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秋に鳴く緑色の虫の正体はアオマツムシ。りりりやリーリーと鳴いている虫の姿と秋の鳴く虫が減っている背景。

心地よい鳴き声の虫

秋、最もなじみ深い高い音で鳴く虫の正体

秋といえば鳴く虫の季節というのは古い話でしょうか。

近年の特に都市部で耳にする虫の鳴き声は昔の歌に出てくるようなチンチロリーンやガチャガチャではなくなっているのは皆さまお気づきであるかと思います。

一方で8月下旬から10月頃にかけて都市部でも十分な虫の鳴き声を聞くことができますよね。

都市部で聞けるほとんどの鳴き声が今回紹介していくアオマツムシという鳴く虫です。

アオマツムシとは?

アオマツムシはマツムシ科の昆虫の1種で、バッタの仲間です。

体はかなり柔らかい。足が発達していないのでバッタ感は薄い。

体長は3㎝に届かないぐらいの大きさで、体色は柔らかい緑色。姿はイネ科の草本を彷彿とさせるような独特な形をしており、背中には茶色っぽい跡が入っている場合が多いです。

成虫はおよそ8月頃から10月頃にかけて出現します。

出現環境は近年では山地での出現も増加していますが、都市部や平野部での出現が増加しており、最も身近な鳴く虫としての地位を獲得しています。

アオマツムシは外来種であるため、あまり喜べないのが正直なところですが、この虫の声はとても心地よくいい声で鳴くため悪くはないと思ってしまいます。

背中には茶色模様が入るものもいる

鳴き声はりりりりーと継続したり、りー↑、リー↑と表現される場合もあります。

成虫は植物の葉を主に食べていると考えられますが、雑食性で昆虫類なども食べているという話もあります。

在来のマツムシと外来のアオマツムシ

アオマツムシですが、在来のチンチロリンでおなじみのマツムシとは鳴き声が大きく異なります。

マツムシの写真はありません。おおよそアオマツムシの茶色版と考えてもらえれば。

マツムシは茶色をしていますが、アオマツムシは緑色であること生息環境がマツムシがススキなどの草本群落で、アオマツムシが木の上であることからおおよそ出現環境の違いなどでも判別が可能です。

アオマツムシは外灯への飛来性などもあるため都市部のコンビニなどでも目にします。マンションなどに来ている場合でもまずアオマツムシが疑われます。

当たり前に日常に溶け込むアオマツムシ

アオマツムシは外来種の昆虫なのですが、生き物にさほど関心がない多くの方にとっては秋の代表的な鳴く虫のポジションに上手く収まった存在であると言えます。

その辺の低木や高木上に潜んでいる

日本の歌に古くからあるマツムシや、クツワムシ、ウマオイなどは都市部でその声を聞けることはなかなかなく、緑が豊かな山地や河川敷で一部の声を聴くことができる程度です。

在来のバッタ類はススキなどのイネ科草本群落など生息環境が開発で失われてしまう場合が多く、不安定である場合が多いです。

一方でアオマツムシのように樹木をあまり問わず、木の上で生活できるという点は都市部のような開発が多い場所での生存においてとても有利です。

チッチッチッチと高い声で鳴いている鳴き声はおなじみの虫

町中では生け垣などの小規模なエリアで繁殖ができるカネタタキが確認できるのがせいぜいであり、今後もアオマツムシが日本の秋の鳴く虫としてのポジションを獲得し続けていくのだと思われます。

アオマツムシはどのようにして鳴いている?

アオマツムシは主に葉の上で活動しています。

範囲を特定しても見つけにくいのでは?

しかし本体が3㎝届かないぐらいのサイズ感であることや緑色であること、葉の重なる隙間などに潜んでいることなどの要素から声の割には姿が見つかりません。

今回はアオマツムシが鳴いているところを撮影出来たのでそれを紹介します。

アオマツムシはマツムシ科の昆虫ですが、この仲間にはスズムシがいます。なので鳴いている場面はスズムシを想像すると分かりやすいかなと思いますね。

この状態で翅を振るわせている。よくもまああんないい音が鳴るものである。

重なっている翅を帆の様に立ててそれを震わせています。

このような状態になりながらよく聞こえるりー↑リー↑という鳴き声を出しているんですね。鳴く虫はセミと同様に鳴くことで雌へのアピールをしていると考えられます。

鳴く声だけでも相当な数がいると分かりますが、実態としてはこれに加えてメスも同じぐらいいるので木の上での個体密度というのはなかなかに高いことが分かります。

近年侵入してきたものではないので、見慣れた感じがある

また、この虫の声はどういう訳か心地いいんですよね。

アオマツムシは近年は行ってきた外来種ではなく19世紀の末頃に日本に入ってきたとされています。

我々の世代が都市部で活動している21世紀ではすでに当たり前の存在として都市部でその鳴き声を聞いていましたので、関東圏でいうと21世紀初頭に侵入してきたクマゼミのように鳴き声への異物感がありません。

日本古来の童謡である鳴く虫の歌が忘れ去られてしまう危機です。

鳴く虫の歌と変わる虫の声

鳴く虫の歌をご存じでしょうか?あれマツムシが鳴いている チンチロチンチロチンチロリンのあの歌です。

おなじみの鳴く虫、コオロギ。

あの歌では在来種の多くの鳴く虫が出てきます。その数は5種類。マツムシ、スズムシ、コオロギ、クツワムシ、ウマオイです。

この内都市部で耳にするのはコオロギがせいぜいでしょうか。コロコロリーンでおなじみのエンマコオロギやジ、ジ、ジと音が心地いいつづれさせコオロギ辺りが鳴いているぐらいです。

歌としてあるぐらいですからかつては他の鳴く虫もたくさんいたのでしょう。

スズムシは田畑やススキなどのイネ科草本群落の中にいる事がありますがそうした草地は開発で減少、管理も大変なので減っています。

かやぶき屋根なんて今や幻ですもんね。草地の減少が鳴く虫の減少につながっていそうです。

クツワムシはやや湿度があるような環境を好み、河川敷やつるが繁茂する林縁のやぶなどに出現します。

マツムシはイネ科草本群落、ウマオイは田畑や山地の樹木などの上にいる場合が多いです。

どの虫もお手軽に色んな種類の声を聞くというのは自然豊かな場所を除いて難しくなってしまいましたね。

いま、鳴く虫の歌を作るならば我々現代人が分かる虫の鳴き声はアオマツムシのものしかないと思います。

街中でも聞こえる声はこの3種類がせいぜいな気がしますね

都市部では本当にこの虫の声しか聴けません。これに混じるのが小さいながらも印象に残るカネタタキ。これも知らなくても聞いたことのある方は多いはずです。

これにコオロギですね。歌は3種類になり、一番のメインは外来種のアオマツムシ。

我々世代ではまだなじみのあった虫の声もいずれは全く通じないものになってしまうのでしょう。歌の主が全部りー↑りー↑になってしまうのは悲しいものです。

アオマツムシが鳴いている~りーりーりーりーりーんりん
アオマツムシも鳴きだした~りーりーりーりーりーんりん

う~ん都市部の虫の鳴き声の様です。

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