熱い真夏のカブクワは衰退傾向
8月、子供たちが夏休みに入ってそろそろクワガタなど探しに行こうかなという考えの方もいるかと思います。

しかし、その時期ではカブクワ採集ギリギリの終盤戦となっています。
上旬であるならばまだ間に合う可能性はありますが、中旬以降になるとかなり厳しい時期になってきますので、それ以前にこの記事にたどり着けたならば早急に探しに行くことをお勧めします。8月以前にこの記事が読めたなら今年はバッチリです。
今回は8月のカブクワ事情を紹介していきます。
8月、クワガタたちは急激に衰退
まず結論として8月の中旬ごろを境に急激にカブクワは衰退します。

これは樹液が流出していても単純にクワガタの多くが寿命を迎える時期となってくるためです。彼らのピークは6月下旬から7月中旬頃なのです。
この8月中旬以降見つかるのは♀の割合が圧倒的に多くなります。原因は不明ですが採集の現場でも♀の割合が圧倒的に増えます。
カブトムシは特にこの傾向が顕著で、中旬以降は♂が見つかるのは稀です。
とはいえ上旬ならばピーク時ほどではないものの見つけることは可能ですので、諦めずに挑んでみることを推奨します。一年後では辛いですからね。
8月のクワガタ所感
衰退していくクワガタですが、自身の経験をもとにこれまで見つけた種の所感を述べていきます。

コクワガタは長寿のクワガタであり、樹液が出ていれば9月上旬程度までは普通に見つけられます。
8月中でも外灯などに来ているものもおり、樹液の見つけ方が分かれば8月中にも十分遭遇することができます。
「大きいクワガタやカブトでなくてもクワガタが取れればいい」という場合にはねらい目と言えますね。

ノコギリクワガタは個体数が減ってきています。
しかし平地で個体数が多いノコギリもコクワと同様に8月中でも遭遇することは可能です。
個体数はもちろん6,7月に比べれば少ないですが、一応10月頭まで見つけたことがありますので、8月にこの記事にたどり着いても安心してください。

ミヤマクワガタは8月中旬以降は少ないです。
上旬までは毎年♂をいい頻度で見つけられているのですが、中旬になると急に個体数が減りはじめ、下旬以降は♀しか見つかっていません。
9月の10日辺りが2024年の最遅記録ですが、過去には10月中で2回ほど見つけたことがあります。
現実的には8月上旬がボーダーラインと言えそうですね。(東京神奈川での話です。)

ちなみにより寒い地域にも8月下旬頃に行ったことがあります。
夜の空気はその時には完全に秋となっており、遠出して見つけられなかったという苦い思い出がありますので、時期は重要です。
カブトムシは♂♀ともに8月上旬までが現実的なボーダーラインと言えます。
昔からお盆を過ぎるといなくなると言われていますが、温暖化している現在でも変わらずそのあたりを境にして姿が減ります。
平地性で個体数にそれなりに出会っているものの所感を述べました。なかなか厳しそうなことが伝わるかと思います。
メリットとデメリットも見ていきましょう。
8月のメリット
8月には一応メリットがあります。

それは大型個体に出会いやすいということです。(諸説あるが実体験として)
多くのクワガタが寿命を迎え始めるこの8月の時期には、単純に体が大きく、樹液を独占していた強い個体が生き残っているように感じられます。
また、各種クワガタには2次発生と言われる遅れて発生する個体の存在が知られており、晩夏になると新成虫がぽつぽつと見つかります。
2次発生の要因については研究などは見つからないのですが、屋外での観察と紐づけてみると中旬以降にやたら目につく♀の存在が大きいのではないかと考察します。

つまり都合よく解釈すれば、この時期に残っている♀と交尾するために遅めに出てくるのではないかということですね。
クワガタの出現は発生初期は♂が多く、のちに♀が出てくる傾向があると感じています。
カブトにも同様の傾向があると感じていますが、このズレをうまく利用しているのではないかというものです。だいぶ都合のいい解釈ですが。
もう一つは羽化が早まったのではないかとするものです。

二次発生するものとしてはヒラタやミヤマがとくに有名かと思いますが、2次発生個体は非常に大型の傾向があることはよく知られています。
クワガタの羽化の生態を見ていくと、実は彼らは本来幼虫で1~3年の月日を過ごしています。
そしてその中には当年の秋ごろに材の中で成虫となり、翌年の初夏を待つものがいます。
つまり冬場には既に成虫になっているものがいるということですね。

材から出るタイミングに何かしらの要素があり、出現する時期をずらしているのではないかと睨んでいるのが個人的な二次発生個体です。
これで考えると2次発生個体が大型になるというのもつじつまが合い、結構筋が通るのではないかと個人的には考えています。
植物の中でも狂い咲きと言って晩夏~晩秋くらいの気温の変化を翌春と間違えて咲いてしまう現象が起こりますよね。あれに近いものなのではないかと考えています。
いずれにしても8月は基本当たらないけれども当たればでかい可能性があるロマンの月と言えます。
pljbnature.com
だからこそ当ブログの高尾昆虫記でも8月に足を運んでいます。
また、夜の気温が多少落ちてくるので夜間活動については動きやすくなります。
デメリットは?
デメリットは明確で個体数がかなり少ないという点です。

6~7月を経験していると悲しくなるくらいにはシーズンの終了を痛感します。
ですが、一般層にはクワガタは夏休み期間は取れるという認識が広まっているので人はそれなりにいます。
シーズン中でカブクワよりも人を見ることの方が多くなる時期と言えますね。

クワガタが取れないと言っている方の多くは8月に頑張っているのではないかと感じる程です。
樹液も日々の強烈な暑さ故に枯れてきていることが多く、餌資源の減少も激しいです。
その中から有用な樹液を見つけなければならないため、樹種の判断や発酵樹液の見つけ方を理解しておくことが必要です。

それができても数少ない樹液は知識を持つ者によって既にばれてしまっている可能性が高く、成果に直結しにくいです。
そうじてカブクワという商品に対して求めている客が多すぎるためにバランスが崩れていると言えます。
2次発生の巨大個体を狙うならいいですが、そうでない場合にはあまり推奨しません。

ですがそれでも今年中にクワガタを見たいという場合には、所感で述べたように探すべき種を絞ることで達成可能です。
中旬以降にミヤマを探すのは東京神奈川では結構大変ですが、コクワで良いならばいくらでも間に合います。
そのように戦略を見極めて確実に知識を増やせば十分間に合いますよ。それに必要な知識は関連記事へ貼り付けておきます。
pljbnature.com
採集に関する情報はここにまとめてあります。初心者がカブクワ採集で疑問に思うことをまとめておきました。ほかでは網羅していない量があるので活用してください。
カブクワ採集の時期関連記事
pljbnature.com
初心者が知らないクワガタシーズンの始まりです。5月から取れます。この8月の記事に早めに来た方は、5~7月のいい時期にクワガタを探せます。
pljbnature.com
6月がクワガタのピークシーズンです。発生数にもよりますが、多産地では6月上旬から取れます。
pljbnature.com
8月以降の採集事情が気になる場合、個人的な経験から種毎に取れた最後の時期を紹介します。
pljbnature.com
晩夏の二次発生が気になる場合にはそれを考察する記事がおすすめです。あくまで個人的な意見です。
pljbnature.com
ヒラタについては二次発生の根拠となる物を見つけました。それをもとに人気クワガタの採集時期について考察します。