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ヤマビルの活動期間は2月から11月。実体験の出現時期と対策も紹介

山の厄介者、ヤマビル

生き物好きな私もヤマビルは嫌いです

およそ春から秋にかけての長期間、動物密度が高い場所ではヤマビルというなめくじとシャクトリムシを混ぜたような奇妙な生き物が目につきます。

多くの登山者や自然下での活動をする者から嫌われていると思われるこの生物ですが、私も当然嫌いです。

そこで人一倍ヤマビルに気を配っている私が過去の経験からヤマビルを見かけた時期について紹介していきます。

高山など当てはまらないケースもありますが、参考にしてください。

ヤマビルとは?

ヤマビルはミミズやゴカイなどと同じ環形動物の仲間であり、その中のヒルド科に所属する生き物です。

強烈な吸盤を2つも持ち、超スピードで移動してくる。

陸生の哺乳動物から吸血する生態を持ち、生活環境も陸地です。

この点が盲点であり、ヒルの仲間には水中にいる吸血性種のチスイビルなどの印象も強いため、陸地で襲われて驚愕する人も多いです。

体長は大きいもので最大伸長時に5㎝近いものもおり、小ヒルの5㎜程度のものから数多くの体長を見せてくれます。

体はヘアバンドの様に細いですが前後がしっかりとあります。

後ろが特に強い。これにより頭側を常に持ち上げ、鰹節のように頭を振って待機している。

お尻側は非常に強烈な吸盤となっており、ゴム製品はもちろん化学繊維などもお構いなしに登頂できる能力があります。

前側は口と吸盤を兼ねており、ヤマビルは前後ろ両方の吸盤を器用に使って上ります。

乾燥には非常に弱く、常に湿度がある環境に出現します。

日の指さない場所、地表にものが堆積している場所、植物が覆っている場所などによくいる

特に地面にふたをして保水機能を助けてくれる落ち葉の積もった環境や杉の葉などが堆積した環境、地下水が集まりやすい傾斜のある場所や沢沿いの周りで大量の個体を目にします。

ヤマビルの出現時期について

webや各種登山口の看板などを見ると4~10月程度の時期にヤマビルに気を付けてくださいという表記が見られます。

ヒル情報がある場所では常に警戒するのが正解

その時期は確かにシーズンに入っています。しかしいつから出始めるのかは分かりませんよね。

個人的な経験としては湿度のある陸地では3月10日ごろ、沢沿いなどの動物密度が特に高い所では2月の末頃、山中の登山道では3月20日ごろから目にします。(地域にもよるので目安として)

湧き水のある環境。山地沿いでは湿り気のある場所はヒルがいる。緑の場所にはいた。

遅い時期では11月の15日頃まで活動しているのを確認しています。

ヤマビルの活動にはおそらく湿度と気温がトリガーとなっていると考えられます。

気温はおそらく地表の最高気温(日中気温ではなく差し込む日差しによる地表の気温)に湿度(地表の具体的な湿度は不明)が絡んでくると思われます。

早春の虫、ビロウドツリアブが出てきたらいよいよヤマビル。

気温が高くても雨が降らずに湿度が低ければヤマビルは出現しません。乾燥している場合にはヒルは3月に見た場所でも4月の下旬まで見ませんでした。

このことからヤマビルの出現の有無を判別する場合には何月という基準ではなく、日中の最高気温と前日を始め直近に雨が降ったのかどうかを基準にするのが良いかと思います。

12℃程度になると足元を警戒する必要が出てくると個人的には考えます。山中は日影が多く地表はこれを下回る場合も多いので、参考程度にしてみてください。

ヤマビルを避ける方法

これについては前述の通り湿度を避けることです。

ヤマビル生息エリアのこんな場所は顔が歪んでしまうくらい苦い思い出がある。

春の4月下旬以降となるとゲリラ豪雨や雨の頻度が増えてくるので物理的にヤマビルを避けるのは難しくなってきます。

しかし早春の3月や初冬の11月中旬ごろであれば晴れが続き地面が乾燥しているケースもあります。

雨がなく、地面が乾いていれば日陰でも5月頭くらいまでは少ない

そういう日が続いた後であればヤマビルの出現期であっても快適に山登りが楽しめる可能性が高いです。最近は該当期でも局所的に暑い日があるので雨直後では例外的に襲われる可能性があります。

快適に散策するためにも想定しておきたいですね。

ヤマビル対策アイテムのおススメ

そうはいっても想定できないのが自然です。

究極のアイテムと言える。

これらギリギリな時期以外にもヒルがいる場所へ活動するならば対策アイテムは必須です。

私のおススメはお馴染みのヤマビルファイターの業務用版です。

ヒル対策アイテムとして挙げられるのはおおよそヤマビルファイター、ヒル下がりのジョニー、にがり系商品or食塩系商品だと思います。

このうちにがり、食塩系は防除という点では付着の持続性という点で弱く心もとないです。

現実的な防除品としてはヤマビルファイターかヒル下がりのジョニーになりますが、これは大人ならばヤマビルファイター、子供ならばジョニーで使い分けるのが良いかと思います。

なぜかについては別記事でも考察していますが、含有成分のディートに子供への使用制限があるからです。

一方でこれらの商品は使用したけれども効果が無かったという方もいるかと思います。

そんな方にお勧めしたいのがヤマビルファイターの業務用版です。

業務用は高いが大容量で、ノズルの形態が違うのがポイント

結論としてヤマビル対策としてヤマビルファイターはすこぶる優秀なのですが、携帯版には欠点があります。

それを克服している業務版の利点は以下の通りです。
大容量につき、ケチらずに使える
優秀なスプレーによる広範囲の拡散で靴への噴霧に抜けが無い
薬品が手に付かない

また、ヤマビルファイターを使ったことのない方向けに説明するとヤマビルファイターは害虫忌避効果の強いディートをマイクロカプセルに閉じ込めて噴霧するスプレーです。

これにより付着した薬品の効果は1週間ほど続きます。(付着強度は水には強いが、ヒルなどが絶えず上ってくると都度剥がれていく)
この点が非常に優秀です。

携帯版とは違うファイタージェットは密度の低い地域では効果的

安価で120mlほどの携帯版があるのですが、こちらは小さい分スプレー範囲が狭く抜けが生まれやすいです。

また、先ほどのヒルアタックにより成分が薄くなっても、噴霧後に透明になってしまう都合上薄い場所にだけ再度噴霧することができません。

これにより靴の上で薬剤の濃度が生まれ突破されてしまうのが携帯版の弱点であると考えます。

ノズルが広範囲拡散なので撒ける量が多く、範囲も広い

業務用では右、左、後ろの系2.5プッシュで靴全体を均一にガードすることができ、携帯版の様に何度もプッシュして手を汚すこともありません。

2.5プッシュでオーケー!

私も昔は高いからと携帯版を使っていましたが、業務用を使ってからは業務用しか使っていません。

持ち運びが大変なのが唯一の欠点と言えますが、ケチらなくてもいいしなくなることもない心理的な安心感が確保できるため、ヒルにお悩みの方に大変おススメです。

ヒルに噛まれた場合に考えられる要素

私や私の周りでヒルに噛まれるパターンを紹介します。

ヤマビル地域で何もつけないと即座に大量に登られます。パニック!

まずは靴に何もつけないことですね。ヒルの活動圏内ではこれは襲われます。

一方で薬剤を使用しているにもかかわらず襲われるパターンもあります。

ヤマビルファイターは噴霧→乾燥することでトラップの様にヒルに効きます。

乾燥前に背丈の高い草に多く触れるとアウト。朝露にも注意。

撒いた直後に草の多い場所を歩くと薬剤が張り付く前に草に移ってしまい、濃度の差が生まれてしまいます。

次点で考えられるのは荷物を地面に置いているなどの別の場所から来ているパターンです。

熱によってくるヒル。カバンには熱があるのと、地面に置いたときに振動が生まれてよってくる。

カバンを置いた衝撃や荷物についている熱などでヒルは置いた荷物にもよってきます。

荷物は地面に置かないことを徹底すればヒルの登り口は足元に限定されますので、侵入口を増やさないように気を付けましょう。

意外なケースとしては深い落ち葉や枝を踏み上げた時に張り付いてくることでしょうか。

枝や落ち葉に踏み入ったときに落ち葉や枝が反り上がり、靴の上部やズボンの裾に張り付く。

ヤマビルは僅か1秒以内の設置でも対象に乗り移ります。踏んだ枝先にヒルがおり、そのまま足首から登って来たりすることはあります。密度が高いならばなおさらですね。

そして3つ目はヒルアタックによる薬剤濃度の低下です。

噴霧してもヒルが登るたびに効果が薄まる。大群地域では頻繁な噴霧が必要。

散布された薬剤のカプセルを踏んでヒルは靴を逃げるように降りていきます。

つまりヒルが昇れば昇るほど薬剤効果は薄くなるので、密度の高い場所では定期的な散布が必要です。

その際に携帯版では補修箇所が分かりにくいため突破口を作りやすいです。

ジャンボノズルでまんべんなく撒けるのは、薬剤密度の薄まった場所への補修が簡単になる。

都度満遍なく負ける業務用が最強の理由ですね。

効果を高める対策

これはズボンのすそを靴下に仕舞うことです。欲を言えば靴下などにもヤマビルファイターを撒いておきましょう。隙間を無くして登り口を目視しやすくする。
これが対策の基本です。

上記を徹底することでヤマビル密度が高い地域ながら5年以上無傷を維持できています。ヒルは感染症などのリスクはかなり低いものの不快指数の高い生き物です。徹底的に対策をしてあげましょう。

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