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アミガサタケの乾燥方法。天日干しでうまみを濃縮&おすすめの食べ方

春の高級食材、美味しく食べるために

知る人ぞ知る春の珍味、アミガサタケ。

アミガサタケ。人工栽培の成功例もあるが、未だ味わうには知識をつけて取るしか無い。

環境さえ見つけられれば意外とまとめて採ることができることも多く、運よくそうした幸運に恵まれたらおいしくたべたいですよね。

今回はアミガサタケを美味しく食べるために必要な乾燥などの処理方法をお伝えします。

アミガサタケとは

アミガサタケはアミガサタケ科に所属するキノコの仲間です。

黄色っぽい柄とシワシワの頭が特徴的

いくつかの種類が見つかりますが、柄があり傘の部分が荒いメッシュのような形をしたキノコの総称と捉えるのが分かりやすいかと思います。

アミガサタケは詳細がいまだにつかめていないキノコであり、現在でも腐生菌(植物遺体などを分解する)か菌根菌(植物と養分を交換)なのかもわかっていない不思議なキノコです。

一般的には桜やイチョウと言われるが、樹木の幅は広く植栽の針葉樹類などでも発生する

傾向として桜の木やイチョウの木で見つかることが多いとされています。


主要なカテゴリーとして傘が黒いブラックモレルと黄色いイエローモレルがいます。

地域柄なのかブラックモレルにはほとんど出会わない

モレルとはアミガサタケの英語圏の名称であり、モレルやモリーユと呼ばれ現地では高級食材として親しまれています。

近年人工栽培下で栽培に成功した事例も出てきており、今後目にする機会が増える可能性に期待がかかるキノコです。

アミガサタケは乾燥させるべき

キノコのうまみを引き出すにはキノコを干し、60~70度程度の温度で抽出した後急速に冷やすのが重要です。

一般的にキノコは干すのがおすすめされるが、その理由は旨味を分解しないためにある

なぜなのかを紐解いていきましょう。


キノコを始め乾燥させると栄養が増えるという話はよく聞きますよね。

シイタケを例にとればビタミンDが大きく増加するという話が有名ですが、その栄養以外にもうまみ成分が増加するという話も聞くかと思います。

うまみを抽出するためには冷水で24時間抽出するなども聞きますよね。

天日干しは至福の瞬間。焼き肉でお肉を育てているようなもの。

アミガサタケのうまみ成分はその詳細は不明ですが、webで目につくものではグアニル酸とアデニン酸であるようです。

グアニル酸はシイタケでおなじみのうまみ成分であり、アデニン酸もキノコ類には広く含まれています。

ということは生のアミガサタケに毒の成分があることを除いて、およそ他の乾燥キノコと同様の方法で良いものと考えられます。

旨味の成分はシイタケと似ているようだ

これらのことからアミガサタケを乾燥させてうまみを抽出するには、シイタケと同様の方法で引き出せるのではないかと推測します。

基本的な下処理として採ったアミガサタケはしっかりと水につけることをお勧めします。

半分に切ることを推奨。中から色々出てくる。ナメクジとかもいる。

袋状になるアミガサタケは内部に虫がたまっていることもとても多く、ムカデやハサミムシなどが出現したことがあります。

水洗いをしたらザルなどにのせて天日干ししていきましょう。

なるべく干してる間は日に当てたい

天候には注意が必要で雨や曇りなど気温が高く湿度がある日が続く中で外に出しておくと腐る可能性があります。3~4日ほど干したいので天気は確認しておきましょう。


乾燥させることでキノコの細胞が破壊されてうまみのもととなるグアニル酸やアデニン酸が作られやすくなります。

乾燥アミガサタケが高い理由はこの縮み具合にある。悲しいぐらい軽くなる。

このうまみ成分ですが、キノコ自身に含まれているのはもちろんなのですが、RNA(リボ核酸)が分解される過程で酵素の力によって生成されるという性質もあります。(うま味の量を調理技術で科学的に増やせるということです)

乾燥キノコの過程を経るのはうまみ成分を作り出す成分を増やすという目的もあるのですね。

抽出温度が高いとそれだけで旨味成分が分解される

リボ核酸からグアニル酸を作り出す酵素は60~70℃で活性するのですが、逆に分解する酵素もあり、それらは35~50℃(中性~微アルカリの場合)で活性化します。

乾燥させずに調理してももちろん美味しいので、より美味しく食べるならば冷水で抽出しようという話

これを裏付けるものとして きのこの調理ーシイタケを中心にーという 日本調理科学会誌の教材研究の中で60℃というリボ核酸分解酵素が活性する温度帯でのグアニル酸などヌクレオチド類(これらうま味成分をヌクレオチドという)の抽出液中の量がシイタケ組織中の量を上回っていることを報告しています。
(実験ではすりつぶした生、乾燥シイタケと切れ込みを入れた生、乾燥シイタケを利用して比較しています。)

要するに酵素活性の温度下では、シイタケが保持していた以上の旨味成分が作られていたということです。

乾燥しても影響があるというのが面白い特徴。

難しいのは酵素は乾燥中でも生の状態でも生きているということで、分解酵素は前述の通りぬるい温度帯で活性を示します。

シイタケ組織中で抽出されたうま味成分はシイタケ組織内からにじみ出ると速やかに分解されて無味の成分へ変化して今うため、即座に抽出することが望ましいのです。

そこでキノコを乾燥させることが生きてきます。

乾燥により細胞が破壊されるので成分が素早く出る

同会誌の記事内にて乾燥シイタケと生シイタケの液体中への成分の溶け込む速度を比較すると、同じ値に到達するのに乾燥の場合で6倍以上速いことが記されています。

そして液中では分解されないということも分かっています。

ですからうま味成分を抽出するには細胞が破壊され、抽出が速くなる乾燥の方が有利なのです。

量の減少は悲しいが、香りや味が美味しく感じられるので乾燥させるのがおすすめ。

まとめるとグアニル酸は常温でグアニル酸を分解する酵素が活発となるため、常温やぬるい水で抽出をするとせっかくのうまみ成分が分解されてしまうことになります。

なのでグアニル酸を増やす酵素が活発となる60~70℃の温度帯で抽出しましょうという話になるのですね。

調理してみた&調理の注意点

さて乾燥キノコのメカニズムを理解したものの、私が実際にアミガサタケを調理したのは1~2年ほど前なのでそんな手間はかけていません。

乾燥させてない場合の毒抜き中。換気扇ガンガンに回して茹でるだけ。

それでも美味しいのですから極上を求めないならば気にしなくても良いということです。

美味しいアミガサタケですが、生のものは中毒を起こすため調理には注意が必要です。

毒性分は水に溶けやすく気化しやすいため、10分ほど換気扇を回しつつ煮てあげれば毒は抜けます。

キノコ感を味わいたいならば生の調理がおすすめ。独特の触感が楽しめる。

抽出液に何か溶かしたりしなくても問題ありませんので、煮沸と気化だけはしっかりしましょう。また、あまりにてないですがシャグマアミガサタケという猛毒種があります。

似てないのですが、姿がどんなものか知っておいた方がよいでしょう。

生版のアスパラベーコンアミガサタケのクリーム煮。見た目に対して旨味が凄まじい。

アミガサタケですが、有名なもののクリーム系との相性がいいです。珍味であるアミガサタケを使う場合には食材はちょっといいものを使うことをお勧めします。

これは別の年の乾燥させたやつ。アスパラベーコンとの相性が良すぎるので試してほしい。これにコンソメをいれる程度で十分。

乳脂肪分の高い生クリームやいいお塩を使うとアミガサタケのいい味が引き立ちます。

この時は同じく乾物であるベーコンと野菜の中でもうま味の強いアスパラガスを使いクリーム煮にしました。

他のうまみとかけ合わせればだいたいどうやっても美味しいので、濃厚系で調理してみてください。

乾燥アミガサタケの保存期間と風味の保持

乾物はシリカゲルと密閉して置いておけばかなりの長期間保存がききます。

カラカラにして密閉。乾物食いの雑虫や乾燥不十分のカビに注意。

天日干しでカラカラに干している場合には私の管理のもとでは2年は大丈夫でした。

しかし色合いや風味は置けば置くほど悪くなっていきます。美味しく食べるならばなるべく早めの方がいいでしょうね。

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