと人気なカテゴリーになるんだろうなぁと思っていますが、現状有志が色残しに様々な手段で挑戦しているようです。
今ではまだこれらのトンボの美しさを味わえるのはトンボとの戦いに勝ったものになっています。一度見て欲しいですね。
最近ではミルンヤンマの複眼に心を奪われました。

ミルンヤンマの複眼を知っていますか?ヤンマの体色や翅の色、複眼は羽化してから成熟していくにつれて変化していきます。
ミルンヤンマは成熟していくと緑に複眼がなっていき、最終的には複眼の前部に水色が、それ以外は緑になるんですね。
初めて実物を見た時、ヤンマの複眼に2色あって驚きましたよ。
種類を見分ける楽しさ
トンボ類の書籍も充実しており、これに加えネットにはやたらとトンボに詳しい人がいるため種類の判別がはっきりしているのもヤンマの仲間のいい所です。




元々大型種であるために判別点も分かりやすいのですが、前述の環境で見分けたりすることもできるためこの環境に出現しているからこれだろうなと予想することが楽しいです。
黄色と黒のストライプであるため、どれも確かに一見似ているのですが腹部の模様や複眼の色などの要素を複合的に見ていくと見分けられます。

自分がトンボに詳しくなるにつれて明確に似たものが見分けられるようになり、果てはエゾトンボ科、さらにはサナエトンボ科とどんどん見分けられる種類が増えていく成長を感じられます。
種数が200種類と多すぎないのもいいですよね。とても手を出しやすいと言えます。
黄昏御三家のような目標がある
昆虫に手を出し始めたら何から探そうかなと結構悩みますよね。


例えばタマムシ科ならばアオタマムシ、アオマダラタマムシ、クロタマムシ、クロホシタマムシみたいに色々と魅力的なものがおりどれ狙おうかなと迷っちゃいます。
ヤンマは種類が多くないというのもありますがその分狙う対象がはっきりとしており、始めたばかりならば黄昏御三家と呼ばれるマルタン、ヤブ、ネアカヨシのような代表的な目標が生まれます。

科に手を出し始めたら自動で目標が生まれるのはいいですよ。他のカテゴリーだとそのいい虫も母数が多すぎてあれもこれもやりたいとなってしまうところです。
しかも環境が良ければ複数狙えますからね。この一匹を取りにいくではなく、黄昏のこれとこれを狙いに行くというように複数狙えてしかも水辺ですから他の副産物も狙えるのが初心者的には嬉しいです。
アオタマムシを狙いに行ったらたいていモミ利用のハズレ虫が拾える程度ですが、トンボならば複数のヤンマが同時に狙えます。これはありがたいですね。
トンボの探し方とは?
ここからはトンボの探し方に移っていきましょう。

代表的な環境を例にどんなトンボが狙えるのか?紹介していきます。
具体的な生息環境
基本的には水辺を中心に探していきます。



その水辺は流水息なのか止水域なのか、流路は狭いのか広いのか、周辺は森なのか開けているのか、田んぼ環境?農薬の有無は?生活排水の流入は?などなど色々な要素を見ていくことになります。
探したいトンボの種類を先に見つけておいてそれが好む環境に行くというのがおすすめです。
沢沿い
沢沿いは環境条件により大きく左右されますが、ヤブヤンマやコシボソヤンマなどのヤンマやミルンヤンマなどの出現が見込めます。


規模にもよりますがサナエトンボの仲間や流水性のサナエトンボの仲間なども見られます。
田んぼ
田んぼ環境はとりあえず行ってみるべき環境ですね。

周辺の水辺の有無などにも左右されますが、流水息があればギンヤンマやコオニヤンマ(サナエトンボ科)カトリヤンマやマルタンヤンマ、イトトンボやカワトンボの仲間など多くのトンボが出現します。
開放水面

湖や沼、ため池などにはそのような場所を好むオオヤマトンボ(エゾトンボ科)や水辺に抽水植物があればマルタンヤンマ、アオヤンマ、ネアカヨシヤンマ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、ウチワヤンマなどなどが見られるかもしれません。

広く開けた環境なため捕まえるのにはなかなか骨が折れます。
流水環境
サナエトンボの仲間を始めアカネ類にヤンマの仲間などがみられます。

カワトンボ系の種類や、岸にはイトトンボ類など色々なトンボがみられます。
トンボ採集の虫網カスタマイズ
トンボ採集では網のカスタマイズが重要です。

チョウなどの繊細な虫ではなく網を振る速度に重きを置きましょう。
網の長さですが、狙う種類にもよりますが4~5mぐらいもあれば十分です。ヤンマ相手には網を早く振るため、長く伸ばしてしまうと破壊する確率も高くなります。

黄昏ヤンマの採集では非常に長い網を器用に使って採集されることもあるようですが、基本的には4~5mでよいかなと思います。取り回しに優れるサイズ感です。
網枠は大きい方が良いです。

フレームはウルトラフレームである必要はありませんので、持ってなければ志賀昆虫のスプリング最大の50㎝をお勧めします。
網はメッシュネットですね。
昆虫専門用具でもよいですが、ヤンマ採集に限っては釣り用の目が非常に荒いネットも選択肢になるようです。
過去一緒にヤンマ採集に行った虫仲間が導入していて、とても便利そうでした。
黄昏をやるならば粗目ネットを、日中の採集ならばメッシュネット。

トンボの中でもヤンマを今後もしばらくやるならば粗目ネット、他の虫や他のトンボもやるならばメッシュ。
というように考えるとよいかなと思います。
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捕まえたトンボの保管
トンボを捕まえて持ち帰る際には三角紙という専用の昆虫を仕舞うものを使うことをお勧めします。

傷つけることなく持ち帰れます。また、虫かごに一時保管するなどもなるべき止めましょう。トンボの翅が傷ついてしまいます。
逃がす予定でも今日どれぐらい捕まえたか記録したい場合には一時保管場所として三角紙を使うことをお勧めします。
標本にする場合には三角紙に入れた状態で数日置いて糞を出させます。死ぬと急激に劣化するため、気を付けましょう。
トンボの標本の難しさ
トンボの標本は難しいです。

まず体色が褪せてしまうため、他の甲虫類などと比べると鮮やかさには欠けてしまいます。
トンボは肉食性であるため、内臓や内容物を可能な限り出してあげないと色がより褪せてしまったり腹部がぶよぶよになったりしてしまいます。
標本にするまでもなかなかに大変ですが、トンボ類の標本にはもう一つ大変な部分があります。
それが腹部に芯を刺すというものです。
トンボの胸部から腹部の先端にかけて主にイネ科などの細長い硬いものを用意し、腹部が折れたり萎んだりしないように支えてあげるのです。
これらの工程が大変なため、私はトンボの標本は作っていません。
色残しとかと技術が進んで綺麗な形で残せるようになったらやろうかなと思っている位です。
トンボをさらに学びたい
トンボをさらに知りたい場合には図鑑を利用するのがおすすめです。
トンボハンドブックはハンドブックながら判別点もしっかり学べ、値段に対して内容が濃いためお勧めです。
これ一冊でがっつり学びたい。トンボを専門的にやりたいという場合には日本のトンボという本が最もおすすめです。
というようにトンボを中心にその探し方やおすすめな道具などを紹介してきました。トンボの世界は私も初心者ですが奥が深くとても面白いと感じています。採集も楽しいので、人気も納得のいくカテゴリーですね。
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