派手な色の大きなクモ
クモは苦手な方も多い生き物のカテゴリーですよね。

足の奇妙さ、巣の不気味さ、毒や牙を持つ怖さなどなどの人が恐れる要素を複数持っていますので、苦手な人はいてもクモ好き!という方はあまり多くは無いのではないかなと思います。
一方で夏や秋頃から冬にかけて目につくのが巨大な巣を張るクモの存在です。今回はそんな黄色と黒色の大きなクモをテーマにクモを通じた自然の疑問を見ていきましょう。
黄色や黒の大きなクモとは?
これについては巣を張る種類で大きなものと限定すると身近ではジョロウグモやコガネグモの仲間が該当します。

ジョロウグモは都市部を始め民家や街中の電線などの場所にも出現しますが、コガネグモの仲間は比較的緑の残る草地などの環境に出現します。
この2種類を中心に見ていきましょう。
ジョロウグモとは?
ジョロウグモはジョロウグモ科の生き物の一種です。

♀は足を含めると5~6㎝以上はある大変大きなクモであり、その姿はどんな人でも一度は見ているはずです。
ジョロウグモは出現範囲が非常に広いクモの仲間であり、街中のような都市部から田園地帯、里山環境、山地までのおおよそ人間の生活圏全てに出現する程の優れた適応能力を持ちます。
出現は8月頃から目につくようになり、遅いと12月頃まで見られます。

巣は1m以上もの巨大なものになるケースもあり、バス停や駅を始め人工物が多い環境はもちろん人が通る通路にまたがることもあるため、引っ掛かり非常に嫌われます。
成虫は巣で待ち構え獲物が巣にかかった際の振動を感知して巣に獲物がかかったことを感知しているようです。
LEDを始めとした外灯の明かりを感知しており、灯にやってくる虫を捉えるために巣を張るなど非常に優れた感覚能力を持っているようです。
一応益虫です。掴んだりしなければ噛まれることはありません。
ナガコガネグモとは
ナガコガネグモはコガネグモ科のクモの一種です。

体色はジョロウグモに似ていますが黄色みが強く黒線のストライプが目立ちます。
また、巣にはジョロウグモには見られない稲妻模様のようなストライプが入る特徴があり、この点で判別は簡単です。
複雑に白くかかっているため、カモフラージュの効果があると思われます。

体長は♀で一回りほどジョロウグモより小さいです。出現環境が大きく異なっており、ジョロウグモが住宅地を始めとした人工物環境でもよく目にするのに対しナガコガネグモは草地など自然の中で目にする機会がとても多いです。
また、防御行動がジョロウグモは逃げるなのに対し、コガネグモの仲間は巣を大きく前後に揺らして威嚇のような行動を取ることを確認しています。突いてみると非常に面白いので見つけたらおススメです。
出現はおよそ夏から冬の始まりぐらいまでです。期間は長いですがジョロウと比べると自然の中に行かないと見つからないので目にする機会は少ないと思われます。
クモと昆虫の違いって?
クモも昆虫も虫と言われますよね。

でも厳密には何が違うのかというポイントまで調べたりする機会はあまりないはずです。
クモと昆虫はそれぞれ分類において綱(こう)という比較的上位の部分で異なっており、クモ類はクモ綱、六脚類が昆虫綱と呼ばれます。
クモは足が8本、昆虫は足が6本というのはここに由来します。

ですが、それらの判別は複雑ですし小さいお子様などには説明しても分からないところです。
そうした生き物をまとめて我々はムシと呼んで昆虫っぽい生き物をまとめてそのように呼んでいるのです。
だからこそムカデやダンゴムシなどもムシと呼べるのですね。
蜘蛛類はなぜ巣を張るのか?
クモ類の中には巣を張るものがいます。これはいったいなぜでしょうか?

クモの仲間は巣を張ることで獲物を捕らえることができます。食事にどのようにありつくのかは生き物の重要な課題です。
クモの一部は巣を張ることでその問題を解決したのですね。
蜘蛛の巣には種類ごとの特徴が見られる場合があります。
例えばジョロウグモのバリア構造。

ジョロウグモは自分が鎮座している前後の場所にバリアのようなものを設置し、巣は細部を見ると部分的に3層になっています。(三重網構造)天敵となる生き物の攻撃を避ける防御手段の一つではないかと思います。
ナガコガネグモの仲間は身を隠す目的なのか白いギザギザ模様を巣に作ります。
生体のクモは大きいのであれですが、小さい個体や子供が身を隠すには十分なものであり、もしかするとそうした狙いがあるのかもしれません。さすがにかっこいいからとかではないと思いますので、何かしら生存に有利であると思います。
蜘蛛は巣を張るとは限らない
クモといえば巣を張るイメージが強いかと思います。
もちろん巣を張る種類も多いのですが、他のタイプも紹介しておきます。
まずは巣を作るものの張らないタイプです。ジグモを始め一部のクモの中には地際や土中にトンネル状の巣を作り底に潜むものがいます。
獲物の振動などを感知して捕食します。

また、コアオグモのように花などで待ち伏せしているものもいます。
カニグモの仲間など前足が非常に発達していて獲物をつかんで離さないような進化を遂げているものが多いです。それからハエトリグモのように徘徊して獲物にとびかかるタイプのものもいますね。非常に敏捷性に優れています。

このほかにもオナガグモのようにクモを専門に食べるクモのようなものがいたり、私は詳しくないのですがクモを取り巻く自然はなかなかに面白いと言えそうです。
派手なクモの色はなぜなのか
ジョロウグモやナガコガネグモは大型種で黄色と黒の色合いを持っています。

生き物好きならばピンときたでしょうか?スズメバチの仲間が黄色と黒の色を持つように、ジャコウアゲハが黒と赤色で危険を示すようにこうした派手な色合いは持つことに意味があります。
警告色と呼ばれるこのカラーリングはその色合いで自分が危険であるということを示しています。
クモの捕食者としては鳥の仲間を始め、後述しますが昆虫にも天敵がいます。

クモ自体には毒の成分は持ち合わせていませんので、この警告色は見せかけのものであると考えられるでしょうか。クモには元となる擬態先がいませんので、これはただの擬態ですね。
これがもし元となる参照先がおり、それが有毒種ならばベイツ擬態(ジャコウアゲハの真似をする黒系アゲハやアゲハモドキなど)毒を持つ者同士で同じ色を持つならばミュラー擬態と言います。(スズメバチとアシナガバチやミツバチなど)
クモの場合はどちらにも当てはまりません。単純な脅威を示す手段としてのカラーリングでしょうか。オニヤンマのような感じでしょうかね。
蜘蛛の営巣場所の不思議
能動的な狩りを行うスズメバチやオニヤンマ、カマキリなどに対して、受動的な狩りを行うのが本テーマのジョロウグモやナガコガネグモです。

彼らは待ち伏せ型の狩りを行います。営巣場所は彼らにとってとても大切な場所であり、物体の隙間や風通しの良い環境、草地のギャップなどに張っていることが多いです。
また、なぜか外灯に虫が来るという点を理解しているらしくコンビニやマンションの外灯などの明かりの周りにも巣を張っていることがあります。
これはとても不思議なことで、確かに昆虫は灯に来るのですが、紫外線に誘引されています。

灯の周りに巣を張るクモは紫外線を判断材料として営巣するならば、日中どんな要素で判断して巣を作る場所を決めているのか非常に気になるところです。しかしそうした要素でもない限り、人間が活動していることを前提とした外灯周りでの営巣というのはなかなか考えられませんよね。
これについての根拠は特にありませんが、外灯周りで営巣しているクモというのはとても不思議に思います。
クモ類の意外な天敵たち
さてクモ類の天敵といえばなんでしょうか?クモは最強格の虫に思えますよね。

ところが意外な天敵がいます。それがクモバチなどの仲間です。彼らは生きたクモを利用する寄生性のハチです。
この前、大型のジョロウグモが2㎝もないほどのクモバチの仲間にやられて巣へ引きずり込まれるのを目にしました。
クモバチは麻酔性のある強力な毒をクモに注入し麻痺させ、殺さずにそのクモに卵を産み付けて繁殖します。
ゴキブリをゾンビ化させて生きたまま幼虫の餌とするエメラルドゴキブリバチのようにクモでそれを行うものがいるのです。
クモは営巣して獲物が来るのを待っています。しめしめハチが来たぞと思いきや自分が刺されて持ち運ばれてしまうのですからたまったものではありませんよね。まさかのハチ類が天敵です。

これに加えてジョロウやナガコガネのような大型種での事例は不明ですが、小型のクモを捕食するヤンマの仲間がいます。
アオヤンマやネアカヨシヤンマというトンボの仲間は巣にいるクモに突撃して捕食するものがいます。
残念ながら私自身はそういった場面は見られていませんが、事例として蜘蛛食いが報告されています。リスクにしか見えない行動ですが、ヤンマにはヤンマで巣の構造などが見えているのかもしれません。
ジョロウグモのケースにおいては鎮座する前後にバリア上の巣があります。

恐らくクモバチのような天敵から身を守る手段として得た生きるための術なのだと思います。
そう考えると食物連鎖にいるからこそ持つことができた生存のための技ということですね。
身近なクモでも観察してみると実に視点がたくさんあり、色々な生き物と関りがあることがよく分かりました。
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