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剪定や伐採時に植物に開いている穴は何?害虫としてのカミキリムシやタマムシ

植物を剪定したら内部に穴が?

枯れ木を剪定したり、衰弱部位を打った時にその切断面に穴が開いていることがありますよね。

枯損部を打つと、こうした空洞が見つかることが多々ある。疑問に思う方も多いのでは?

外から見たら何も問題なさそうだったのにいったいどうして?と疑問に思うかもしれません。

これこそまさに木々を加害するカミキリムシやタマムシなどの仕業です。

今回の記事では害虫記事などでは教えてくれないそれら害虫の生態を紹介していきます。

害虫としてのカミキリムシやタマムシ

切断面に穴が開いている場合に考えられる害虫はカミキリムシやタマムシです。

犯人は意外?おなじみ?なカミキリムシ。

切断した木を横から見ると木の中心に近い場所もしくは中心よりは外周で樹皮よりは内側に穴が開いていますよね。

このような症状がある場合にはカミキリとタマムシが疑われます。

害虫には健全な木を加害するものと、古い木や衰弱木を加害する者がいます。

衰弱したモミを利用するヒゲナガカミキリ

特にカミキリに関してはどちらのパターンもあるので、割合としてはカミキリの方が多いかもしれません。

これらの2種共通の加害性質があります。樹皮に産卵をし孵化した幼虫が樹皮下を利用、その後材の中心部へと移動して蛹になるということです。

つまり切断面に見られる黒ずんだ空洞というのは彼らが成虫となった痕なんですね。

非常に有名なオオトラカミキリの樹皮下の食害。蛹化前に渦巻き状に樹皮下をかじる。

内部に空洞が見られる場合には外部の樹皮にこうした丸い模様や楕円形の痕があるはずです。

これが材の中心から樹皮までを繋ぐ成虫の脱出ルートです。

木くずとうんちが混じった特有の粉、フラスが見つかることが多い

切断面に再度注目してみると黒ずんだりはしていないものの周りとは明らかに色味が浮いている箇所があるはずです。

何かが詰まった様な様子が見て取れるこの不思議な模様はカミキリやタマムシの幼虫がトンネルとして掘り進み、食べかすで埋まった痕です。

このように実は分かりにくいだけで彼らの存在を示すサインというのはたくさん見つかるんですね。

大人の前腕ぐらいの太さの枝。小型カミキリかタマムシの利用が!

次は外側から見てみましょう。

縦に切断しただけでは見えないサインもあります。

枯れた木材は当然樹皮があります。

夏頃、ムツボシタマムシやウスイロトラカミキリといった小型甲虫がきていた。おそらくそれらだろう。

この樹皮をめくってみると縦に切断した時には見られなかったミミズが這った痕のようなものがあります。

痕は段々と太くなっており、あるところで消えています。

よく見ると小さな穴が開いています。先ほど説明した樹皮下を穿孔した幼虫が材の中心部へと入った場所です。

切断面から幼虫が出てきた

この材はよく見ると成虫が出てきた丸い痕がありませんね。

つまりまだ内部に潜んでいる可能性があるということです。この潜んでいる部位が切断時の空洞となっている場所で、成虫になる場所でもあります。

写真株の枝には穴が空いているものがある。成虫がすでに出ている。

材を輪切りにしてみるとやはりその断面には詰まった木くず(幼虫の坑道)と蛹化するために掘った大きな空洞が見られました。

これは分解して細かく見た例ですが、外部に穴がある場合、切断面に空洞がある場合にはおおよそこのような幼虫側の生態が見て取れます。

写真下部と左下をよく見ると、白い粉で詰まっている穴がある。幼虫が掘り進んでフラスで塞がっている。

実際にはこの空洞内で見つかるものは樹種や伐採、剪定の時期にもよります。時期が合えば新成虫などに出会えたりもしますね。

内部で見つかる可能性があるタマムシやカミキリムシ

ここでは広い食性を持つ種類を中心に身近な種類を紹介していきます。

おなじみのヤマトタマムシは広食性でいろいろな枯れ木を利用する

タマムシ、カミキリムシは、ほとんどの場合食べる樹種が決まっているのですが、色々食べるものもいます。

その中で材の中心部を利用している大型種です。樹種が分かっているならばそれを利用する種がいるか調べる方が効果的です。

ウスバカミキリ

雑木環境や山が近く、加害が広葉樹の場合に考えられます。

自然がある環境でいろいろな植物を加害するカミキリ。材の中心が大きく食べられる。

山地の大型種の中でも普通種であり、見かける機会がとても多いです。心材部に巨大な穴が開いています。脱出痕は楕円形。衰弱~枯れ木を利用。

ヒゲナガカミキリ

針葉樹で山地に近い場合に考えられます。

巨大な黒いカミキリ。針葉樹でゴボウのような細長い木屑が出ていたら怪しい。

モミの仲間を利用する大型カミキリです。
木くずは細長く連結はしていません。産卵時に一の字で傷をつけたような痕が残り、脱出痕は丸いです。生木~衰弱、枯れた直後の木を利用。

ゴマダラカミキリ

ミカンやモミジ、ツツジの仲間などにある場合が多いです。

いい写真がないのですみません。黒字に白点が入るよくいるカミキリです。

木くずは連結しており、ところてんの様にブリブリ出ます。
脱出痕は丸いです。生木の地際など太い場所を利用

アオカミキリ

モミジの仲間を利用します。

カエデ類に残る加害痕と成虫の姿。植栽のため、どこにでもいるが、どこでも多くはない。

植樹段階で既に入っていることが多く、生木を利用する種類です。脱出痕は細くねじった様な形をしており、遠目からは細長く色が変色します。

ヤマトタマムシ

広葉樹の枯れ木を幅広く利用します。

材利用の性質を知っておくと簡単に出会える

脱出痕は楕円形。

アオマダラタマムシ

モチノキ科を利用します。

モチノキ科から脱出に失敗したアオマダラタマムシ。

お墓周りのイヌツゲなど、お見舞いや管理作業時にモチノキ科の中心に穴がある場合に考えられます。
脱出痕は楕円です。

ウバタマムシ
庭木の松など加害されることがある

マツ科の枯損部を利用します。お墓周りや庭木など、周りにマツが複数ある環境ならば平地でも見られます。脱出痕は楕円。

キノコによる穴

一部キノコはこうした枯損部意から出てきます。サルノコシカケやカワラタケの仲間などが該当します。

パンケーキのようなきのこは非常に危険。内部がすかすかになってしまうことも。

これらは最初こそ枯損部を利用しますが、やがて木材内部へと侵入し、内部を分解してしまいます。

結果、地際から倒れるなどの被害につながります。

もし木々にこうしたキノコによる凹みや穴ができていたら気を付けましょう。

以上は身近なものの一例です。切断面に大きな穴が開いていることはその地域にその樹種を加害する昆虫がいることを示し、今後さらなる加害の可能性があります。

樹種へ穿孔する昆虫側の生態を理解することで早期に発見することが可能です。頻繁に見ておきましょう。

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