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樹皮そっくりのカミキリムシ。ゴマフカミキリの仲間と擬態戦略

樹皮をよく見たら動いている虫が?

初夏から夏にかけてはクワガタなどのために樹皮を見る機会が増えますよね。

知られていないが町中の公園レベルでも見つかるゴマフカミキリの仲間

昆虫居ないかな~と眺めていると、樹皮が動いている!?

よく見ればカミキリムシがいたという経験は多くの人がしているのではないかと思います。

今回の記事ではそんな樹皮そっくりのゴマフカミキリの仲間たちから数種類を紹介していきます。

ゴマフカミキリの仲間とは?

ゴマフカミキリと付くカミキリムシはフトカミキリ亜科の仲間に所属しています。

ナガゴマフカミキリと思われる個体。木の種類によってはここまで溶け込む。

そのため体系は細長いというよりは丸目で、体の厚みが強いものがほとんどです。

多くの種類が樹皮そっくりの見た目をしており、幅広い樹種を利用するものは色々な木々に溶け込める茶色や灰色を、特定樹種に依存するものはそれらの樹皮にそっくりな見事な擬態をしています。

枯れ木、枯れ枝、木の死んだ部分を見るのがコツ

枯れ木利用のものが多く、立ち枯れ、倒木、生木の部分枯れ、枝枯れ、落ち枝などなどから見つかる他、土場でもよく見られます。

とても見つけにくい昆虫なので事前にそういう虫がいることを知っていないと遭遇することは難しかったりします。探す環境が生きた木ではないのもポイントですね。

ゴマフカミキリの仲間と擬態

平地を始め最も身近に目にするゴマフカミキリのものとしてはゴマフカミキリ、ナガゴマフカミキリ、カタシロゴマフカミキリがいます。

ゴマフカミキリ(左)とカタシロゴマフカミキリ(右)

雑木林環境があれば見つけられる可能性があり、昨今ナラ枯れによって枯れ木が増加している影響かより目にする機会は増えたように感じます。

ゴマフカミキリは隠れ家の無い枯れた木を生活圏として利用します。

半分枯れた新鮮な材が人気。

人では想像しにくいかと思いますが、樹皮を食い、樹皮下に産卵します。

その活動のほとんどを枯れ木の上で過ごす彼らにとっては鳥を始めとする天敵の目を避けるために葉などに隠れて過ごすことができません。

恐らくそのような状況下で生存率を高めるために、樹皮にそっくりな色合いへと進化したのでしょうね。

目線の高さにいた個体。体高があるので幹の突起を青空で透かすのも有効。

立ち枯れに来たゴマフカミキリの仲間は視線と同程度~目下にいると分かりやすいのですが、上を見上げるような形だとまず見つかりません。
枯れた部分を網で叩いてみたり、枯れ枝を掬ってみると入ってくることがあります。


驚きの擬態ですよね。ナガゴマフカミキリと思われます。

こちらは人工物上に来たゴマフカミキリ。樹皮の上にいなければかなり見つけやすいです。

特定種に擬態しているゴマフカミキリ

ゴマフカミキリの仲間には平地では見られないような種類もいます。

ブナ帯の美麗種。見つかると嬉しい種類。

代表種がブナ帯でよく見られるヒゲナガゴマフカミキリです。

ブナやイヌブナを利用する種類で、これらの樹皮が白いことから白地に黒点というかなりユニークな見た目をしています。

寄生樹種のイヌブナとヒゲナガゴマフカミキリ。

ゴツゴツした雰囲気などはまさに樹皮擬態のゴマフという感じですよね。

夜の高尾ではそこそこ出会えます。

その他私が挑戦しているメディオことヨツボシシロオビゴマフは写真こそありませんが、針葉樹を利用し、褐色腐朽菌に浸食された針葉樹の枝そっくりの見た目をしています。

褐色腐朽菌に分解されている針葉樹の枝を利用する生態があり、体色がにている

高尾よりより原生林よりのブナ帯ではマダラゴマフカミキリというブナそっくりのものがおり、山地のクルミなどにはフタスジゴマフカミキリという種類が局所的に居るそうです。

それらがメディオ、ポエキラ、クリブラータという学名由来の名で愛称として呼ばれており、カミキリやが憧れる3種の珍品ゴマフとして扱われているんですね。

このように身近から高山地帯まで楽しめるのがゴマフカミキリの仲間であり、その樹皮擬態の能力に関しては他の虫ではなかなかに楽しめない魅力があります。

メディオはかなり難しいようですが、もし取れたら紹介しようと思いますので、皆様もゴマフカミキリの仲間に挑戦してみてください。

期間も比較的長いので楽しいですよ。見つけるのは大変ですけど。

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