クリのようでクリじゃない実
秋は果実の時期ですよね。

美味しい果物にあふれるこの時期でも特に代表的な食材がクリです。
自然界では当たり外れも大きいクリの実。運よく丸くて大きい実を見つけてラッキーと思ったらなんだか丸すぎる気がしませんか?
もしかするとその実はトチノキのものかもしれません。今回はクリにそっくりな果実を付けるトチノキとクリの違いを見ていきましょう。
トチの実ってどんなもの?
まず結論としてトチの実はおよそ平地において9月中旬ごろを目安に見つかる丸い実です。

色は下側が薄黄色、薄茶色ともいえる色をしており、上部は暗い茶色をしています。
円形であり、クリのように三角形になることは少ないので、コロコロと転がってしまいます。
実だけを見ると非常にややこしいのですが、実だけが見つかる場合というのはあまりありません。
周辺にはクリでいうところのイガの役割を持つものがあるはずです。
ここが分かりやすいポイントですね。

トチノキの身を守る部位はヤシの外皮のような見た目をしています。
ヤシ程硬くはなく、色合いは茶色をしていることが多いです。
この部位は3つのパーツからなっており、脚などで踏みつけると非常に綺麗に取ることができます。

取り除けば中からはクリのような見た目のトチの実が見つかるはずです。ここまで見ればクリではないことは明らかですよね。
クリの実ってどんなもの?
トチの実についてはよく分かったかと思いますが現在ではクリというものに触れる機会が減ってきていると思われます。

実を付けているクリがどんな姿か知らず、魚の切り身が海で泳いでいるように茶色い三角形のものが木になっていると勘違いされては困りますのでクリについても紹介します。
クリについてはとげとげのイガが実を守っています。

秋が深まるにつれこのイガは割け、やがて中身のお馴染みのクリが落ちてきます。
周辺にはとげ状態のイガが落ちていることが多いため、それを参考にすることでここにはクリがあるんだと判別することが可能です。
トチノキの実は食べられるの?
さて気になるのはおいしそうなトチの実は食べられるのかというところですよね。

結論的に言えば下処理を一生懸命やれば食べることは可能です。
トチ餅という食べ物がありますよね。あれはトチの実のあくを抜いてモチ米などと一緒に練り上げたものです。
日本人の昔ながらの知恵でこうした食べにくい食材も利用してきた背景があります。
実はトチノキ属の植物は日本以外にもあるのですが、食利用するのは日本のみであると言われています。
それはトチノキが持つ非常に強烈なアクに寄るためです。

トチノキには渋み成分であるタンニンや有毒成分のサポニン(植物由来の毒性分)を含み、クヌギやコナラなどのドングリと並ぶほどアクが強烈な果実です。
私はあく抜きをして利用したことがありませんが、その工程を調べると2週間程度あく抜きをするとの記述があります。
よほど食材に厳しい時の知恵として活用されてきたのでしょう。ヒガンバナの根を水でさらして毒抜きしたり、コンニャクのように有毒成分を何とかして除去して食べるような昔ながらの知恵と言えますね。
トチノキを探すならば
今の時代に苦労してトチノキを食べる必要はありませんが、美味しそうな見た目につられて食べてみたい場合には探す必要があります。

一般的なスーパーなどにトチの実が並んでいることは見たことがありません。食材としての利用価値は山菜よりもはるかに低いと言えます。
ですが好奇心が湧いてしまうのが人というもの。トチノキを探す場合には特有の形をした葉を覚えてしまうのが楽ちんです。
トチノキは掌状複葉(しょうじょうふくよう)という変わった葉の付き方をします。

文字通り掌の中心辺りに枝の軸があり、指のように各方向に同一的に大きな葉を付けるのです。そのため、遠目からでも分かるほど素人でも簡単に見分けらえる程トチノキは分かりやすいです。
トチノキの葉は大人の顔位1枚の葉が大きいです。それが5~6枚程度クジャクの翅のようについています。

一目瞭然ですね。そうして木を見つけたら春には花が咲いているか確認しましょう。トチノキは小さい株では花を付けず実も付きません。
見つけた個体が10m程度の株である場合もしかすると花を付けないかもしれません。
ただトチノキは一つの株に雄花と雌花が付きますので花を確認できれば秋口には果実が見られる場合が多いと思います。
私の観察地域では数年もの定点観察をしていましたが、今年ついに花を付けて実が確認できました。
写真のものは記念に確保したものです。
雑木林に多い植物ではありませんが、植栽されたりしていることも多いので探してみてください。
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