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庭に掘り返された痕がある?犯人はタヌキに似たアナグマかも

庭などに穴を掘るタヌキみたいなやつ

これがアナグマ。餌が豊富な環境では昼間でもよく見かける。

山を始め自然に近い場所で畑など作物類を育てていると地面が掘り返されていることがありますよね。

犯人は誰だと気になってもなかなか姿を見せることはありません。

こういう場合はタヌキが知名度故疑われますが、穴を頻繁に掘るならばその正体はアナグマでしょう。


今回はタヌキともよく間違われるアナグマを紹介していきます。

アナグマとは?

二ホンアナグマはイタチ科に所属している哺乳動物の1種です。

小さくはないが大きくもない。この類似の仲間はサイズ感が似ている。

体色はクリーム色を帯びており、眉間にかけての白い模様と目の周りが黒いという特徴があります。

自然下では似たような動物が数種おり、名を上げるとタヌキ、ハクビシン、アライグマ、テン辺りが挙げられます。特に顔が白く見える点からザックリ区別が可能です。

体長は大人の猫ほどの大きさがあり、およそ5~60㎝程。土中に営巣する性質があり、複数の地点を結ぶようにして巣穴を作ります。

餌としては土中のミミズを始めとする生き物を食べており、果物などにもよくやってきます。

基本的には夜行性の傾向が強いですが、桑の実やヤマボウシなど果実が大量に落ちる時期には昼間にもせっせと食事をしている場面に遭遇することが多々あります。

側溝の下にアナグマ。格子から獣臭がしたら動物がいるサイン。

また、巣穴を始め暗所が好きなようで側溝に潜んでいることも多いです。側溝の各地を移動拠点として利用している節もあり、安全な通路として巣穴の入り口で休憩しているなどのんきな面を見せます。

活動期間はおよそ4月~11月中程度で、霜がなくなる、霜が降りる頃を目安に冬眠に入ります。

タヌキを始めため糞をする性質があるようで、お気に入りの場所を見つけるとその場所を定点的に使う傾向が見られます。

アナグマの雰囲気と穴掘りの犯人の一員

タヌキ、アナグマ、アライグマ、ハクビシンは山地とその麓の民家のような山と人里が連結した場所では全ての種が見つかることも珍しくありません。

里山や低山地の排水口を連絡通路としてよく利用している

山地に面したエリアでは庭や畑でこれら動物のからの被害として、穴が掘られたり作物が食べられる場合があります。

そのため、見分けは重要となります。ここでは写真があるアナグマ、ハクビシン、タヌキを紹介します。アライグマはありません。

左からアナグマ、タヌキ、ハクビシン。慣れないと見分けは難しいかも。

まず出現場所ですが、アナグマは地上にいます。ハクビシンやアライグマは木に登るのが非常に得意で、時には数m上で見かけることもあります。

フカフカとした土の上によくやってくる

しかしながらアナグマは木に登るのが下手なようで過去かなり遭遇していますが木に登る場面には遭遇したことがありません。

その代わりアナグマは鼻がとても優れています。

アナグマは鼻を利用して落ち葉をかき分け、餌となる生き物や果物を探しています。

なので鼻を頻繁に使用している場合にはアナグマの可能性が高いです。

さらにユニークな特性があります。

鈍いアナグマ?

アナグマは鼻が優れており、巣穴など暗所にいることが多いからか視力の方はあまりよくないように感じます。

夜の山道で正面から歩いてきて足の横をすり抜けていった。

これは主観的意見なのですが、アナグマは物事に夢中になっていると本当に人に気が付きません。

写真の個体は穴掘りでミミズに夢中となっている個体ですが、20分以上私の目の前でうろうろしていました。

この一枚、センサーカメラとかではないんです。止まって様子見てたらやってきた。

別の場所では桑の実を食べている個体が目先3m程の場所で私を気にすることもなく食事をしていましたし、ヤマボウシを食べている個体は足元まで来たこともあります。

アナグマは音や動くものが無ければ人を敵と認識せず、オブジェクトや木などと勘違いしている節があり、音を出さなければ本当にこちらを気にしません。

以前夜間の動物観察をしていると数10m先にシカがおり、シカの群れだ~と観察していたら足元にアナグマが歩いてきたことがあります。


さすがに私がびっくりして動いてしまったのでアナグマは逃げてしまいましたが、動かなければ気にしなかったように思います。

アナグマは大人しいのか?野生動物に学ぶ動物の本能

自然下でアナグマに遭遇すると非常におとなしく鈍感な印象を受けてしまいます。

追いかけると流石に逃げる。時折反骨精神が見られる。

しかし彼らもまたイタチ科の仲間。いざというときにはどう猛さを見せるようです。

ヤマボウシを食べているアナグマに近づいた時のことです。食事に夢中なアナグマが私に気が付くと退避行動を取りました。

背中を見せたアナグマに対し、追いかけるモードの私は強気に追いかけます。

あるところでアナグマはこちらに振り返り牙をむいて威嚇し出したのです。これにはアナグマは小さくてすぐ逃げると思っていた私もビックリ。

人間の10分の1くらいのサイズ感の動物でも、対峙されるとビビる。

思わぬ迫力にそれ以上近づけなくなってしまいました。

この経験は私自身に非常に価値のあるものを教えてくれました。

自然下では背中を見せた獣は追われるということと、対峙して威嚇すると、威嚇される側は体長で優っていても恐怖するということです。

山の動物としてクマは恐れられる対象ですが、クマに背中を見せると追いかけてくるという話があります。

こうして物理的に遮られていると、本当に何も気にしない呑気さがある。

これはまさに今回の経験の狩る側に回ったものの視点です。

そして対峙し、大きい声を出したりする威嚇行為。これもまた体格差を覆すほど効果的なものであるようです。

確かに自然下でシカやサルに対峙しても彼らは様子を伺い逃げる行動はあまりとりません。

しかしライトの光や傘を広げたり、爆竹で音を出したりすると一目散に逃げていきます。

夜の山で対峙したハクビシン。位置有利で目線を逸らさずずっと様子見していた。

きっと彼らは人というものが持つ特殊能力のようなものと勘違いして逃げているのかもしれません。

対峙した敵の行動というのは些細なものであってもそれだけ鮮明に映るのです。

話を戻しますがアナグマはかなりどう猛です。イタチの仲間だけあって牙はかなり鋭く、肉を抉るだけの素質が十分あります。

窮鼠猫を噛む。カゴ罠やネットなどに絡んだ獣は全く別の姿を見せる。非常に怖い。

ネットに絡まってしまったアナグマの救出を手伝ったとき、アナグマは複数の人間に囲まれてかなり恐怖していました。

追いつめられた獣は怖いと言いますが、まさにその通り。アナグマは短いクラッカーのような破裂音とその強靭な牙を見せつけて威嚇してきました。

これが初体験であった私は心底ビックリし、まさにビビってしまったのです!

普段あれだけ小さいアナグマが追いつめられてあそこまで豹変するとなると、野生動物の小型種でも厳しそうです。生き物は凄いですね。

アナグマの対策はとても大変

アナグマですが、縄張りではないものの一度餌場としていい場所と認識すると頻繁にやってきます。

アナグマは穴を掘り、無数の連絡口を作るという。これに加え人が作った人工物を利用し移動もする。

穴を掘れることから柵やバリケードを貼っても潜られてしまうケースが多く、ネットなどは噛み切ってしまったりと大変厄介な動物です。

私の地域と経験で行ってみたものではウルフピーやトウガラシ類は効果がありませんでした。

トラップにもなかなか掛からず、手を焼いて困ったものでしたが、ちょうどヤマボウシの果実の時期が終わると自然といなくなりましたね。

幸運な事例だと思いますが、シカやイノシシのように大型ではないので対策が非常に難しいものだと感じます。

昔読んだものでソース元が不明ですが、茨城かどこかの農家における対策で土中にかけて金属板を設置することでかいくぐりと乗り越えを防ぐというようなものを見た記憶があります。

アナグマを観察してみたいなら

色々なエピソードがあり個人的に思い入れも深いアナグマですが、自然界では比較的よく見かける動物です。

高尾の夜ではアナグマは割と見かける

探してみたいならば山地に連続した場所を探すのが最も確実です。

アナグマはシカやイノシシと比べると小型であるために痕跡があまり残りません。

もしウンチを見つけてそれが同じ場所にされているようであればアナグマの可能性があります。糞の中身に種が入っていれば更に可能性は高いですね。

また、側溝などを探すのも有効です。昼間のアナグマは隠れ家として側溝を利用していることが多いです。

しかしながら動物特有のにおいは隠せていません。そのため、動物園の香りがしたら付近に潜んでいる可能性があります。

私が見つける場合は大抵匂いですね。

思えばこれは彼らの巣穴の出入り口の一つだったのかも

夜行性のアナグマは夜に探すのも有効です。

クワやヤマボウシ、カキなどの果実が実っているならばその付近を、特にないならば落ち葉が堆積していてミミズが多そうな場所を見ていると出会える可能性があります。

夜の高尾などに私はよく足を運びますが、アナグマを始めタヌキ、ハクビシンなどはよく遭遇します。

枯葉のすれる音は、心臓が跳ね上がるようなどっきり感もありますが貴重な野生動物の観察機会でもあります。

夜の行動ならば複数人で行くことをお勧めしますけどね。

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