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黄色や赤色の翅をもつ蛾の仲間は?キシタバやオニベニシタバの紹介

鮮やかな色を持つ蛾は何

思わず見入る美しい翅が特徴的

蛾の仲間は地味な印象が強いかと思います。

しかし中には派手な色合いを持つ者がおり、カトカラの愛称やヤガの仲間として大変人気が高いカテゴリーだったりします。

基本的には夜行性の傾向が強く、たいてい樹液などにやってくることから遭遇するには昆虫採集を行う必要がある場合が殆どです。

しかしながらそれらの活動をしていたり親子で夏の夜だけでも行動していると見かける機会は多く、甲虫以外の虫への興味を持つきっかけとして大変優秀な役割を果たしてくれます。

カトカラとは

カトカラはヤガ科のシタバガ亜科に所属している蛾の仲間の愛称であり、彼らの学名の一部から名づけられたものです。

実は普段はこんなに地味な姿をしている

後翅に派手な色を持つ特徴があり、成虫は夜間樹液に訪れます。

キシタバの仲間やベニシタバの仲間、シロシタバやムラサキシタバなど後翅の色合いによりおおよそ名前が特定できる特徴があります。

ここからさらに○○キシタバ○○ベニシタバなど分かれていくわけですが、どの種も大変美しく、蛾の魅力を知るカテゴリーとして大変人気の高い仲間です。

発酵樹液では場所によりクワガタより見つかる

成虫はおよそ5月~10月頃に見られるものが多く、夏の夜に樹液を訪れてみればカブクワと共に見つかる場合が多いです。

樹液を訪れているときには必ずしも美しい翅が見えているわけではなく、大抵の場合には樹皮そっくりの茶色をしています。

前翅を開くかどうかでこの差。印象がガラリと変わる。

虫の見つけ慣れていない方には見事な擬態で見逃されてしまう可能性もありますが、飛翔や翅を開いていれば即座にカトカラの仲間だと分かるはずです。

幼虫は種により異なりますが食草はハッキリとしており、身近な種ではクヌギやコナラ、ウワミズザクラなど雑木の普通種を利用しています。

キシタバの仲間

雑木林勝つ樹液で最も普通に見られるカトカラの仲間です。

キシタバの仲間。樹液に訪れるが、黄色い羽の黒模様が違う。

成虫は早いと5月下旬ごろから見られ、特にかつて希少種であったフシキキシタバは生活が分かったからか急に見つかるようになりました。

雑木林内を飛び回る黄色い翅の蛾は非常に目立ちますが、樹液をにぎわせてくれる昆虫でもあります。

クワガタと共に移る風景は年に数回は見ておきたい景色ですね。

キシタバの仲間は前翅は茶色、後ろは黄色と共通しています。

写真ストックのあった2種。黄色に入る黒模様が違う。

しかし黄色に入る黒模様が種毎に異なっており、熟練のカトカラマニアは平然と見分けるようです。

キシタバの中でも出現時期は微妙にずれているようなので、クワガタの出現時期である5月下旬~8月くらいまで意識して探してみれば目につくはずです。

シロシタバの仲間

後翅が白いシタバガの仲間です。平地で見つかるものはコシロシタバが多く、山地に行くとシロシタバが見つかります。

コシロシタバ。控えめな主張が可愛らしい。平地でもよく見る。

コシロシタバは真っ白という感じではありませんが、ムラサキっぽい翅に白模様があり可愛らしいです。

この種類ならば身近な雑木でも見つかるはずです。

一方で巨大種となるシロシタバは山地性が強く、その利用樹種はウワミズザクラです。

ウワミズザクラの花。シロシタバはこの葉を食べて育つ。

低地ではなかなか見られない植物である都合上私も遭遇回数は少なく、また、当時蛾に興味が無かったので写真はありません。

ベニシタバの仲間

写真がありません。オニベニシタバはクヌギやコナラ利用であるため、平地でもよく見つかります。

それ以外のエゾベニシタバやベニシタバはヤナギ利用であることから河川敷及び標高の高い場所に出現するため、遭遇難易度の高い種類です。

相模川にて一度エゾベニシタバらしきカトカラに遭遇したのですが、真紅ともいえる翅の美しさに感動した覚えがあります。採れませんでしたけども。


カトカラっぽいカトカラじゃない蛾

同じような傾向を持つ者のカトカラではない種類もいます。やはり人気が高い種類です。

後翅が美しい大型種。カトカラではないが、個人的には同じカテゴリー。

ムクゲコノハはカトカラよりも巨大で開帳時に8㎝程度物大きさがあります。翅の色は後ろのみオレンジをしていて、黒い目玉模様があるという特徴があります。

類似種がおらず夏の雑木林で遭遇できるため、やたらと印象に残る蛾ですね。

アケビコノハはムクゲコノハに似ていますが、前翅も枯葉に擬態している面白い違いがあります。

キシタバみたいな黄色模様が目立つ大型種。カトカラではない。

後翅は黄色をしており、勾玉のような黒模様が見られます。

この2種はカトカラに似たより巨大種ということで見栄えもよく人気が高いです。5月~11月頃まで見られるため、屋外で活動していると遭遇する可能性がありますね。

フクラスズメは翅こそカトカラなのですが、カトカラではありません。

フクラスズメは体高もあり、もふもふ感が強い。しかし翅にはカトカラのような光沢がある。

食草が普通種で数も多いことから産地では見かける機会がとても多い種です。

翅には紫色の小さな輝きがあり、地味な見た目からいい方に裏切られる蛾です。成虫越冬のため、秋~翌春まで見られる可能性があるのも素晴らしいです。
そしてもふもふでかわいい。

蛾は複雑ですが色付きの蛾で特に後翅に模様がある種類は多くありません。しかしカブクワのついでに見られるので興味の対象をぜひ広げてみてください。

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カトカラのような美しい翅を持つ大型種、アケビコノハの紹介です。晩秋頃まで見つかります。
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カトカラに遭遇するにはカブトムシを探すのと同じ戦略が有効です。樹液があればいますからね。