お馴染みのいつものやつ
町中から山地までかなり広い範囲で普通に目にすることができるアゲハチョウといえばナミアゲハです。
黄色と黒の色合いを持つアゲハには類似種のキアゲハを含めて計2種がいますが、より広範囲で目にすることができます。
その大きさから見つけてよし、捕まえてよし、飼育して自由研究にしてもよしな万能昆虫であるナミアゲハの魅力を紹介していきます。
ナミアゲハとは?
ナミアゲハはアゲハチョウ科に所属する蝶の仲間です。
季節型として春型と夏型が知られており、体長は春型の方が小さめ、夏型が大きめです。
サイズの目安としては春型で大人の手を手刀にした指位、夏型はその1.2倍ぐらいです。
成虫はおよそ春から秋口にかけて高頻度で出現し、年に5~6回ほど出現するタイミングがあると言われています。
幼虫はミカン科の樹木を利用しますが、園芸用のミカン科を利用できる性質も相まって町中のミカンを食草として発生しています。
これにより都市部でも比較的見る機会が多い蝶と言えます。
ナミアゲハとキアゲハ
ナミアゲハに似た種類としてキアゲハが挙げられます。
この2種は色味が似ており、飛翔レベルでは見分けられないことがあります。
キアゲハの方が大型であり、黄色みもキアゲハの方が強いです。
確実な判別ポイントとしては成虫が産卵のために訪れている植物の種類と、食事時、静止時、捕獲時に前翅の付け根の模様を確認することです。
ナミアゲハは線状、キアゲハはメッシュの模様をしています。
ナミアゲハの幼虫
ミカン科に幼虫がついており、それが何アゲハの幼虫なのか知りたいという場合もあるかと思います。
ナミアゲハはアゲハ幼虫の中でも特に見分けやすいので初心者でも判別が可能です。
まず幼虫は最初の内は鳥のフンに擬態しています。
この段階では臭角というにおいを出す角の色位でしか判別は難しいです。
臭角については黄色をしているのがナミアゲハの特徴です。
町中で目にする機会が次いで多いクロアゲハやナガサキアゲハは赤やオレンジ色をしているため、簡単にわかるはずです。
ある程度の大きさからナミアゲハの幼虫はお馴染みのヘビ擬態の姿へと変化します。
この際には同じく臭角の色と、足の部分に注目してください。
足回りに囲むような白模様があるのがナミアゲハの特徴です。
ナミアゲハの食草探知と色探知
町中でナミアゲハを見かける時はふらふら飛翔しているときと、赤色の物体に来ているときと、ミカンに来ているときが挙げられるかと思います。
このうち赤色とミカン科に来ている理由については明確な理由があり、面白いので紹介します。
まずアゲハチョウには色の学習機能があるというユニークな性質があります。
これは捕まえた蝶に色紙と共に餌をあげるとその色から餌が取れると学習する研究から明らかなのですが、特に春の個体はツツジから蜜が取れることを学習しているようで、赤系の色が多いツツジから学んで赤色を餌場と勘違いしてやってきます。
町中の赤といえばポストとかセブンイレブンなんかもありますが、たまに誘引されてきているのが面白い所です。
アゲハチョウをやる方は赤色の網を使うことがあります。これはその性質を利用した採集方法なんですね。
ちなみに秋にも赤に来ます。ヒガンバナから学習しているようです。
ミカンにはミカン科が放つ物質を探知していることが考えられます。
チョウの仲間には前足に特殊な感覚器官をもつものが多く、卵を産み付ける植物が本当に幼虫の食べる物か探る能力があるそうなんです。
蛾の仲間などは空中でぷりぷり散布したりする破天荒なものもいますが、アゲハの仲間などよく観察すると産卵時には必ず足で植物を確かめてから産卵しています。
アゲハチョウ採集に挑戦
ここからはアゲハを捕まえてみたい方向けのアドバイスです。彼らの性質を利用した待ち伏せ型の採集がおすすめです。
春や秋は赤色の系統のお花で待ち伏せしてあげるのがおすすめです。
特にツツジとヒガンバナはその時期のベストスポットと言っても間違いないほどの吸引力があります。
アゲハチョウはミカン科を利用していますのでミカンのあるお庭や畑が近くにあり、赤系のお花があるような場所だとますます見かける頻度は増えるでしょう。
もし山地に足を運ぶ機会があるならば吸水する彼らの性質を利用するのもおすすめです。
ただのお水ではなく、湧き水である必要があることから地形を読む力は必要となります。
しかし大抵の場合高度が急になっている場所から水は沸いているため、山地でそんな場所があれば行ってみましょう。
日当たりが良ければたくさんのアゲハチョウが集まっているかもしれません。
また、いるかどうかわからない場合にはミカン科の葉を確認します。
幼虫特有の円月状の食痕や幼虫がいる場合などにはアゲハチョウが発生しているはずです。
タイミング次第では周辺で出会えるはずです。
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