クワガタかと思ったら違和感
クワガタを見つけて大喜びしていたら、なんだか違和感を覚えることがありませんか?

クワガタってこんな感じだったと思うけど、これって本当にクワガタ?と疑問を感じることがありますよね。
そこで今回はクワガタみたいな姿をした虫をピックアップして紹介します。
クワガタみたいな虫とは何か?

これは昆虫の種類を問わずクワガタの代名詞ともいえる大きな顎があるものや、♀のような小さな顎があるもの、姿が黒いものなどを今回は指します。
この特徴だけに注目すると意外と似たものも多くなってしまうため、甲虫の仲間に絞って今回は紹介していきましょう。
クロカミキリ
夜の外灯などで遭遇することがあるクワガタそっくりな虫です。

カミキリムシ科の昆虫ですがその姿は我々がよく見る物とは異なっており、顎の形がクワガタっぽく大きく開く特徴があります。
体長は約3~4㎝前後とよく見かけるコクワガタのサイズ感とも似ており、黒い体と顎で判別している場合に間違える可能性が高いです。
識別点としては体が縦に細長い点と触覚がカミキリムシらしく非常に長い点が挙げられます。

特にクワガタの♀と間違えやすいので気を付けましょう。
毒は無いですが噛まれると痛いです。
針葉樹を利用するので広葉樹林で遭遇することはありませんが、山地などで針葉樹と広葉樹が混じっている環境ではカブクワに混ざって出現します。
コカブト
コカブトはコガネムシ科カブトムシ亜科までカブトムシと同じレベルに所属する甲虫です。

ここからカブトムシはカブトムシ族、コカブトはコカブト族に分かれます。
♂には小さいながらも角が生えており、ミニチュア版カブトムシのように扱えなくもないですが、それほど多い虫ではないのでその存在は知られていません。
そのため、黒いコガネムシの何かとして扱われています。

♂には角に加え胸部が凹むという特徴があり非常に分かりやすいです。♀はカブトムシの♀をカブトムシの極小個体よりもさらに縮めたような姿をしています。
知らなければカブトムシの小さなメスとして喜んでしまうかもしれません。
こう見えて肉食性の昆虫であるため、虫の死骸を食べたりします。
クロカナブン
クロカナブンはコガネムシ科の昆虫で、どちらかというと山地に出現するカナブンです。

艶のある真っ黒な姿をしており、遠目でみたり、下から木の上の樹液を眺めているとクワガタと勘違いするケースが多々あります。
平地にいることはあまりなく、出現もいわゆる通常のカナブンやハナムグリに比べると遅い傾向が見られます。
観察下では7月中旬ごろから目につくようになり、8月などの夏後半ごろによく目にします。
カナブンを知っていれば黒いカナブンなので見分けがつきます。頭部が四角く前に突き出しているのでそこを確認しましょう。
ヨツボシケシキスイ
クワガタの♀らしい昆虫です。

上の昆虫たちがコガネムシ科なのに対しケシキスイはケシキスイ科です。
顎にはクワガタの♀を連想させる顎があり、見た目は非常にかっこいいです。
一方で見分けポイントも非常に簡単で、サイズが1㎝程度と非常に小さいことと背中に4つの赤い星があることで簡単に見分けられます。

クワガタを本当に知らない初心者が樹液にいるヨツボシケシキスイを見つけると間違えてしまうかもしれません。
樹液で見つかることが非常に多く、クワガタのいる樹液にはだいたい本種がいます。
キノコムシの仲間
キノコムシはオオキノコムシ科の昆虫です。

通常キノコ類を捕食するため、樹液にて見つかることはありませんが、枝枯れや部分枯れしているクヌギやコナラにて同所に見つかることがあります。
キノコムシの仲間はクワガタサイズのものにはほとんど赤やオレンジ色の模様があり、一見してクワガタではないと見抜けるものですが、初心者の中にはクワガタの♀のように見える方もいるかもしれません。
ゴホンダイコクコガネ
ゴホンダイコクコガネはコガネムシ科ダイコクコガネ亜科の昆虫です。

コガネムシ科なのでカブトムシには似ています。
♂にはアトラスカブトのような角があり、1本の大きな角とトリケラトプスのような4本の盾状の角があります。

サイズが非常に小さく、体長は1~1.5㎝なので間違えることは無いのですが、カブトムシを知らない場合に外国産カブトムシを捕まえたと嬉しそうに持ってこられるケースがありました。
樹液に来ることは無く、動物のウンチを食べています。
外灯によく飛来する傾向が見られ、新成虫の出現はおよそ8月頃からピークを迎えます。
晩夏に動物がいるような地域で外灯採集をしていると見かける機会が多くなる虫です。
ナガヒョウタンゴミムシ
写真が取れたら載せます。
ヒョウタンゴミムシはオサムシ科の昆虫です。
平べったい姿と大きな顎を持つことからクワガタと間違って捕まえられているケースはクロカミキリと並んで多い昆虫と言えます。
有名なヒョウタンゴミムシ(クワガタに似た虫として有名)は海岸などの砂地に出現する昆虫であり、多くの方になじみがないものです。
公園やその辺で見られるものとしてはこのナガヒョウタンゴミムシが挙げられると思います。
これはよくクワガタと間違われています。クワガタをたくさんとったと言う子の虫かごを見たらナガヒョウタンゴミムシだったということがありました。
似ているのですが平地で見られるクワガタと比べると体が細長いこと、腹部と胸部の隙間が広いこと、地面を歩くため、かぎ爪が発達していないことなどを参考にすると見分けやすくなると思います。
本種は地上を徘徊しているので、その点もポイントとして分かりやすいですね。
クロシデムシ
シデムシ科の昆虫です。

外灯に飛来することがあり、外灯採集をしているときにクワガタの♀らしき名の分からぬ虫として見つかることがあります。
腐肉食であることから樹液で見つかることはありませんので、この虫が見つかるのは外灯採集の時になります。
この虫は眼がカブトムシっぽく、サイズはクワガタっぽいです。
そのため、見つけると両者の中間みたいな虫を見つけた感覚になります。

判別としてはシデムシ類であることから体にダニ類がついていることが非常に多いことが挙げられます。また、触覚と前足の先端付近が黄色になるという特徴があり、カブクワにはこの特徴がないため見分けられます。
遠目から地面にいるクロシデムシを見るとカブクワにしか見えず、よく騙されます。
ハンミョウの仲間
ハンミョウはオサムシ科ハンミョウ亜科の昆虫です。

樹液には来ないのですが、種により黒いものがいて大あごを持つため、間違われる可能性があります。
出現環境は砂地や裸地であることが多いです。

動きが非常に素早く、素手で捕まえられることはあまりありません。飛べますが基本的には地上を素早く徘徊しています。
大あごはナミハンミョウのものでは非常に痛く、一度挟まれたことがありますが大人でも痛かったです。
ユミアシゴミムシダマシ
ゴミムシダマシ科の昆虫です。

部分的に枯れた枝や木があると樹液の出ている木にいることがあり、遠目でカブクワと間違えるケースが採集慣れしていてもあります。
成虫は主にキノコ類を食べていると思われ、枯れ木に発生する菌類に集まる様子をよく見ます。
顎を除いて雰囲気がクワガタに似ていますが、足が非常に長いです。

また、ヨツボシケシキスイのように顎があるわけではないので顎の有無とついている場所が枯れ木やキノコの周辺ではないかを確認して見分けましょう。
遠目だと分からないことがよくあります。
ということで今回はカブトムシやクワガタ、その♀に似ている虫をピックアップしました。
他にもいるのは間違いないですが、身近でよく目にするものを上げました。
個人的にはクロカミキリとナガヒョウタンゴミムシは特に間違えやすいものかと思います。
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