ダンゴムシを探す方法
ダンゴムシは古くから愛される身近な生き物です。

突くと丸くなる可愛らしい姿、たくさん生えている奇妙な足、紫とグレーを混ぜたような特有の色に金色の模様などなど特徴が多く危険性もないために子供たちにも人気が高い生き物です。
そんなわけでダンゴムシ探そうと言われたもののどんな場所にいるのかがよく分からないということがありませんか?
そこで今回はダンゴムシの探し方やよくいる場所などについて紹介していきます。
ダンゴムシとは?
ダンゴムシはワラジムシ目の生き物の1種です。

我々がよく目にするダンゴムシの名前はダンゴムシではなく、正式にはオカダンゴムシと呼びます。
オカダンゴムシは実は明治頃に日本に入ってきたとされる外来種の生き物だったりします。一方日本には在来のダンゴムシの仲間もおり、代表的なものにはコシビロダンゴムシと呼ばれるものがいます。
ダンゴムシは土の上に堆積した落ち葉などの有機物を利用しています。

彼らはミミズと共に落ち葉を分解する非常に重要な存在であり、縁の下の力持ちと言える存在です。
また、葉っぱ以外にも土の上に堆積する他生き物の死骸なども利用していると言われています。
ダンゴムシはつついたりすると丸くなるという特性があります。類似種のワラジムシはつついても丸くならないことから判別は簡単です。
また、フナムシの仲間などもワラジムシの仲間なので近い仲間になります。確かに似てますよね。
ダンゴムシがよくいる場所を生態から探る
ダンゴムシを始め生き物を探したい場合にはその生き物が何を食べているのかを理解することで効率的に探すことができます。

ダンゴムシは落ち葉や小動物の死骸を利用する生き物であるため、基本的には土の上に落ち葉が積もったような場所を見ていくことで見つけることができます。
しかしこの記事に来る方の中にはそんな場所はもう見ているという方もいると思います。ダンゴムシがいやすい場所とはどういうところなのでしょう。
実は落ち葉が堆積していても落ち葉には段階というのがあります。

腐葉土置き場に堆積した葉をイメージすれば分かるかと思いますが、腐葉土置き場は下が腐葉土、一番上が枯葉です。
下に近づくにつれて葉は細かくなっていきますよね。
ダンゴムシは乾燥よりも湿った環境が好きなので、落ち葉が堆積したばかりのところではなく程よく湿って細かくなっている土の上付近にいる事が多いのです。

つまり落ち葉の上を探すのではなく、軍手などを付けて少し葉をどけてみた後の土の上にいる事が多いです。
見つからない場合にはしっかりと落ち葉内部を探索してみましょう。
コンクリ沿いにダンゴムシがいる理由
ダンゴムシは前述のとおり落ち葉を利用しますが、これに合わせてコンクリ沿いでもよく見つかります。

これには理由があるため解説します。
まず形状的に落ち葉が堆積しやすいというのが一つです。
落ち葉は風に吹かれて飛んでいきますよねその際にコンクリの縁などの突起物に引っ掛かり堆積していきます。
自然と落差のあるコンクリ沿いは小さな腐葉土置き場のようにダンゴムシが好む湿度が程よくあり、新しいエサも集まり続けるとてもよいスポットになります。
これに加えてダンゴムシと言うのはカルシウムを取るためにコンクリートを齧ることが知られています。

つまりコンクリの縁というのはダンゴムシにとって自然に餌が供給され続けてきて栄養素の一つも手軽に取れる優れた隠れ場所となるのです。
なのでダンゴムシはコンクリ沿いでたくさん見つかります。
ダンゴムシの種類とこれから探す人に向けた情報及び結論
実はダンゴムシには種類があります。

オカダンゴムシとコシビロダンゴムシのように外来種と在来種はもちろんのこと生活圏により狙えるダンゴムシと言うのもいます。
例えばオカダンゴムシは最も人の環境に適応しているダンゴムシであると言え、その出現は家の周りから身近な雑木林、街中のチョットした公園などなどとても広いです。そのため基本的にはこのオカダンゴムシが見つかると思ってよいです。
在来のダンゴムシの出現は「都市域におけるオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の分布特性(栗田・原田2011)の中で説明されており、オカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科では土中の含水率やphの影響を受けることが示唆されています。

どうやらオカダンゴムシは原産地のヨーロッパ的な気候がある乾燥したアルカリ土壌を好む傾向があり、コシビロダンゴムシは含水率が高く落ち葉がしっかり堆積した自然度の高い環境を好む傾向があるようです。
前述のトピックでダンゴムシがコンクリ沿いに多い理由としてカルシウムを利用するという話を述べましたが、この研究も加えるとコンクリ沿いはコンクリ由来のアルカリ成分により土中のphが高いという理由なども付け加えられそうですね。

在来種はこの研究の結果からは照葉樹林以外ではその存在を確認できなかったことが報告されています。
一般的に考えるとダンゴムシの探し方を求める方がそうした照葉樹林でダンゴムシを探すケースは多くは無く、ほとんどが身近ないわゆる乾燥地で探すことになることを考慮するとオカダンゴムシの分布特性に合わせて探すのが良いと考えられます。

つまりダンゴムシを探したい場合にはオカダンゴムシの特性となる人の手が入った環境で土壌phが高めで落ち葉がほんのり堆積した湿潤過ぎない環境を見ていけばよいということになり、これを身近で表すとコンクリ沿いに堆積した落ち葉などがお手軽なスポットとしてお勧めできるのではないかなと思います。
ダンゴムシは陸地の指標生物?
ダンゴムシの仲間はその出現により指標生物として用いられることがあります。

指標生物とはその環境にその生き物がいる事でどういう環境か分かるような生き物による物差しのことを言います。
分かりやすいものでいうと水の指標生物。ホタルはやや綺麗な水の指標となる生き物です。
ホタルよりも上流域の綺麗な水辺にはトビケラやアブ、ブヨなどの生き物が出現します。

このようにその生き物がいればその水はどのレベルの綺麗さなのかが分かるというものの陸地版の指標としてダンゴムシが使われることがあります。
身近なオカダンゴムシはこの記事で語った通り人の活動が多い場所に出現するダンゴムシですが、在来のダンゴムシは自然度が高く落ち葉が堆積し、含水率の高い場所に出るダンゴムシです。(紹介した研究ではダンゴムシ特定種のみなのでこの限りではない)
つまり逆に言えばコシビロダンゴムシの出現が認められればその環境は自然度が高い場所であると言える可能性が高いですよね。

他の種類のダンゴムシの出現特性は不明ですが、こうした理由から地域のダンゴムシ類の出現を見れば陸地の指標として活用できるのだろうと思われます。
このコシビロダンゴムシですが、身近にいるかと思えばそんなことは無く、私の住んでいる神奈川ではとあるプロジェクトの報告で10例ぐらいの様です。
これを見るに在来種の貴重なダンゴムシに出会うのはなかなかに大変そうですが、出現の条件などが明らかになっている今回のコシビロダンゴムシの例などを参考にすれば希少な種類にも出会えるかもしれません。
参考文献
栗田あとり 原田洋 生態環境研究 都市域におけるオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の分布特性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ecohabitat/18/1/18_KJ00008780999/_pdf/-char/ja
自然度をはかる指標生物「ダンゴムシ」の生息調査
坂西梓里 新田庄 https://www.azabuderukui.info/wp-content/uploads/2023/05/pj2023_14.pdf
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